橋下市長、出直し選挙へ~逆風の中、どんな展開があるのか

 大阪市の橋下徹市長は、議会側の反対で行き詰まった「大阪都構想」を再び前に進めるために、出直し選挙に打って出る決意を示しました。大きな賭けです。捨て身の作戦とも言うべきものです。大阪都構想への意欲は買います。しかし、この決断には疑問符は残ります。

1)出直し選挙に大義はあるのか

 まず、議会での理解が得られないからということで、出直し選挙をするという手法が理解を得られるかどうか、です。選挙は単独一イシューで行われるものではありません。橋下氏が再選されるということと、市民が大阪都構想を支持するということは必ずしも一致しません。確かに郵政民営化解散総選挙の時は、単一イシュー選挙となりました。しかしあれが良かったかどうかは、評価が分かれるところです。特に自治体では、二元代表制が基本となっています。市長に当選したからといって、すべての支持を得たと考えることはできません。もう一つの市民の代表である議会の了承を得ることは、重要なプロセスです。

2)選挙の費用

 また選挙にかかる費用も気になるところです。それでなくても日本の選挙は多い、と思っています。市長選でも政策に行き詰まると出直し選挙、ということになると、4年の間に2回、3回と選挙が必要になります。それごとに相当な費用がかかります。財政健全化をうたい、様々な予算のカットを行う一方で、特別予算が必要となる選挙を余分にするのはよほどの大義が認められないと、支持は得られません。

3)行政の停滞

 選挙の前、そして期間中は議会の議論もとまりますし、重要な施策の実行はストップがかかります。基本的に首長が替わる可能性を考える必要がありますから、実行できない状態になります。今、自治体は2月議会が始まろうとしている時。来年度に向けて重要な時期になります。こうしたイレギュラーな選挙では、選挙日の設定、会場の確保などもありますし、あらかじめ予定されていた選挙よりもマイナスは大きいといえます。約1ヶ月の市政の停滞をするだけの価値があるかどうか。

4)大阪府や大阪府内の他の自治体との関係

 大阪都構想は、大阪市だけで進めていいものではありません。大阪市長選で再任されたからすぐに展開するというものではありません。大阪府や大阪府内の他の基礎自治体とも連携していくことが必要です。橋下人気を示すだけでは、他の自治体を説得することはできません。他の自治体には大阪都構想に反対しているところもあります。そこでも首長選を行い、「民意」で反対の首長が当選しています。常に対話と説得のスタンスが必要なのです。大阪市だけなら、出直し選挙で展開を変える可能性がありますが、他の自治体も絡むとなるとその影響は限定的です。

5)国との関係

 大阪都という名称にしてもまだ国と合意されたわけではありません。手続き的にも政治的にもまだまだ複雑な作業が残っています。この時期に最終手段ともいえる出直し選挙をするのは、かなり厳しいと言わざるを得ません。

6)維新の会への支持低下

 維新の会の支持も以前から比べると落ちています。維新の会の内部での統一感のなさも指摘されています。以前のような活気は薄れています。自民党や公明党も、距離を置きつつあります。民主党もみんなの党もかなり距離があります。維新の会内部でも様々な政策での合意がむつかしい状態になっています。この状況の中で、都構想を実現するには、出直し選挙という力技が果たして有効かどうか。

 このように考えると、相当な逆風があると考えられます。

 しかし、です。橋下氏はこうした逆風を突っ切ることにより、奇跡的な展開を起こしてきた政治家でもあります。今の状態を客観的に考えれば、出直し選はやるべきではないと思います。こうした私の「常識」を覆すような新たな展開があるのかどうか。

 最近の政治は「常識」が通用しないことが多々あります。地方自治のあり方を考える上でも注目していたいと思います。