韓国の金泳三元大統領、他界~民主化、反日、経済危機

韓国の金泳三元大統領が、他界されたことが報道されています。

韓国が軍事政権から民主化を進める時の大統領でした。1987年の全斗煥大統領の退任に伴って行われた大統領選挙では盧泰愚氏に敗北。その時は私はスウェーデンに留学していましたが、友人の韓国の留学生は

金泳三氏を支援していたようで、敗北を知ると大泣きしていました。日本の選挙結果でこんなに感情を丸出しにするのは、せいぜい立候補者の家族か側近でしょう。韓国の選挙の「熱」に驚かされました。

1992年の選挙では第14代大統領に当選し、「歴史立て直し」をスローガンに民主化の改革を行いました。驚かされたのは、金泳三政権下で、全斗煥・盧泰愚の二人の軍人大統領の在任中の不正と人権抑圧が法的に断罪され、二人とも有罪となったことです。韓国の大統領の権限は強く、まさに国のトップ。それが一気に犯罪者とされたのです。「民主化」のためとはいえ、驚きの決断でした。

ただ、その後も韓国では大統領などが断罪されることが相次ぎました。韓国では大統領の権限が強く、賄賂的な金銭の流れがかなりあったことと地域主義が強く、政権交代によってある一定の政治の断絶が起こったことがこうした元大統領や側近の連続的な断罪に繋がったのでしょう。

第11・12代大統領の全斗煥氏は、光州事件において反乱首謀罪で死刑判決となりましたが、その後恩赦となっています。第13代大統領の盧泰愚氏は退任後に収賄容疑で逮捕され、光州事件の内乱罪も加わり、懲役17年の判決となりましたが、後に恩赦となっています。

第14代大統領の金泳三氏も、次男が利権介入による斡旋収賄と脱税で逮捕されています。第15代大統領の 金大中氏は光州事件の首謀者として無期懲役の判決が下りました。ノーベル平和賞受賞者にも容赦ないです。また息子3人を含む親族5人が金がらみの不正事件として逮捕されました。 

第16代大統領の盧武鉉氏は、親族の不正が取りざたされる中、登山中に謎の滑落死を遂げています。第17代大統領の李明博も国会議員の実兄秘書が逮捕され、本人にも土地不正購入の疑惑事件容疑が持ち上がっています。

これが「民主化」ということなのか、と驚かされます。

ただ、金泳三政権のもとに脱軍事政権が進んだことは確かです。それまでの韓国は軍事政権の重々しい雰囲気がありました。しかし、韓国は一気に雰囲気が変わりました。これは金氏の業績の一つといえます。

金泳三氏は知日、親日と言われていましたので、私もそうした目で見ていたのですが、日本に対しては歴史認識問題を強く突きつけました。中国の江沢民国家主席と歩調をあわせて、反日的な姿勢をとりました。領土問題の竹島問題についても、強硬態度をとりました。ここは、現在の朴槿恵大統領のスタンスと似ています。金氏以上に徹底しているという感じです。

また、金氏の政権下で特記されるものは金融危機です。政権末期の97年末にアジア通貨危機が訪れました。まだ経済的な基盤が弱かった韓国は極めて厳しい状況に追いやられました。結局、国際通貨基金(IMF)の管理体制下に入ったことから経済失策の責任者として韓国国民から批判を浴びることになります。そのまま任期で大統領を退任しています。

この点も朴大統領に繋がるものがあるかもしれません。現在の韓国も経済的には非常に厳しい状況に追いやられています。何らかの要因が重なるとまた経済的な危機が訪れるかもしれません。

軍事政権から自由主義国として目覚しい経済発展をした韓国。わずかな期間で発展途上国から先進国へと発展しました。韓国がOECDに加盟したのは、金泳三政権下の1996年のことです。金泳三氏は韓国発展の基盤を作った大統領と言えるでしょう。ただ同時に、その後の課題も残した政治家でもありました。良くも悪くも現在の韓国の原型を作った大統領ではないかと思っています。