フォルクスワーゲンの排ガス不正問題は他の自動車メーカにも大きな影響~日本車の真価が問われる

(写真:アフロ)

 ドイツの自動車メーカーであるフォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題は他の自動車メーカにも大きな影響を与えつつあります。

 フォルクスワーゲンの不正はディーゼル車の問題と捉えられてきました。EUはディーゼル車の排ガスの規制基準を持っていて、検査を行ってきました。そのデータと実際の走行時のデータとの差は大きいということは認識されてきました。これはフォルクスワーゲンだけに限るものではないようで、これからの検査によっては、他のメーカーにも「不正」の波が押し寄せる可能性があります。ドイツやフランスの主要産業の一つである自動車メーカーがやり玉に挙がると非常に厳しい状況になります。ドイツはEUの経済の雄です。そこが転ぶと、ヨーロッパ自体が危なくなります。ギリシャ問題どころの話ではありません。

 日本の自動車メーカーはディーゼル車の生産が少なかったことで、影響は最小限になるという見込みでした。

 しかし、アメリカの環境保護局(EPA)は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンを問わず、すべての自動車を対象に排ガス試験を強化すると発表しました。非常に厳しく試験をし、その具体的な試験内容は公表しないということです。

 これまでの検査は、検査の方法が分かり、それをクリアできるように自動車メーカーは開発をしてきました。フォルクスワーゲンの問題は、その場限りのソフトシステムの対応で基準をクリアしてきたところに問題があります。ただ、ほとんどの自動車メーカーにおいて、検査のデータと実際の走行データに差があることはむしろ当然のことと考えられます。

 例えるとこんな感じでしょう。英語の試験があり、その試験は読解と文法中心とわかると、それに対応した勉強をします。実際に、それで英語の力がついたかどうかはまた別の問題です。実際に英語を使う場面ではレスニングやスピーキングも重要。英語の試験で高得点を得たのに、ほとんど英語しゃべれない、ということも起きます。

 フォルクスワーゲンの場合には、英語の試験用の替え玉を用意していたので、悪意のある不正と見られたのでしょう。しかし、本格的に「英語力」全般をどのような試験をするかわからない状況でされると、多くの人は困るのが現実。

 今、これが全ても自動車メーカーにされる可能性があるのです。

 地球環境の視点からは非常に望ましい展開です。私たちも、燃費で1リットル30キロといわれても、実際に走行すると17~8キロという実感があることは経験してきました、おそらく排ガスにおいても、試験時のデータと実際の走行時のデータとは異なるのでしょう。ただ問題は、実際の走行時とは何を意味するか、です。渋滞の多い都市の走行なのか、高速道路での走行なのか。その時の速度はどのくらいなのか。これらによって全くといっていいほどデータは異なります。

 渋滞時に排ガス規制をクリアできる車はまずないでしょうし、時速150キロ以上で走る車で排ガス規制をクリアできるものもないでしょう。つまりは、検査時の設定が重要になります。その検査時の設定が公表されないのであれば、自動車メーカーは相当な対策が求められます。

 ただ、日本車メーカーは環境基準においては世界のトップのはず。むしろこうした規制は追い風になるかもしれません。日本の自動車メーカーの真価が問われます。