アジアインフラ投資銀行への参加は焦ることなく、求められる時に適切に対応すべき!

 アジアインフラ投資銀行(AIIB)への日本の参加をめぐり、熱い議論がなされています。財務省や外務省含めた日本政府の対応の遅さへの批判も強くありまます。このAIIBは言うまでもなく中国主導の投資銀行です。中国マネーをベースにして、発展を続けるであろうアジアのインフラ整備の主導権を握ろうとしているものです。この創設メンバーに入らないと、日本の企業がこのインフラ整備に関わることができず、不利になるのではないかという懸念があります。

 当初はこのAIIBには主要国は入らないのではないかと考えられてきました。しかし、イギリスが参加を表明すると次々にヨーロッパ諸国も参加することとなり、結局、56カ国が創設メンバーとして参加すると報道されています。これは確かに日米の見込み違いです。バスに乗り遅れたのではないかと不安の声を出す人もいます。

 ただ、私はだからといって、今すぐ、日本はAIIBに参加すべきであるとは思っていません。慎重に行動すべきです。

 まず第一に、中国経済の先行きの不透明感があります。確かに現在は中国の外貨準備高は相当なものがあります。だから中国は強気の外交政策をしているのですが、これがいつまでも続くとは思えません。実際に、中国の外貨準備高は減少しているという報告があります。中国経済の減速が進んでいるとの懸念の中で、投機資金が引き揚げられつつある兆しが示されつつあるのです。中国経済は、一種のバブル経済のもとに大きな発展を遂げています。すべてがバブルではありません。しかし、バブル的な要素も多分に入っているから今の急成長があることも確か。地域ではシャドーバンキングの問題もあります。社会主義国の制度がありますから、一気にバブルがはじけることは防げるとしても、徐々に景気は後退することと予想しています。となると、中国から外貨が流出することは容易に推察されます。

 中国は莫大な外貨準備高を持っているように思われていますが、経済環境のゆくえによっては簡単に状況は悪化するのです。AIIBは中国は半分くらいを出資するとしていますが、状況が変わればそれを持続できるかどうか、不明です。バブル経済が一度崩壊して、状況が安定してから考えるのがいいと思われます。

 次の点はガバナンスの問題です。アジア開発銀行は確かに日本とアメリカが中心でつくられ、運営されてきました。総裁は歴代、日本人です。しかし、本部は東京ではなくフィリピンにあります。そしてガバナンス的にも日本が独自で出資を決めることができにくい体制となっています。

 しかし、AIIBはまだこのガバナンスの透明さが確認されていません。中国が資本の半分くらいを出し、本部は北京に置かれるといわれます。おそらく中国人がトップになるのでしょう。政治的に出資が決まる可能性があります。アジアの諸国へのインフラ投資ですから、領土問題も含めた国際政治絡みの案件も出てくる可能性があるのです。この点がどうなるかを確認してから日本は参加を決めてもいいでしょう。返ってこない一方通行の出資案件も出てくるかもしれません。もっといえば、中国のシャドーバンキング問題が顕在化すると、中国関連プロジェクトにもインフラ投資のお金が出されるかもしれません。ガバナンスがしっかりしていることが非常に重要なポイントになります。

 このように考えると、焦ることはない、というのが結論になります。中国を取り巻く経済環境は今、大きな変化を迎えようとしています。落ち着くまで「待つ」というのがいい判断ではないでしょうか。将来的には中国はさらに重要な国になる可能性があります。中国との友好は重要な課題です。それだけに、参画のタイミングはしっかりと見極めることが大切です。日米が必要とされる時期はきっと来るでしょう。その時に適切な対応をすればいいと思います。