公開討論会が始められたのは90年代の後半。最初は、苦難の連続でした。選挙の前に候補者(候補予定者)から政策について議論してもらう、という極めて当然に思えることも、自分の陣営の選挙に有利か不利か、といういう視点で考えるところもあり、簡単にはいきませんでした。様々な妨害もあり、公開討論会を開くのなら夜道を気を付けろ、などという話もありました。こういう人たちが選挙を担っているのか、と愕然としました。当時の選挙は公共事業と直結しており、選挙の結果が企業の利益を大きく左右します。まさに「仕事」として選挙をしているのであり、公開討論会などは「民主主義の遊び」であり、彼らにとってはいい迷惑、だったのです。

しかし、リンカーン・フォーラムは公開討論会を続けました。2003年くらいからは青年会議所の皆さんがこの公開討論会に取り組んでくれるようになり、公開討論会は一気にレベルアップしました。現在までに、リンカーン・フォーラム方式の公開討論会は2407回開催されています。市民権を得たといえます。

公開討論会を開催すると、候補者(候補予定者)の政策や人柄、政治観が浮かび上がってきます。これまでの選挙では、候補者はただひたすらに握手をし、スピーカーで名前を連呼するだけでした。実際に、演説で政策を語ろうとする候補者がいると、参謀が止めさせました。票が逃げる、というのです。当たり障りのないスローガンだけを連呼すればいい、というのです。「福祉、福祉、福祉の〇〇」というように、政策は語らず、スローガンを連呼するのが選挙でした。何が論点なのかも、どういう政策が展開されるのかも全くわからないままの選挙。文字通りジバン、カンバン、カバンの選挙だったのです。

公開討論会では、政策を語ってもらいます。政治観を語ってもらいます。この基本的、初歩的なレベルに日本の選挙もやっとたどり着いたといえるでしょうか。

効果はこうした選挙に直結したものばかりではありません。公開討論会を聞きにいくと、会場の人が一緒になって、「わが町」のあり方を考える機会となるのです。時にはひどい候補者(候補予定者)もいます。それをみて、こんなに政策がない人が政治をつかさどっていたのか、とあきれる人もいます。政治を自分たちがしっかりとやらなければ、社会は変わらない、と思う人も少なくないのです。日常の活動で、地域のあり方や社会のあり方について考えることはあまりありません。しかし、公開討論会を聞くことによって、自分たちの町をどうしようか、どうすべきかを考える機会が与えられるのです。これは非常に大きなプラスです。

また公開討論会が青年会議所など地域の民間団体によって主催されていることも重要なことです。彼らも、公開討論会を主催することによって、より深く地域づくりについて考えるようになっています。自分たちが地域の担い手なのだ、と改めて感じる機会なのです。

たかが公開討論会、されど公開討論会。しっかりと企画して、継続するなら、新たな地域の未来が見えてきます。

ちなみに4月5日には名古屋で公開討論会が開催されます。ぜひ見に来てください。

名古屋市長選公開討論会

日時:平成25年4月5日(金)受付18:30 開会19:00

会場:名古屋市芸術創造センター(名古屋市東区葵1丁目3番27号)

出席:河村たかし氏、柴田民雄氏、藤沢忠将氏

コーディネータ:児玉克哉(リンカーン・フォーラム中部代表)

主催:公益社団法人名古屋青年会議所

共催:リンカーン・フォーラム中部

ローカルマニフェスト推進ネットワーク東海