アメリカ、イスラエル、ユネスコの投票権を失う~日本の出番だ!

 ユネスコ憲章の前文には「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和の砦を築かなければならない」と書かれています。そのユネスコが、国際政治の対立の中で、危機に瀕しています。

 ユネスコ分担金の22%を担う最大の拠出国であるアメリカが拠出金の支払いを凍結したのです。アメリカの拠出金は年間8000万ドルにのぼります。約80億円です。ユネスコはもともと財政的に豊かな団体とは言えず、このアメリカの拠出金の停止は、大きなダメージを与えます。

 ユネスコは、2011年10月31日の採決で、パレスチナを正式な加盟国として迎え入れることを決定しました。その時の票は、集った173のユネスコ加盟国のうち、賛成が107、反対14、棄権が52でした。圧倒的に加盟は支持されたのです。棄権の52もアメリカへの配慮でしょうから、世界の圧倒的多数が支持して、パレスチナはユネスコの加盟国になったのです。これに反発したのが、アメリカとイスラエル。アメリカとイスラエルはユネスコへの拠出金の支払いを凍結したのです。

 アメリカの法律ではパレスチナを正式会員とする国際機関には資金を出さないと規定しています。アメリカは、ユネスコへの拠出金を停止するということによって、ユネスコの決定に対抗したのです。

 ユネスコ総会で圧倒的多数でパレスチナの加盟は認められたのですから、これを覆すことはできません。しかし、アメリカがパレスチナがいるなかで、方針を変えて、ユネスコに戻る可能性もほとんどありません。ユネスコはデッドロック状態になりました。

 ユネスコの規定は、拠出金の不払いが2年間続いた場合、総会での投票権を自動的に停止すると定めており、この11月8日が期限でした。この期限を過ぎたので、アメリカとイスラエルは総会での投票権を失ったのです。

 ユネスコは平和の文化をつくる機関です。国連本体とも違う機能を持っています。政治的に対立する国・地域があるからこそ、ユネスコの役割は重要になります。大国アメリカがこうした形でユネスコへの関与を大幅に下げることは、全く望ましいことではありません。ユネスコの日常業務にも大きく影響します。ユネスコは今、大幅な人員カットを迫られています。平和の砦が崩壊しつつあると言って過言ではありません。

 アメリカが拠出金が停止されると、実質的に日本が最大の拠出金国となります。主要国分担率(2013年予算):上位5ヵ国は、アメリカ(22%)、日本(10.834%)、独(7.142%)、仏(5.594%)、英(5.179%)となっています。日本の政治力が試されるときです。アメリカは長期離脱状態になるでしょう。日本はアメリカの盟友です。少なくともそのはず。そしてユネスコの最大の拠出金国です。イスラエルともパレスチナとも良好な関係を持っています。このデッドロックを乗り越えさせることができるのは、日本です。国際舞台から存在感をなくしてきた日本。さあ、新たな役割を担って、平和の文化を作っていく先頭になりたいですね。