中国政府の省エネ推進政策~日系企業は迅速な対応を!

 中国の環境問題や省エネ問題が話題となっています。中国政府もこうした問題は重要案件に位置づけ、様々な対策をとろうとしています。8月より告知していた事ですが、中国での省エネ政策に基づいた地方政府による査察が具体的に始まっているようです。中国で事業を行う友人から以下のような連絡が入りました。先週、江蘇省の昆山にあります工場に対して、工場内にて使用しているモータ類の使用調査票を提出するよう指示があったのです。提出が要求されているのは6月21日に工信部より発布された通知に基づくものですが、現状のモーター使用状況を一覧に書いて提出せよと通知してきた訳です。これは簡単に言うと「効率の悪いモーターは今後使用禁止とする。従ってモーターを改造して高効率にするか、高効率のモーターに入替をせよ。」との指示なのです。

 さらに、別の事業所には電気の使用量の調査とともに、2013年度のエネルギー削減実績、2014年度のエネルギー削減計画を報告するようにとの通知が送られ、数週間内に提出することとの指示が出たそうなのです。

 これは、私が先の記事「中国国務院『8.1意見』発布~中国は省エネ・環境対策に本気モード」でも述べた今後の予測シミュレーションの2「エネルギー使用の現状報告と省エネ・環境改善に対する計画書が求められる。」に合致しており、今後は3「省エネサービス会社による『エネルギー診断』と『省エネ実施計画書』の提示。」が求められるようになることはほぼ間違いないでしょう。

 さて、ここで非常に注意すべきポイントがあります。6月21日発布の通知に関するガイドラインの記者会見でも発言されており、通知本文でも記されている事なのですが、モーターの高効率化や省エネ改造を行う場合は合同能源管理(EMC)方式を活用して行うようにと示されていることです。即ち、合同能源管理の政府許認可を有する省エネサービス会社を活用して省エネ化事業を実施するよう指針を示しているのです。この重要なポイントを把握していないと、思わぬリスクを被る事になります。なかなか「中国的」といえますね。

 実は遡ること2011年の秋にも政府の指示に従わず、省エネ対策されていない設備を使い続けていた江蘇省にある57の事業所が操業停止処分を受けた事実もあります。中国政府が求めるのは単に結果だけではないのです。中国政府の指示に従うことが求められます。

  「省エネしなければ来年の夏、計画停電時には大変な事になるだろうね」などと脅しのような事を言われた企業もあるというのですから、夏場の計画停電の時には省エネ対策の遅れている事業所から電気を止められてしまうことも十分予測できます。

 省エネ対策は、もう担当者任せにしておくレベルの事では無く、総経理クラスの管理者が先頭に立って推進していく必要があるのです。10年前と異なり、今の中国では突然思わぬ事は起きません。必ず事前に政府より政策など発布されています。この通知などを知らなかったり放置していると思わぬ事態に陥るのです。中国では中国のルールを守ることも必要です。

 よく言われることに「突然役所の人が来て・・・」と中国政府のせいにして責任転嫁される方がいらっしゃいますが、これは日頃から中国政府の政策などを調べて対策を取っていないということなのです。中国政府の問題もありますが、それを持ち出しても始まりません。そうした対応を読んで、しっかり対応するしかないのです。

 いやもっと言うならば、日系企業の中国リスクの一つとして日本政府などが率先し対策を講じるべきことではないでしょうか?省エネをしていないことによるリスクもさることながら、日本の持つ優秀な省エネ・環境技術の中国への展開の大きなチャンスであるとみることもできるのです。今こそ日本の技術を活かして中国の環境問題に対応し、率先して日本企業が取り組むことで大きな流れが変わるチャンスなのです。

 現場で操業する企業においては、これをこのまま省エネ対策を放置すれば最悪の場合は操業停止になるでしょう。すぐにでも合同能源管理の資格を有する省エネサービス会社に相談し、緊急対策が必要です。【ちなみに、資格を有しているのは多くは中国企業。日系独資で資格を有するのは、現在では上海清環環保科技有限公司(e-mail:info@steco.asia)の1社のみとなっています。このほかに外資系の省エネサービス会社としては、米国系のジョンソン&コントロールズ、ドイツ系のシーメンスなどがあります。】

 消極的に対応しリスクだけを回避するのか?それとも積極的に対応し、政府の補助金の獲得や様々な生産コストへの影響を最低に抑え、日本技術の拡大発展を勝ち取るのか?選択が必要なときです。

 確かに中国政府の要求は納得できない部分もあります。しかし、それを逆にチャンスとして生かすくらいのしたたかさが求められます。