民泊に新たなルール作りを~違法状態の「民泊」は犯罪の場にもなりうる

写真は旅館・民宿(写真:アフロ)

 海外からの日本への観光客が増えています。これ自体は歓迎すべきこと。しかし、宿泊施設の不足が問題となっています。今の状態でも、東京、名古屋、大阪、京都、福岡などの都会では宿泊施設は不足しています。実際にホテルを予約するのが難しい時もかなりでてきました。それとともに、ホテル料金がどんどんと上がっています。かつては格安ホテルと思っていたホテルも1泊2万円とか3万円とかの料金になっています。それでも取れない。

 そこで今、注目されているのが個人が住宅の空き部屋に有料で泊める「民泊」です。これを個人対個人で行うのはほとんど不可能といっていいでしょう。ですから問い合わせや予約のシステムを持っているところが取り仕切る形になります。Airbnd(エアービーアンドビー)はこの民泊マッチングサービスを世界的な規模で行っています。日本でも急成長を遂げつつあり、1万3000件以上の登録があると言われます。日本では急激な観光客の伸びもあり、かなりの荒稼ぎと言われています。

 また韓国人居住者の多いコリアタウン地域では、韓国人が経営する簡素な宿泊施設である「民泊」も増えています。日韓関係が冷え込む中で、コリアタウンでのビジネスは勢いを失っています。手っ取り早くビジネスにするのは増え続ける韓国からの観光客をターゲットにすることです。そこで韓国系の民泊が急増しているのです。しかしこの民泊のほとんどは「旅館業」としての事業登録はしていない状況で、違法状態です。

 民泊といえば、人的交流も盛んになるような感じもしていいことのように思えますが、今の状況だと課題も大きいのです。

1.治安・安全

 これはまず第一に挙げられる問題です。しっかりとした認定がないのですから、宿泊者の安全も宿泊先の安全も問題になります。火災や震災への対応があるかないかは不明になります。盗難等にもホテルのような対応はまず出来ません。宿泊提供者の部屋で、宿泊客が物を窃盗するということも起きているようです。原則として普通の家の部屋を貸し出しているのですが、そこに置いてある価値あるもの、例えば時計とか小物などが盗まれることがあります。また、こうした民泊の部屋が犯罪の拠点に使われることもありえます。しっかりとした宿泊者の把握なくてもいいのですから、違法滞在者や犯罪者にとってはこの上ない拠点になります。

2.税金

 違法状態で運営されていますから当然のことながら、税金を払っていません。日本のホテルや旅館は様々な安全対策の義務とともに、税金もかなり払います。極めてアンフェアな状態です。これでは海外からの観光客が増えても、サービスの問題があるだけではなく、観光産業としても問題になります。

3.安定しない部屋の状態やサービス

 部屋が汚い、トイレが汚い、風呂に入れない、などといった苦情があります。もちろんすべての部屋で起きている問題ではありません。問題のある部屋もない部屋もあります。当然、認定されたホテルや旅館でも起きる話ですが、認定のないこの違法民泊では極めて起きやすい状態であることは確かです。責任の主体も明確になりません。

 2020年のオリンピックにむけて、さらに海外からの観光客は増えると予想されます。こうした課題を解決する必要があります。まずは規制を緩和しながらも違法民泊を取り締まらなければなりません。現状の放置は問題を深刻化させます。日本には民宿制度があります。民宿は営利目的とされ、旅館業法の規制を受けます。しかし民泊は営利目的でないということで、旅館業法の規制を受けないことになっていますが、現在の「民泊」は営利目的と考える方が自然です。ただ、農家民宿のように客室延べ面積が33平米以上といった規制の廃止が必要でしょう。あくまでもきちんと登録をし、安全の確保をし、税金も払うという仕組みづくりが必要です。

 規制緩和とともに無法地帯・違法地帯を作らないことがこれからの日本の観光産業の発展にも重要なことです。おそらく象徴的な事件が起こり、一気に注目される案件でしょう。混乱が起きる前に、制度の修正が求められます。