素晴らしかったオリンピック招致のプレゼンテーション

2020年のオリンピックは東京に決定しました。イスタンブールとの決選投票で、60票をとり、圧勝です。もともと東京のプランは高く評価されていました。選手村から半径8キロ以内に競技会場の85%を配置するコンパクトな開催計画のほか、1日2500万人を時間通りに輸送できる鉄道網や、4000億円の開催基金の積み立てなど、高い評価を得ていました。しかし、それでもわからないのがオリンピックの招致です。ほぼ決まりと言われていた名古屋オリンピックの招致の時も、結局ソウルに逆転負けしました。

日本が弱い部分の一つはプレゼンテーション。英語やスペイン語でのアピールが求められます。もちろん通訳を介することもできますが、アピール力は大きく下がります。

今回の日本のプレゼンテーションは素晴らしい出来でした。日本のプレゼンテーション力がここまで上がったのか、と驚くほどの素晴らしいものでした。安倍首相のプレゼンテーションはあえて、福島原発事故の汚染水の問題に触れました。日本は「安全だ」「安全だ」の連呼で、まともに答えていない、という批判がありました。プレゼンテーションにおいて、この問題を避けるとか、曖昧にすますなら、印象はさらに悪化した可能性があります。安倍首相があえて、この問題に触れ、しっかりと説明したことは好印象を与えたといえます。福島原発の汚染水漏れの問題は深刻です。これから長期にわたって取り組まなければならない重要な問題です。しかし、客観的に考えれば、福島での汚染水漏れが東京オリンピックの開催にあたって安全面での問題を与えるとは考えられないものです。政治的な意図をもって、この問題がオリンピック誘致においてクローズアップされたと思います。その問題にあえて触れ、説明したことは、非常に良かったと思います。ただ、実際の問題の解決は困難であり、相当な年月と費用がかかるものではありますが。

また、復興に関するアピールも心を打つものがありました。高円宮妃久子さまの冒頭の挨拶は、被災に対する世界の方々からの援助へのお礼を述べるものであり、日本が世界に対して感謝している姿勢をイメージすることができました。またパラリンピックの選手である佐藤真海さんのプレゼンテーションも素晴らしいものでした。大学時代に骨肉腫で右膝から下を切断し、東日本大震災では宮城県気仙沼市の実家が津波被害に遭った佐藤さんが、希望を与えるものとしてのスポーツを訴えました。希望を与えるスポーツの意義を訴え、オリンピックが日本にとってだけでなく、世界にとって重要だ、というメッセージを出したことは、委員の心をつかんだと思います。

過去 2 大会での銀メダリストである太田雄貴選手のプレゼンテーションは選手の立場から東京オリンピックの計画が非常に良いものであることを強調しました。選手にとっていい計画である、ということを選手が強調するのは意味がありました。

このほかにも、招致委員会理事長、竹田恆和氏、東京都知事、猪瀬直樹氏、招致委員会副理事長兼専務理事、水野正人氏、招致アンバサダー、滝川クリステル氏の演説はすべて素晴らしいものでした。

よく準備され、意図がわかるものでした。これまで日本人はプレゼンテーションが弱いと言われてきましたが、新たな日本の力を見せてくれたように思います。

2020年まであと7年。1990年にバブル経済が崩壊してから、日本はずっと退潮の時代のイメージがありました。しかし、日本には誇るべき文化と力があります。この東京オリンピック開催が、新たな誇るべき日本を作っていくシンボルとなることを期待しています。

おめでとう!