今年の2月に韓国の朴槿恵大統領が就任したとき、日本においても、冷え切った日韓関係の改善につながるのではないかという期待感がありました。しかし、その期待は大きく裏切られ、日韓関係はさらに冷え込むという状態になりました。朴槿恵大統領は中国寄りに外交をシフトし、反日一辺倒といわれる極端な外交を展開しています。中国以上に日本とは対話もしないというスタンスは、問題解決の糸口を見出すのを困難にしています。

 ヨーロッパやアメリカに対して、日本批判を繰り広げ続けることは、両国間の溝を深めるだけでなく、国際的な韓国の地位をも微妙なものにしつつあります。一体、朴槿恵大統領は今後の日韓関係をどうしようとしているのでしょうか。安倍首相が土下座して、全面的な謝罪をするというありえない展開にでもならなければ、日韓の関係改善ができない、というようなスタンスはどちらの国にとってもマイナスでしかありません。対話と交流こそが、関係改善の最善の策という原則に早く戻ることが大切です。

 まずは国際政治、防衛の視点から考えましょう。北朝鮮問題は、なかなか改善へと向かいません。北朝鮮と韓国の関係もかなり冷え込んだままです。多少の改善があっても、またあっという間に冷え込むという展開を繰り返しています。ケソン工業団地の問題も改善に向かうのかと思いきや、また停滞、という感じでどうなるか予断は許せません。核の問題も解決には程遠い段階です。日本とアメリカの関与は韓国にとっても重要なはず、なのですが、今のままでは協調した対応は難しくなっています。

 さらに重要とされるのは、経済。韓国経済と日本経済は非常に密接に結びついています。反日政策が続く今でも、経済の分野では密接な交流があります。しかし、強いレベルでの反日政策が長引くと、さすがに経済にも影響してきます。日本人の反韓感情も強くなり、経済での交流も停滞気味になっています。韓国の不動産バブルの破たんも秒読みになってきました。こうした時にはちょっとしたことが、大きな動きを生みます。日本企業の撤退や、日本をはじめとした海外企業の投資の鈍化は、バブル経済の破たんをもたらします。さらにその時に、日本が支援をしなかったら、韓国経済は非常に大きな打撃を受けます。その支援を中国に求めているという構図ですが、中国もシャドーバンキングの問題で、厳しい状況です。

 中国をパートナーとする形を極端にとると、中国の覇権主義との関係も問題となります。また中国経済がかつての勢いを失う中では韓国経済が頼り切るのは大きなリスクになります。

 このように考えると、韓国にとっても、日本との関係を悪くするのは、デメリットがはるかに大きいことが分かります。長期の反日政策は、日本での反韓感情、韓国での反日感情を強め、両国にとって大きなマイナスでしかありません。

 朴大統領の主張を仮に受け入れたとしても、今の韓国の反日政策で日本の政策が変わるとも思えません。むしろ、日本は韓国の主張をさらに受け入れなくなるでしょうし、第三者も韓国の主張がいいとも思わないでしょう。

 安倍首相は、対話の呼びかけをしています。このスタンスを続けるべきだと思います。韓国が反日だからと言って、日本が反韓政策をとれば、さらに問題解決は遅れます。対話の姿勢を崩さず、しかし媚びすることなく、笑顔で対応を続けることが最良の政策でしょう。こうしたことを書くと、もう韓国のことは放っておけばいい、という日本人の意見がでることがあります。私は、日本にとって韓国は非常に重要なパートナーであると思っています。日米間系に続いて重要なのは日韓関係です。日韓のラインが崩れることは、日本にとっても韓国にとっても大変に大きな損失です。お互いの国、そして国民が文化を尊重して、協働して発展して行く道を選択するしかないはずです。今の状況をどう変えるのか。

 鳴かずとも、笑顔で待とう、ほととぎす、が最良の政策と思っています。いずれ、一緒に対話できる日がきます。そしてその日はかなり近いのではないかと思っています。関係が改善し始めれば、正常化へのプロセスは早いはずです。日本料理も韓国料理も美味しい料理です。美味しいものを食べて、美味しい酒を飲んで、笑顔で対談できる関係を強固に作っていきたいものです。