中韓FTA、中豪FTA発効へ~中国とアメリカの経済覇権の争いが激化

(写真:アフロ)

 中国が韓国、オーストラリアとそれぞれ締結済みのFTA(自由貿易協定)が12月20日に発効したことが報道されています。締結のそれぞれの国で関税の引き下げ措置などが行われます。中国も韓国もこのFTAを多くの国と単独で結ぶことによって、経済活動を活発化させるという戦略をとってきました。

 2国間での協定は結びやすいというメリットはあります。多くの国が参加するとそれぞれが条件を出すと、こちらを立てるとあちらがたたず、という状況になることがあります。調整に手間取るのは確かです。しかし、同時にFTAとなると中途半端な協定となったり、差別的な協定となったりします。中国と韓国とのFTAをみてみると、韓国からの輸出品の中で自動車が外れ、中国からの輸出品の中で豚肉や鶏肉など重要農作物が外れるなど、中途半端なものになっています。TPPなどの多国間の協定では原則があり、他国の圧力もありますから、のまなければならない状況に追いやられます。これが2国間の協定では、とりあえず難しいものは外しておこう、ということになりがちです。またアメリカと韓国とのFTAにあるように相当にアンバランスな協定となることもあります。韓国が2国間協定を焦ったということもあるでしょう。韓国製トラックのアメリカへの輸出には関税がかかるのに対して、アメリカ製トラックの韓国への輸出には関税はかからないことになっています。共通のルールよりも、2国間の力の差も重要な要素になってくるのです。

 現在のところTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)には中国も韓国も入っていません。韓国は加わりたい意思は表明していますが、どのようになるかはわかりません。経済活動は、国際政治の覇権とは切り離して考えるべきだと主張される人もいるでしょう。実際に、この二つはずれることもあります。しかし、中国がここまで国際政治の中でも影響力を持ってきたのは凄まじいばかりの経済成長の結果です。経済的な覇権をめぐる争いも激化していると見るべきです。

 戦後、世界経済はアメリカを中心とした体制をとってきました。アメリカ民主主義の普及は、アメリカ資本主義の拡大でもあったのです。IMF(国際通貨基金)と世界銀行、WTO(世界貿易機関)はこのアメリカ主導の経済体制を支えるものでもありました。アジア開発銀行は、日本が中心となり、アメリカとともにアジアにおける日米の地位を確立するものでもありました。アメリカ、そして日本の経済的な力が落ち、中国が台頭する中で、中国はこうした体制に不満を持ちます。それがアジアインフラ投資銀行の設立に繋がります。中国中心の経済圏、経済体制の確立を行おうとする方向とアメリカ中心の経済圏、経済体制を守ろうとする方向が衝突しようとしています。これは国際政治や軍事の分野でも起こっています。

 難しい舵取りを迫られているのが韓国。韓国にとって現在では中国が最大の貿易国となっています。またアメリカと日本が関係を強めている中で、反日のスタンスとずれる部分もでます。バランスをとりながらもやや中国寄りに傾いてきているところです。韓国の方向は、これから重要なポイントになります。

 それとともに、中国経済のゆくえです。中国経済はどこまで減速するのか。多くの人が様々な予想をしますが、わからない状態です。副題に書いたように中国とアメリカの経済覇権の争いが激化するのか、中国がアメリカの真っ向から勝負するには次の10年が必要なのか、分からないところです。いずれにしても当面は、この争いは続くでしょう。来年のアメリカ大統領選挙の結果も重要になります。