トルコでテロ事件~トルコ経済は大丈夫なのか?

(写真:アフロ)

 トルコの首都アンカラ中心部の鉄道駅近くで発生した連続テロ事件の死者が95人、負傷者は246人にのぼったとトルコ政府が発表しました。 まだ数多くの人が集中治療室で治療を受けているということですから、100人を超える死者を出すテロ事件となりそうです。実際にすでに死者数は97人としているメディアもあり、これからまだ増えそうです。

 今回の事件は、クルド系左派グループが反政権の平和集会を狙ったとみられています。トルコでは、総選挙から2カ月が過ぎても次期政権の枠組みがまとまっていません。政治の混乱があるなかで、政府と少数民族クルド人の非合法武装組織であるクルド労働者党(PKK)との和平崩壊が起こり、テロ事件が続発しています。11月1日に総選挙を控えたトルコでは、さらに情勢は流動的になりそうです。

 クルド人は3000万にもなる国家なき民族としては世界最大の勢力です。現在のトルコ、イラク、シリア、イランの4カ国にまたがる山岳地帯を主に居住地としています。 言語や文化を共有していると言われ、独立運動が各国で起きています。とはいえ、クルド人は一つか、といわれれば、そうも言えず、内部での抗争も起きています。

 トルコでもクルド人は独立運動を起こしています。しかし、独立は簡単な話ではありません。クルド人の多くが住むトルコの南東部は中東では数少ない水源地帯であり、かつ石油が豊富に埋蔵されている地域でもあります。この地域を政府は手放すとは考えにくいのです。となると、武力を使った争いとなっています。

 トルコは、EUへの加盟も現実的になるほど、経済成長を遂げてきました。日系企業の進出もかなりあります。ヨーロッパとアジアの間にあり、それを利点として、貿易と工業の中核として発展する可能性を秘めいています。2020年のオリンピックもイスタンブールが本命視されていました。結局、東京に決まりましたが、その頃までは、まさに経済成長のダークホースとして大きな期待がかかっていました。

 今回のテロ事件がトルコの経済に与える影響は甚大です。政治が混乱する中でのテロ事件による不安材料の増大、そして治安の悪化。欧米や日本などからの投資は鈍っています。新たなEU国としての期待のかかる国でしたが、今のところその面影がなくなっています。トルコは観光立国でもあります。トルコ料理は世界三大料理にも数えられています。イスラム国としてはアルコールについてもかなり緩やかで、海外からの旅行者はトルコ料理を堪能しています。ユネスコ世界遺産も文化遺産として11件、複合遺産として2件が登録されています。イスタンブールやカッパドキアなどは日本人にも人気が高いものです。そうした観光産業にも大きな影響が出ているようです。7月下旬以降、ドイツやイタリアなどの政府は、トルコ東部への渡航の自粛を呼びかけています。日本の外務省も注意喚起を呼びかけています。さらに強い自粛勧告が出る可能性があります。

 通貨リラは1ドル=2.9リラ台に下がっています。 

 希望の星とも言われたトルコ。しかしここに来て、大きな壁にぶつかっています。トルコにとって政治の安定は経済成長に直結します。PKKとの和平合意をどのようにできるのか。11月に予定されている総選挙がどのような結果をもたらすのか。注目が続きます。