「働くこと」を学生と考える~連合三重と共同で授業を展開

 「働くことは何か」。何か哲学的な問いかけですね。これはかなり難しいテーマです。しかし、ほとんどの人はこのテーマから逃れることができません。考え、悩み、模索し続けなければならないテーマです。

 学生にとってもこれは大きなテーマです。すぐに職場を考えていかなければなりません。どこで、どのような仕事をしていくのか。そこでの待遇はどのようなものなのか。仕事は楽しいのか、苦しいのか。一生続けるのか、転職も考えていくのか。家庭と両立するのか。こうした疑問がたくさん出てきます。

 三重大学ではこの10月から「働くこと」をテーマにして、連合三重と一緒に講座を持っています。これまでにすでに、労働の現場の問題、働くことの意味、労働組合とは、世界の労働組合運動の流れ、などについて講義などがありました。学生の反応もよく、真剣に聞いています。

 今日は、連合三重の方々と学生とが働くことについてのディスカッション。相当に話がはずんでいます。日本経済は、バブル経済の破たん、リーマンショックなどを経て、厳しい環境が続きました。学生にも就職に関して浮ついた気持ちはありません。一生の仕事をどうするのか。彼らも必死です。

 これまでの学生の授業に関する感想の一部です。

「今までの授業や講義を通して社会の仕組みや労働問題などの労働に関することはほとんど理解していると思っていたが、この講義を受講してそれが思い込みだということがわかった。連合では就職することが難しく、なおかつ就職できたとしても長時間労働やストレスにさいなまれるという現状を見直し、誰もが安心して生活ができる社会を目指し取り組んでいることを知り、このような考え方や取り組みが全国の企業や組織に広がれば今現在の社会問題である雇用問題などを解決するための糸口になるのではないかと思った。」

「連合について私の中の知識は0に等しいものでした。高校で、一度習ったという記憶がかすかにはあるのですが、それも今ではなくなっています。ですから、今日の講義で一から説明していただけたのは本当に助かりました。今、日本の社会経済の状態は、社会の事情をよく知らない私でさえ決していいものではないことはわかります。また、労働者の力は非常に弱く、雇用者に対する講義の機会さえ奪われているのではないかと感じます。労働三権があるとはいえ、もっと労働者と雇用者が対等であれるような制度へと改善されていくといいな、と思います。「労働組合に所属している人だけでなく、それ以外の労働者のことも」この考え方にはとてもいい印象を持ちました。なかなか難しいことではあると思いますが、これを実現できたらすばらしいと思いました。」

「自分は今まで将来の事についてはあまり真剣に考えたことはありませんでした。しかし、誰でもいずれは仕事につきます。今回の講義で労働組合についても色々とお話をして頂いて、日本の働く現場が昔より苦しくなっていることもわかりました。」

「今回の講義を受けて現在、日本が抱えている就職に関する問題を改善、解決していくことでこの不安定な雇用問題によってうみだされた非婚化や少子化などの問題をも改善することができる可能性があると知り、そして、いままで以上に労働問題を解決することの重要性や労働組合の活動の意義を理解することができた。また、アルバイトという活動のなかで労働の苦労を実感し、さらに、あと数年もすれば労働者の一員として社会にでていく我々はこの講義を通して、労働組合や労働問題についての知識を身につけ、働くということについてしっかり考えておく必要があると感じた。」

「今まで労働という言葉に対して漠然とした考えしか持っていませんでした。しかし、実体験を聞いて理解を深めることができました。また、労働組合は知っていましたが日本労働組合総合連合会というものは知りませんでした。単位組合や産業別労働組合など様々な組織があるのだと思いました。生きていく上で働くということは切っても切り離せないことであるにも関わらず、労働について自分は知らないことが多いということに気付くと同時に、労働についてより考えていこうと思いました。」

「講義の中で、「一部の貧困は全体の繁栄にとって危険である」という労働運動の指針を読んだ。貧困が社会不安を生み、戦争につながるということを知り、国際ボランティアなどの国際的活動意義について改めて考えさせられた。講義を受けて、これからの不安定な社会の中で働くことについて、労働についての知識をつけ、いかなる状況でも自分の身は自分で考えられる人間になりたいと思った。」

「今まで歴史の授業で労働組合やその運動について大まかなことしか知らなかったが、今回の講義で実体験に即した話などしていただき理解が深まったと思います。また、昔と今とで職場の状態が異なっていることがわかりました。」

今まで大学生になってから、非正規労働者などの問題について調べたこともありましたが、労働組合について興味・関心を持ったことはほとんどありませんでした。それは昔ほど活動が活発でないし、日本では以前からストライキを行うことがほとんどなかったからです。しかし、今回の講義を受けて、ブラック企業や非正規労働者が問題となっている今、労働組合によるストライキや春闘がなぜ活発でないのか疑問に思いました。今日、終身雇用や年功序列制度がなくなりつつあり、収入が増えるのではなくどんどん減らされていくことも多く、結婚や出産を諦める若者が増えていることは一番大きな問題で感じました。人口の減少につながり、少子高齢化社会へさらなる加速をしてしまいます。これからの日本を考えたとき一番基礎となるのは労働だと改めて思いました。」

 これから労働環境はますます厳しくなっていくかもしれません。一緒に真剣に考えることが、最も大切でしょう。講義やディスカッションを通じて、学生が何かを感じてくれればと思います。