参議院選挙直前の衆議院解散による衆参同時選挙はあるのか?

ここにきて、衆議院解散による衆参同時選挙の可能性も浮上しています。一般的に言えば、昨年末に衆議院選挙をしたばかりで、1年にも満たない状態での解散総選挙は異例中の異例となります。ありえない、というのが一般的な見方。私もそう思います。そもそも国政選挙には大きな金がかかります。国のお金もかかりますし、個々の陣営にも相当な金がかかります。昨年の衆議院選挙でお金を使い、借金を抱えている代議士もいますから、少なくとも2年は間隔をあけなければ、やってられない、のです。その代議士の下には多くの秘書などが雇われています。総選挙となれば、彼らの生活もまた選挙の結果次第となります。1年で選挙をされたら、たまったものではありません。

このように考えるなら、近々の衆議院解散総選挙はまずありえない、と思います。

しかし、安倍首相はあえて、この非常識をやる、という可能性が強くなってきたと思っています。まず、形式的な要件としては、1票の格差問題があります。4月23日に衆議院本会議で「0増5減」法案が可決し、参議院に送付されました。現在の状況は、昨年末の総選挙に関する1票の格差問題での違憲判決続出があり、このままでは昨年の衆議院選挙が無効になるという議論があります。本当に無効となるかどうかは、議論の分かれるところですが、それくらい本気で改革すべきだ、という主張にはかなりの人が賛同するでしょう。違憲状態解消優先の方針を全面にたてるなら、早い段階で「0増5減」法案を成立させ、もう一度、総選挙をやり直すということは、筋は通っています。「0増5減」では不十分だ、という主張はありますが、それ以上になると合意がとれるかどうかも分かりません。違憲状態のままでもう3年やるのか、と逆襲されれば、野党も強くは反発できない状態です。民主党は、選挙制度改革を明確にしないままに、昨年の解散総選挙を挙行しました。いわば、民主党政権が残した宿題でもあり、民主党は「0増5減」の先行案と早期の解散総選挙に反対してもあまり説得力がない、ということもあります。

ただ安倍首相があえてこの非常識ともいえる解散総選挙を行うとしたら、こうした筋論ではなく、彼の本命の憲法改正を実現するためのものでしょう。現在、安倍内閣には非常に高い支持率があります。好調なアベノミクスをもとにして、順風のたちあがりです。確かに自民党は総選挙で大勝しましたが、自民党に風があったわけではありません。民主党がこけたから、その反発票がきただけ。しかし、今の自民党には風があります。前回の総選挙では、自民党の政策が支持されたわけではない、という評論が多くありました。民主党が否定されただけだ、と。この状態で憲法改正という大事業をやり遂げることは難しいことも確か。ここであえて総選挙をして、前回以上の結果を残すなら、安倍内閣は国民の付託を得た、と主張できるでしょう。

では7月の解散総選挙による衆参同時選挙となったら、どういう結果が出るか。まずは衆議院。前回の選挙が自民の大勝でしたから、大幅なアップとはいきませんが、それでもさらに10議席くらいの積み上げができます。選挙資金は大変ですが、それは野党の方がもっと大変。相対的に言えば、風があり、体力がついている自民党がさらなる議席増を実現します。参議院選挙は、憲法改正案の議決に必要な3分の2を獲得するのが難しい情勢。しかし、衆参同時選挙となると、参議院選挙でも自民党にいくつかの積み上げがありえます。なんといっても衆議院では圧倒的に議席を獲得している自民党が、同時選挙をするなら、参議院でも自民に有利に運びます。自民の取りこぼしがさらに減り、圧勝中の圧勝となる可能性があります。こうなると、自民の内部を固めることができますし、維新や民主の一部などとも連携し、参議院でも憲法改正の3分の2を確保することができる可能性が高まります。

今、解散総選挙による衆参同時選挙をするなら、おそらく次の3年間は大きな国政選挙はありません。つまり安倍内閣は3年間かけてじっくりと憲法改正に取り組むことができるのです。

このように考えると、もし安倍首相が本気で憲法改正に取り組む意思があるなら、(あると思いますが)、一見非常識にみえる参議院選挙直前の「まさかの違憲状態解消衆議院解散」による衆参同時選挙もかなりの可能性があるのです。安倍政権への高支持率もいつまで続くかわかりません。来年に解散しようとしても、その時にはかなり支持率が落ちているかもしれません。そういう状況で解散総選挙したら、憲法改正はますます遠のきます。となれば、高支持率の今、あえて解散をし、国民の付託を受ける、という手は、十分に「ありえる」のです。

私個人は、日本はあまりに衆議院選挙をしすぎており、解散総選挙は頻繁にすべきではない、と思っています。しかし、情勢を分析すると、安倍首相はやるかもしれない、と思っています。参議院選挙だけではなく、同時選挙の可能性が一気に浮上しています。