田辺市議会、永年勤続表彰を辞退~議員のための市議会ではなく、市民のための市議会へ!

全国市議会議長会が一定の年数以上在職した議員や正副議長を対象にする「永年勤続表彰」というものがあります。この永年勤続表彰は、議員の場合、在職10年以上が対象で、5年ごとに表彰状とバッジが贈られます。この永年勤続バッジは、市議会議員勤続10年以上で金属部分が白金張になり、それ以上では通常のバッジ中央に配されている「市」の文字の部分に宝石がはめ込まれます。15年以上でルビー、20年以上でスピネル、25年以上でジルコン、30年以上でゴールデンサファイア、35年以上でエメラルド、40年以上でアメジスト、45年以上でガーネットとなります。在職年数で宝石の種類まで変わるのです。さらに議長職には別の基準が設けられています。議員職を長く務めることは大変なことではありますが、だからといって、長く務めればいいのか、という素朴な疑問は湧き上がります。

 この永年勤続表彰を和歌山県田辺市議会が2014年度から辞退することを決めたと報道されています。市議会の全会派が「時代にそぐわない」として辞退を申し合わせたといいます。そもそも一体何のためだったのかも今となってはよくわからないものです。議員としての活動が素晴らしく、世のため人のためになったというのであれば、しっかりと表彰すべきものでしょう。しかし、それだからといって在職年数で表彰していくのは、やはり説明がなかなかつかないものです。慣習で行われてきたものですが、確かに「時代にあわない」でしょう。

 議員バッジそのもののお金はそれほど大きなものではありません。しかし、議員であり続けることをそのような形で表彰したり、バッジを与えたりすることはあまり意味があるとも思えません。

 特に日本では、長く在職している議員ほど「格」が上、とみる傾向があります。国会議員でも、その人の能力ややる気よりも、国会議員を何期務めているかが、大臣資格の大きな要素です。地方議員でも同様な雰囲気があります。長老が居座り、議会改革を阻害している自治体は少なくありません。長老がいるから悪いというのではありません。悪い長老がいることもあるのだといいたのです。こうした自治体は不幸です。

 議員の世界ではこうした表彰は大きな意味を持ちます。ですから、もう少しでさらに上のものをもらえる「長老」は「改革」に反対してきたのでしょう。市議会として永年勤続表彰を辞退するのは、田辺市議会が初めてとのこと。個人での辞退はあっても、市議会として辞退する方向には進んでいなかったのです。田辺市議会の勇断と言えるでしょう。

 こうした形骸化した慣習をやめて、もっと市民生活に密着した改革が進むことを願います。議員の勲章は、市民からの賞賛の声です。在職中に行った業績が本当に評価されることが大切。こうした表彰のシステムを作ることも改革につながるかもしれません。