田中真紀子文科相の「政治主導」の迷走に思う~日本の制度の根本的な改革を!

 田中真紀子文部科学相が秋田公立美術大など3大学の新設を不認可とした判断を全面撤回しました。田中文科相は当初、3大学の新設を認めない考えを示し、その後、6日の記者会見では、大学の新たな審査基準を決めた後に、3大学について再審査する考えを示しました。それからまた一転することになります。

 民主党は政治主導を掲げ、官僚主導のこれまでの日本の政治のあり方を転換させようとしました。しかし、これまでの民主党のあり方をみるかぎり、政治主導のほとんどは失敗に終わっています。今回の田中文科相の迷走は、日本の政治主導の未熟さを象徴的に表すものでした。鳩山首相がアメリカ軍普天間飛行場の移設問題で「最低でも県外」と発言し、勉強不足だったと撤回し、米軍基地問題を混乱に追いやったのと似ています。私は、政治主導が悪いとは思っていませんが、現在のシステムでは、官僚主導よりもはるかに弊害のあるものになっています。すぐに辞める首相や大臣が、思いつきで「政治主導」し、責任を取らずに去っていく。これではまともな政治はできません。

 奇しくもアメリカ大統領選がありました。任期は4年で、よほどのことがない限り任期を全うします。オバマ大統領は再選で8年間、大統領をすることになります。大臣も日本のように半年でくるくる変わるなんてことはありません。そして、大統領や大臣、政治家にはしっかりとした政策秘書が付き、官僚主導でない政治を展開しています。

 田中真紀子大臣が「政治主導」を実現したいのであれば、少なくとも2年、できれば4年の時間が必要です。実際に今回の件でも3年かかって3大学は申請をしています。最初のころから関わり、大きな方向性を出す必要があるのです。2~3か月で思いつきの転換をしては、誰もが困るだけ。勉強もしなければなりません。

 政治主導のための4つの提言をしたいと思います。

1)4年間、あるいは4年間に近い政権が可能になるような選挙制度を実現すること。私は衆議院の解散が2~3年が慣例となっていることも政治主導を妨げていると思っています。責任ある政治をするなら、選挙期日を決めたうえで、それまでの計画をしっかりとすべきです。いつ解散になるかわからないという状況で、落ち着いた政治はできません。

2)首相や大臣は、少なくとも2年間は替えない、というくらいの慣習をつくること。外交で対応する大統領・首相・大臣が長期にわたっていて、日本の首相・大臣は1年ももたないというのでは対等な話はできません。次の会議ではまた違う首相・大臣と議論することになるのだろうな、と思われています。これではまともに相手をしてくれません。官僚と話をしない限り、日本の政治は動かないと思うでしょう。

3)国会議員は、2~3の専門分野を決めるべきです。オールマイティな判断もしなければなりませんが、この2~3の専門分野では官僚と対抗できるだけの知識と発想がある、ということにしなければなりません。その分野で大臣就任になるべきです。「素人なので、素人の立場から大臣をします」というのでは、ばかにされるだけです。

4)政策秘書を充実すべきです。官僚が制度として政策秘書となるのでも構いません。政治家の下にしっかりとした政策設計者がつき、政治主導で、優れた政策が展開されるべきです。

 あまり状況の分からない政治家が、思いつき、票目当て、金目当てで政策を振り回すのが最も問題です。日本の政治の制度設計から見直すことが必要です。