防災のための人づくり・リーダーづくり~三重さきもり塾の挑戦

三重さきもり塾の講義風景

三重大学と三重県は三重さきもり塾を開催してきました。今年で4年目になっています。2011年3月11日の東日本大震災の映像は日本だけでなく世界中を震撼とさせました。「想定外」の大きな津波を伴い、多くの死傷者を出し、今なお、苦しむ人が多くいます。こうした災害は、日本全国どこでも起こりえます。三重県は台風、洪水などの自然災害の多発地域といえます。特に南部の熊野や尾鷲では毎年のように被害を受けています。東海、東南海、南海地震は今後30年以内に高い確率で発生すると予想されています。東日本大震災に匹敵する、あるいはそれを上回る大地震であると予想されます。大都市名古屋や静岡、浜松など日本の生産業の中枢に大打撃を与えるだけに、十分な対策は必要です。

三重大学は三重県と連携して「美(うま)し国おこし・三重さきもり塾」を平成22 年度に開塾し、三重県地域の防災・減災活動を主体的に行う「人財」を育成する事業を立ち上げました。すでに多くの塾生を送り出し、地域での防災活動の中心的役割を果たしています。こうした地道な「人づくり」「リーダーづくり」は防災・減災において非常に重要なものと思っています。

この「美(うま)し国おこし・三重さきもり塾」には入門コースと特別課程の二つがあります。入門コースを修了すると「美し国三重のさきもり補」として認定されます。「美し国おこし・三重さきもり塾」特別課程を修了すると、三重大学が修了証書を交付し、「美し国三重のさきもり」として認定されます。こうした、「美し国三重のさきもり」、「美し国三重のさきもり補」の方々が地域の防災リーダーとして活動をし、いざという時には司令塔として機能する仕組みとなります。

10月20日(土)には地域防災学総論II第二回講義「災害心理と支援体制」が開催されました。実践的に研究活動をされている富士常葉大学の重川希志依教授とホリスティック心理教育研究所の中川一郎氏が講義されました。その後は私がコーディネータとして受講生と討論をしました。受講生には、自治体職員、地域の活動家など幅広い人がいます。受講生は真剣に勉強をしています。

明日起きるかもしれない大震災。それに日本はどう対処できるのでしょうか。日本列島のすべてに20メートルの防波堤を作るなんてあまりに非現実的な話です。災害に対応できる人づくりこそ、今の日本が全国的に取り組むべき課題です。「地震が起きたらどうしようもない」というのではなく、「地震を生き抜き、助け合い、復興する知恵」を学んでいきたいものです。そのための国家戦略は大規模なレベルではまだ見えません。利権と絡んだ巨額のハード支援だけではなく、地道なソフト事業は、さらに重要になっていると思います。これは、近代化の中で崩れてきた地域コミュニティを再構築するプロセスでもあります。