地球温暖化で世界の平均気温が現在より3度上がると、今世紀後半に20億人以上が水不足に陥るとの予測を、東京大などの研究チームが米科学アカデミー紀要電子版に発表しました。平均気温が3度上がる可能性はあるのか、ですが、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の最新報告書は、今世紀末の平均気温が0・3~4・8度上昇すると予測しています。

 これは、気温上昇だけを考慮した数値です。しかし問題はそれだけにとどまりません。工業化は水の使用を大幅に増やします。工業地帯と言われる地域をみればわかりますが、水の確保が絶対的な条件なのです。殆どの場合、大きな川が近くにあるか、地下水が豊富か、です。これから発展途上国が工業化を進めるなら、大量の水が使われます。これまでとは比較にならないほどの「水」が必要なのです。

 工業化だけではありません。人口が増えていく中で、人の生活のクオリティが問われる時、「水」の確保が重要になります。大量のきれいな水はクオリティオブライフに欠かせません。風呂に入ったり、シャワーを浴びる回数は劇的に増えます。発展途上国もさらに衛生概念が高まります。その分、シャワーを浴びる回数も増えるのです。また水洗トイレも増えていきます。日本では一般的になっている水洗トイレも、発展途上国では今から。これが一般的になれば、水の使用量も増えます。

 つまり、水の供給量が減る中で、水の使用量は圧倒的に増えていくと考えられるのです。

 水の汚染も問題になります。人口大国の中国は川の水も地下水も相当に汚染されていると報道されています。特に地下水は汚染されるとその浄化には長い年月がかかります。中国では3分の1の工業・生活水を地下水からとっていると言われますが、この水が汚染されると、水問題が深刻になります。同じく人口大国のインドの水も汚染されつつあります。以前の「大腸菌汚染」から「化学物質汚染」に進行しています。はるかに厄介な状態にになります。使える水はさらに足りなくなっていくのです。

 水不足は食糧不足にもつながります。水のない農業は考えられません。米だろうと小麦だろうと水がなくては育ちません。食物以上に水が必要なのが家畜。間接的に必要な水も考慮して数値化する仮想水という考え方があります。それによれば、農畜産物1kgを生産するのに必要な仮想水は以下のようになっています。

必要仮想水量(農畜産物1kgあたり)

米 3.6トン 、大麦 2.6トン 、小麦 2.0トン 、トウモロコシ 1.9トン 、大豆 2.5トン

牛肉 20.6トン 、豚肉 5.9トン 、鶏肉 4.5トン 、卵 3.2トン

 肉、特に牛肉を食べる率が上がれば、水の使用料は増えるのです。トウモロコシや小麦を食べている人が肉食に変わると水の使用量も増えるという構造です。小麦やトウモロコシも水不足で生産量が減れば、家畜の餌にも影響が及びます。

 ではどうしなければならないか。ここでも日本の技術が求められます。

 まずは節水技術。いかに水を使わなくてもクオリティオブライフを維持・向上できるか、です。水をロスしない技術、水を何度も活用する技術、水を有効に使う日本の技術は素晴らしいものがあります。さらに磨き上げて、世界に応用することが必要です。

 水の浄水技術も日本は世界のトップを争っています。フィルターを使った方法や生物、土壌を使った浄化方法など様々な分野で新たな技術ができています。技術がトップクラスなのに、世界での活用となると日本は2番手、3番手となります。この分野は日本が貢献でき、さらにビジネスになるものです。地球規模の市場です。

 海水の淡水化技術も重要なポイントになります。多段フラッシュ法や逆浸透法などがありますが、コストの問題があります。逆浸透法が主流になっていますが、この方法では日本はトップと言われます。ただ正確なデータが不足し、それも微妙ですが。。いずれにしても、トップクラスの技術は持っているのです。

 水を制する者が世界を制する、といっても過言ではありません。水は人間の生活にとって欠かせないもの。水なしには人間は生きていけないのです。

 日本は水の確保、きれいな水の確保で、新たな貢献をしていくべきだと思っています。水は生命の母です。