安倍政権は1月22日の経済財政諮問会議で、2013年度政府予算案をつくるための「予算編成の基本方針」=キーワード=原案を示しました。「成長と富の創出の好循環」を目指し、経済のパイを大きくする姿を描きます。 「政策の哲学を『縮小均衡の分配政策』から『成長と富の創出の好循環』へと転換」 というのが基本的な姿勢です。そのために、大胆な金融緩和策を行います。

確かにここ10年の日本の現状をみると、後ろ向きな議論が多く、積極的な成長戦略は非常に少なかったといえます。単純な支出カットで浮くお金よりも景気回復によって生まれるお金の方が大きいのです。問題はそれだけの景気回復を行えるかどうか。投資に見合うだけの効果が得られるか、です。公共事業がやり玉にあげられましたが、確かにこれまでの公共事業のなかにはばらまきとしかみられないようなものもありました。税金を建築業界に流すためのプロジェクトがあり、できたものが使われるかどうかはほとんど考えていないのではないかというものもありました。平成の大合併の時は、「駆け込み需要」もありましたが、そのなかにはほとんど使えないようなものもありました。どうして、こんな無駄遣いをしたのだろう、と怒りがこみあげてくるようなものもありました。その反動もあり、公共事業は悪、というイメージが定着しました。民主党政権下の仕分けは、この流れを加速させました。なんでもかんでも「無駄」と決めつけるやり方には社会を発展させようという姿勢があるのだろうかとあきれました。無駄なものや税金の無駄遣いもあります。それを是正し、どう新たな使い方を考えるか、が必要なのですが、それがことごとく打ち切りになります。私は、日本は国際化が国家戦略として重要と考えています。むしろ国際化に向けた予算は増やすべきですが、留学予算、国際交流予算、などなどはどんどん、「民でできること」ということで、カット。その「民」もこうした分野から縮小していますから、国家戦略がまったくできません。

成長と富の創出のためにどのような戦略ができるのか。そのための投資は何なのか。私は情報戦略も必要だと考えています。日本の情報を世界に伝えるメディアはほとんどありません。世界で最大のサーキュレーションを誇る読売新聞の英語版をどれだけの人が読んでいるでしょうか。NHKの衛星放送も日本人向けといっていいもの。それの一部を英語でふきかえてもほんの一部の外人しかみてくれません。日本がダイナミックに成長戦略を組み立てる時には、海外の情報収集と日本の情報発信の両方が必要です。こうした分野に、積極的に予算を投じ、新たな成長戦略を作り上げるという方向には賛成です。

建築業界に税金をばらまくだけに終わらないのか。リスクはあります。そうならないように注視する必要があります。成功する可能性はあります。日本が再生する最後のチャンスだと思っています。今回、失敗すると非常に大きなダメージで、二度と立ち上がれないかもしれません。慎重に、しかし大胆に、安倍成長戦略を見守り、応援したいと思います。