新アメリカ大統領と中国政策~厳しくなる対中外交

(写真:アフロ)

 オバマ大統領の外交は弱腰とみなされることが多く、評判はよくありません。「優柔不断」といわれるオバマ外交によって、アメリカはウクライナ危機でプーチンに対抗できず、シリアの混乱を収めることができなかったと批判する人も多いのです。中国に対しても、経済効果を重視し、中国との友好関係を強調し、迎合的な姿勢を保ってきました。中国の南シナ海で建設した人工島なども黙認するような姿勢が見えました。  

 最近になって、腰をあげ、南シナ海の人工島の12カイリ内でアメリカ軍が巡視活動を始めるなど行動を起こしています。ASEAN関連の首脳会合でも、オバマ大統領は、ASEAN各国に巡視活動への支持を直接働きかけ、中国への外交圧力を強める見通しです。オバマ大統領も徐々に強硬姿勢に変わりつつあるというところです。

 問題は、ポストオバマです。来年にはアメリカでは大統領選挙が行われます。まだ不確定な部分が多く、誰が新大統領になるのかは不明です。しかし、主要な候補者はあがっており、これからのアメリカ外交を占うことができます。

 民主党の指名候補者としてはヒラリー・クリントン氏になる可能性が圧倒的に高いです。そのクリントン氏の対中外交はどのような姿勢になるのでしょうか。一言で言えば、オバマ大統領よりはかなり強硬姿勢の対中国外交になりそうです。2010年にベトナムで行った「航行の自由確保」というスピーチは、現在のオバマ大統領の南シナ海の人工島の巡視活動に繋がっています。南シナ海における中国の拡大主義を明確に牽制するものでした。ちなみに、尖閣諸島への安保条約適用を明言したのもクリントン氏でした。また人権問題に関して、強く中国を批判してきました。共和党の候補者と比較するとやや弱いとは思えますが、オバマ大統領よりは厳しい対中戦略を行いそうです。

 共和党は誰が指名候補者となるのかはあまり明確ではありません。かなりたくさんの人が立候補を表明しています。主要な5人を見てみましょう。まずは、支持率でトップを走ってきたドナルド・トランプ氏。私は彼がこのまま共和党の予備選挙を制して、さらに大統領になる可能性はほとんどないとは思っています。彼の中国政策は乱暴なくらい厳しいもの。日本にも厳しいようです。ベン・カーソン氏も政治家ではなく、政治家としての力量は不明です。それだけに最後まで勝ち残る可能性は低いと思っています。このカーソン氏もかなりのナショナリストとみなされます。具体的にどのような対中路線になるかは分かりませんが、オバマ外交には真っ向から立ち向かう硬派の外交政策を展開しそうです。

 より現実的なのがテッド・クルーズ氏とマルコ・ルビオ氏。クルーズ氏は草の根保守派運動「茶会(ティーパーティ-)」系のヒーローとも称される政治家で、対中国路線は極めて硬派と考えられます。ルビオ氏も2010年のフロリダ州上院選で、「茶会」系の支持をとりまとめ、当選した政治家です。どちらも保守本流の流れといっていい政治家であり、オバマ外交とは全く違った厳しい対中国路線をとりそうです。

 ジェブ・ブッシュ氏も可能性がありますが、上記の共和党候補者と比較するとやや穏健派と見られます。オバマ大統領よりは硬派ではあるでしょうが。

 このように見てみると、次の4年の大統領はオバマ大統領よりははるかに対中国政策では硬派になりそうです。パリのテロ事件もありました。アメリカが圧倒的な軍事力で世界の警察となる、あるいはなりたいという時期になりそうです。これが世界の平和にとっていいことか、悪いことか。日本にとってもやりやすくなるのか、やりにくなるのか、分からないところです。とりあえず、アメリカ大統領選挙、しっかりと見守りましょう。