エジプトのクーデターがトルコの混乱に拍車をかける可能性

  エジプトで軍による事実上のクーデターが起きました。そしてその混乱はまだ収まっていません。むしろ混乱はさらにエスカレートする可能性もあります。実際にクーデターを起こした軍と追いやられた前大統領派のデモがぶつかり、死者もでています。解任されたモルシ前大統領支持派と反モルシ派の衝突などで30人が死亡したと報道されています。こうなると恨みが恨みを買うという対立のエスカレーションになります。簡単には収まらない状況になりました。

 エジプトのマンスール暫定大統領はノーベル平和賞受賞者で、国際原理力機関前事務局長のエルバラダイ氏を暫定首相に任命し、組閣を要請したと報道されています。 エルバラダイ氏は、世俗、リベラルの主要勢力でつくる「救国共同戦線」を率いています。国際的な知名度が高く、交流もありますから、世界との対話という点からは意味があるでしょう。しかし、これくらいのことで混乱は収まる気配はありません。

 中東の多くの国では、イスラム派とリベラル派との対立があります。このように単純化するのは問題かも知れませんが、大きく言ってイスラム教をベースに政治をしようとするグループとより西欧化した価値観で政治をしようとするグループとの対立があります。

 今回のエジプトのクーデターは中東の他の国へもかなりの影響を与えつつあります。イスラム派がリベラル・世俗派+軍によってクーデターを起こされたという構図です。

 これが他の国に飛び火する可能性があります。まずはトルコ。トルコでも5月末以降、イスタンブールの中心部再開発問題を発端にして全国的な反政府デモが起きています。局地的、局部的な対立というよりも政府対反政府の様相となっています。エルドアン首相はイスラム派としての方向性を強めようとしていたときに、反対勢力が声をあげました。つまりエジプトの構図と似ているのです。

 エジプトのクーデターは今後どう展開するか予断を許しませんし、世界からの支持を得るかどうかも今後にかかっています。しかし、とりあえずは、リベラル・世俗派がクーデターに成功したという事実は、トルコの反政府の活動家たちを活気づけます。ここでも簡単に混乱が収まらない可能性がでてきました。

 これは経済にも大打撃を与えます。好調だったトルコ経済は大きな試練の場にたたされています。外国企業の投資は様子見となりますし、観光産業も痛手を受けます。イスタンブールはオリンピック誘致の最有力候補でしたから、オリンピック開催⇒インフラ整備⇒先進国の仲間入りという鉄壁のシナリオがありましたが、これも不透明になりました。EU加盟問題もやっと動くかというところでの社会混乱で、さらに加盟は遠のいたといわれます。

 経済が落ち込むと反政府運動はさらに加速することになるのが普通の展開。力で封じ込めようとするとオリンピック誘致もからみ、国際的に批判を浴びます。国際社会はトルコを注視しています。

 エジプトのクーデターはトルコの混乱にも大きな影響を与えると思います。暑い夏に、中東は激動しそうです。

 アラブの春からわずかに3年。新たな枠組みでアラブの夏が訪れようとしています。