あまりに危険な北朝鮮の賭け~本当にミサイル攻撃のリスクが高まっている

北朝鮮の行方が不安定になっています。一種の孤高主義であるだけなら安定していますが、今の状況は自らの退路を断った強硬姿勢がみられます。これを単に駆け引きとみることができるのか。駆け引きとしてはあまりに危険で、現実性のない方向へと移りつつあると思っています。

驚かされたのは、南北協力事業「開城ケソン工業団地」が北朝鮮による妨害で操業停止に追い込まれたことです。北朝鮮の中央特区開発指導総局報道官は、開城工業団地について、「完全閉鎖は時間の問題だ」と語り、「閉鎖されれば多大な損害と被害を見るのは韓国側」とし、「我々は開城工業地区の広い地域を軍事地域として取り戻し、南進の進撃路が開いて祖国統一の戦いに有利になる」と強調したといいます。確かに韓国の企業もかなりの損害を受けることは確かです。しかし、こうしたリスクも考えたうえでの投資でもありました。普通に考えれば、北朝鮮にはるかに大きな打撃があるはずです。この開城ケソン工業団地は、北朝鮮からすればいわゆるハードカレンシーを得る非常に重要なシステムです。多くの雇用が生まれますし、様々お金が動きます。今、北朝鮮はハードカレンシーがほしくてたまらないはずです。核軍事化路線をとっていますが、これには巨額のハードカレンシーが必要。偽ドル、麻薬などもかなりガードが固くなっていますから、いつまでも頼るわけにはいかないでしょう。日本からの送金も厳しくなっています。中国との貿易や中国からの支援に頼っている状態ですが、中国との関係も微妙になりつつある今、韓国との協力事業は堂々とハードカレンシーを得ることができるものでした。これを自ら断つというのは、相当に追いつめられた状態にあると考えられます。

韓国との共同事業であった金剛山観光事業も2008年の韓国人女性殺害事件から停止されたままです。これも北朝鮮からすればドル箱事業であったはず。私も金剛山には行ったことがありますが、そこそこの価格がつけられていましたから、かなりの収入になっていたはずです。こうしたハードカレンシーを得る事業が次々となくなる中で、巨額の費用のかかる核軍事化が進められているのです。確実に崩壊への道を歩んでいるとしか言いようがありません。

北朝鮮の朝鮮中央通信は、北朝鮮に昨年11月3日に観光客として入国後、同国に対する犯罪行為を犯したとして拘束された米国人のペ・ジュンホ氏の裁判が最高裁判所で開廷されると伝えたといいます。いわば人質にとり、それを交渉に使おうというものでしょう。

ここまでくると、外交の駆け引きのレベルを超えています。北朝鮮は、最近特に、韓国や米軍基地、日本への攻撃をすると脅しています。単なる脅しとみることはできないと思っています。つまり北朝鮮はあまりに追いつめられていて、アメリカや韓国が交渉に応じてくれなければ、攻撃するしか手がなくなるのです。駆け引きのつもりが、駆け引きに終わらず、本当に攻撃が始まる可能性も否定できなくなっていると思います。

極めて危険な賭けに北朝鮮は挑んでいます。この危険性を北朝鮮自身がどれだけ自覚しているのか。この危機にあって、日本が中国、韓国と外交上うまく行っていない状態にあることを非常に憂慮します。東アジアはかなり不安定な状況に入っています。