大気汚染、土壌汚染、水汚染~中国で何が起こっているのか、起こるのか

4月2日付の中国紙、21世紀経済報道によると、中国で2010年に大気汚染が原因で健康を損ない死亡した人は123万4千人で、中国全体の死者の約15%を占めたといいます。驚くべき数字です。まあ、こうした数字は「推測」に基づくものですから、実際をどれだけ反映しているかはよくわかりません。しかし、中国における大気汚染は深刻であることは間違いないようです。微小粒子状物質「PM2・5」などの汚染物質が人々の健康に大きな悪影響をもたらしていることは容易に推察できます。本格的な健康被害のレベルにまできているといえます。

大気汚染が注目されていますが、私は土壌汚染、そして水汚染の方がさらにやっかいなものだと思っています。特に水汚染が与える影響は深刻です。水は人間が生きていくうえで欠かせないものですし、産業においても必須のものです。飲み水も問題です。中国はかなり地下水に依存しています。その地下水が汚染されると浄化には非常に長い年月が必要になります。多くの人が飲み水として活用している地下水が汚れていれば、当然、大きな健康被害が出ます。飲み水だけではありません。農業にも畜産業にも水は不可欠です。その水が汚染されていれば、育った農作物は当然汚染されているといえます。また家畜もその汚れた水を飲んで育っていますから、有害物質が蓄積されている可能性もあります。水汚染に加えて、水不足も追い打ちをかけます。工業の発展にも影響を与える可能性が出てきています。

こうした大気汚染、土壌汚染、水汚染は、中国の経済成長に大きなブレーキをかけるのではないかと危ぶんでいます。最も直接的なのは、外国人の中国離れ、金持ちの中国離れです。すでに北京を離れる、中国を離れる外国人は増えています。特に子どもを持っている家族は中国を敬遠するようになっています。中国の今の繁栄は、外国資本が大量に投入されてきたことにもよります。外国人が離れるということは、資本の投入が減少することとつながります。また金持ちの中国人も、海外で暮らせるのであればということで、中国を離れる傾向があります。彼らは資本も一緒に持っていきますから、中国の経済としてはマイナスに動きます。

大気汚染だけでなく、水汚染にも関心がいくなら、この傾向はさらに強まると予想されます。

私は大気汚染は、徐々に規制が強まるとともに緩和されていくと思っています。それも中国政府の意思の強さがどのくらいかに依りますが。。もっと問題なのは土壌汚染と水汚染。これは時間がかかります。土壌に染み込んだ化学物質は時間をかけて地下水に入ります。つまり仮に今、汚染をやめても水への汚染を止めるのには長い時間がかかるのです。

ここまでのレベルの環境汚染となると、経済活動にもかなりの負荷を与えると考えられます。この20年間、中国は問題があろうとも、凄まじいばかりの経済成長でそうした問題を隠すことができました。さらに大きな海外投資がやってくることによって、実体経済も一緒に膨らませてきました。もしこの経済成長に陰りが出たら、環境汚染による健康被害の問題や貧富の差の問題など、様々な問題が表に出てくる可能性があります。社会秩序の崩壊も十分にありうる展開です。これは日本にとっても大打撃です。どういうことになるか、予想もつかないレベルです。

これを防ぐには、環境技術のある日本企業との連携が必要だということは容易にわかることです。尖閣などをめぐって日中間の冷戦が続く中、どこまで本格的にこの協力ができるのか。今、本気でこの問題に取り組まなければ、中国は経済成長の低迷と社会不安の両方を一気に抱え込むことになりえます。日中間での対話と協力は、お互いの国の生き残りと発展においても最重要課題となっているのです。