星野監督の情熱IP野球が日本シリーズを制した!

 楽天が日本シリーズを制しました。なんといっても田中将大投手の9回での登板が注目を集めました。前日、160球を投げ、普通なら5~6日を空けないと投げる状況にはありません。メジャーでは80球から100球が一つの目安。日本野球においても120球を超えると交代というご時世で、高校野球並みの160球を投げたのですから、その後は完全休養のはずでした。星野監督自身が「考えられないような継投」という田中投手の起用で、日本一の栄光を勝ち取りました。

 星野監督と田中投手とのイメージのダブりを感じた人も多くいるでしょう。田中投手と言えば、勝利の時に吠えて、ガッツポーズをすることでも知られています。投手はクールに感情を出さずに淡々と投げる、というスタイルが多くなってきましたが、田中投手は、情熱を体いっぱいに表現します。これは投手時代の星野氏にも共通のもの。熱く燃えるスタイルが星野流です。監督時代には暴言、退場は頻繁にありました。意気に感じて、勝利する、という勝利の方程式を作り上げました。

 楽天の監督も務めた野村監督は、かなり雰囲気が違います。データを重んじて、確率を高めた作戦でぼやきながら勝利するという方程式を作り、それは日本野球の新たなスタイルにもなりました。「根性」だけを強調した日本野球に合理性を注入しました。中日の監督を務めた落合氏もクールな確率重視の采配をしました。日本シリーズでは、8回までノーヒットで、完全試合の可能性のある山井投手を9回に替えるという采配もしました。

 野村監督や落合監督の采配からは、今回の前日160球投げた投手をさらに投げさせるということはまずありえなかったでしょう。確かに今年の楽天のシリーズ制覇は田中投手の活躍なしには語れません。しかし、だからといって、日本シリーズでこうした「考えられないような継投」をさせるのは無謀の域です。

 しかし、現実として、楽天はシリーズを制し、日本シリーズも制しました。データ重視の野球は確かに日本プロ野球に大きな発展をもたらしました。とはいってもやはり野球は人間がやるもの。意気に感じて、自分の力以上を出すこともスポーツでは重要なことです。星野監督と田中投手はみごとに、この情熱野球を成功させました。野村監督のデータ野球をID野球(Important Data)というなら星野監督の情熱野球はIP野球(Important Passion)と言えるでしょうか。

 この二人の情熱に、美馬投手や則本投手などの力も最大限に発揮されたと言っていいでしょう。日本が必要なものはこの情熱です。星野IP野球は、日本プロ野球だけでなく、日本の社会の新たな方向性と示してくれたようにも思います。

 まずはおめでとう、楽天ゴールデンイーグルス。