パチンコ台の釘不正問題が大詰めを迎えています。やっと、新聞がこの問題を取り上げました。それにしても遅い対応。パチンコとメディアや政治などとの関係を考えてみましょう。

 今回のパチンコ台の釘不正問題については、木曽崇氏の「『パチンコ釘問題』を世界で最も判り易く説明してみる」http://bylines.news.yahoo.co.jp/takashikiso/20151224-00052762/ や山本一郎氏の「ぱちんこ業界の一時的混乱と、今後の見通しについて」http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamamotoichiro/20151215-00052441/ などでも詳しく解説されています。

 私も、ヤフーニュース(個人)にて「パチンコ業界に冬の時代がやってきつつある~強まる規制に生き残れるか」「パチンコ業界に空前の危機~求められる大改革」などで問題を指摘していきました。

 パチンコ業界を取り巻く環境の問題は、複合的です。今日の読売新聞と毎日新聞がやっとこの問題を取り上げました。これまで大手の新聞社は全くと言っていいほどこの問題を取り上げてこなかったのです。ここにも大きな問題の一つがあります。今日、やっと取り上げたということは、12月25日に予定されているパチンコ業界の声明の前に記事にしておきたいということもあるでしょう。さすがにこれだけ問題が騒がれると、何も記事にしていない状態を続けることはできません。パチンコのギャンブル依存症の問題も社会問題化しています。これについては、新聞も書いていますが、パチンコ産業の根幹に関わるような問題はできるだけスルーしてきたことも確かです。今回の記事は、裏を返せば、問題解決の着地点が見えてきたということかもしれません。このパチンコ台の釘問題では、パチンコメーカーとパチンコホールとが責任のなすりつけあいを行ってきました。どちらにも問題はあったことは確かなようで、その責任の度合いをどのように落ち着けるかということがポイントとなっています。こうした不正を取り締まる立場の警察は、今回の件では非常に厳しい態度をとってきました。しかし、問題が大きくなれば、警察の責任も問われる可能性がでてきます。三者ともに適当なところで着地点を見つけたいところです。とりあえず、パチンコ台を総入れ替えすることで問題の収拾を図るということになるのでしょう。数十万台のパチンコ台が入れ替えされるのです。1台20万円から40万円といわれますから、1000億円単位の費用となります。業界とすれば、これで問題が収拾するなら仕方ない、というところでしょうか。体力のないパチンコホールは廃業を選択するところも出るでしょう。さらに寡占化が進みそうです。とりあえずの着地点が見えたことで、大手メディアも報道することができるようになったと推察できます。

 このような状態になったのは、やはりパチンコが日本の「ギャンブル」(パチンコは公式にはギャンブルに入っていませんが、ギャンブル的な産業ですので入れておきます)の中でも巨大なのです。宝くじなども入れても、全体の8割弱の売り上げがパチンコなのです。いかに巨大産業かがわかります。

ギャンブル______1975______2010_____2014 (単位:億円)

パチンコ_______13040____193800___188180

宝くじ__________350______9200______9007

サッカーくじ_______0_______968______1107

中央競馬_______9080 _____24280_____24936

競艇_________11750_______8970_____9953

競輪_________10940_______6790_____6159

地方競馬_______6860_______3480_____3880

オートレース____1650________920______668

合計_________53670_____248408____243890

 ですから、パチンコ業界が使っている広告費も巨大です。パチンコホールだけで年間1000億円弱です。(公益財団法人日本生産性本部「レジャー白書2015」より) これにパチンコメーカーの広告費が加わります。これも巨額です。今、新聞、テレビ業界は広告費を確保するのに苦戦しています。パチンコ業界の広告費はますます重要になっています。このように考えると、今回のパチンコ台の釘不正についても新聞やテレビがほとんど報じてこなかったことも理解できます。

 もちろん、パチンコ業界から政界へもかなりの資金が流れているはずです。これは巧妙な流れになりますから具体的な数字ではなかなか把握できません。こうした総合的な構図があり、パチンコが民間「ギャンブル」としてこれまで生き残ることができたのです。

 私は当面の落としどころとして、パチンコ台の総入れ替えがありますがこれだけで終わらないのではないでしょうか。つまり来年以降、それだけにとどまらず、制度改革や税金制度の改革などが出てくるのではないかと思っています。小手先の改革だけでは済まなくなるのではないかと予想しています。構造的な改革を議論していく必要があります。