台湾の総統選挙がいよいよ本番です。与党・国民党の朱立倫主席、最大野党・民進党の蔡英文主席、野党・新民党の宋楚瑜主席の3人が立候補を届け出ました。今回の選挙では、民進党の蔡英文主席が圧倒的に高い支持率を持っており、あと1ヶ月半で逆転はほぼないと見られます。このまま蔡英文主席が逃げ切るのではないかと予想されています。世論調査では蔡英文主席が約40%、朱立倫主席が約20%、宋楚瑜主席が約15%というところです。調査によっては更に差が開いています。
日本においても選挙は特殊ですし、勝ち負けが決定的に重要です。台湾の選挙はそれどころではない、という感じです。驚くべきという感じです。
まず、なんといっても供託金の高さです。必要とされる供託金は1500万台湾元(約5600万円)です。単位が間違っているのではないかと思わず再チェックしたくなるような額です。供託金がこのくらい高いとなると、選挙戦で使われる費用も半端ではないことが想像できます。そうです。すごい費用が使われます。台湾の選挙は命懸けなのです。
私は、陳水扁総統の時代に政府主催の国際会議に招待されたことがあります。その時にレセプションで政府の高官と交流しました。驚いたのは、何人もの人が政治犯として逮捕されていて、陳総統が選挙に勝ったから刑務所を出ることができて、政府の高官についているというのです。選挙に勝ったら、政府高官として巨大な権力を手にし、負けたら刑務所行き。ストレートですね。実際に陳総統は退任した後に、総統府機密費流用及び資金洗浄容疑などにより台湾最高検に逮捕されています。台湾では選挙に勝ち続け、権力を握ることがいかに大切か、ということですね。陳総統の2回目の選挙の時には、陳水扁氏が選挙戦の最中に銃撃を受けて負傷するという暗殺未遂事件が発生しています。劣勢が伝えられていた陳氏ですが、この事件で支持を盛り返し、結局、得票率0.228%の僅差で陳水扁が逆転勝利しました。この襲撃事件の真相はまだ明らかになっていませんが、自作自演説もあります。あってもおかしくないくらい台湾では選挙が大切なのです。
今回の総統選挙でまた民進党の候補者が当選すると、台湾政治は大きく変わることになるのでしょう。政治関係者にとってはまさに生きるか死ぬかの瀬戸際です。
与党国民党の候補者である朱立倫主席は、兼任する新北市の市長を3カ月間休職し、総統選挙に立候補しています。えっ、総統選挙に落ちたらまた市長になるの?というこれも驚きの制度です。つまり総統選挙を戦っている朱氏は休職中ではありますが、現職の市長のままなのです。工務は副市長が引き継いでいると言います。ただ、制度として存在していても、この戦法だと総統選でのイメージは悪く、支持が伸びるようには思えません。また総統選で負けた時、市長に戻っても、市長への市民からの支持は相当に失われると思われます。それにしても台湾の選挙制度はびっくりします。
台湾は中国との距離感をどうするのかで、まさに岐路にいます。民進党の蔡氏が総統になる可能性が高く、おそらく中国との距離をある程度保った上で、現状維持の政策がとられていくことと思います。日本にとって台湾は重要な国です。経済においても、外交戦略的にも、です。文化交流も含めさらに関係を強めていきたいものです。













