鉄道の運行が日常に近づく 通勤ラッシュ復活へ、新幹線・特急はほぼ元通りに

以前のような風景が、マスクとともに(写真:森田直樹/アフロ)

「緊急事態宣言」が解除され、しだいに多くの人が、普段どおりに鉄道に乗るようになってきた。

 まずは通勤ラッシュだ。在宅勤務の解除にあわせて、山手線などの混雑率が高くなり、学校が再開したことも加わって、普段どおりに近い状況となっている。

 通勤電車は、「緊急事態宣言」時にもソーシャル・ディスタンスを確保するため運行を減らさなかったという経緯があり、そこにもとの利用者が戻ってきたという状況である。

 ただ、東急電鉄の「Q SEAT」は座席指定の販売を停止している。京王電鉄の「京王ライナー」は朝の増発や深夜帯の運休を続けている。

 そこから考えると、まだ帰宅時の利用に関しては完全にもとの状況になっていないといえそうだ。座席に余裕があり、座るための列車を設定しなくてもいいということである。

 通勤電車の窓開けは、いまもなお続いている。換気を促進するためである。ただ、これから梅雨になるため、窓開けを続けるかどうかが焦点になる。これは、その場にいる乗客が適宜判断し、開閉を行えば問題はないだろう。

新幹線や特急の運行が元通りに近づく

 すでに5月には、JR東日本や東海では新幹線の運行がほぼ元通りになっている。5月の末には、東海道新幹線では臨時の「のぞみ」を走らせたほどだ。

 JR西日本では今月13日に山陽新幹線の全列車を通常運行に戻し、同日にはJR九州は九州新幹線の全列車の運行を通常運行にした。これで、新大阪~鹿児島中央の速達型列車「みずほ」は普段どおりの本数になる。また、同日にJR西日本北陸新幹線「つるぎ」も通常通りのダイヤになる。7月1日には、JR北海道の北海道新幹線も通常運行となる。

 6月19日にはJR東日本とJR北海道の新幹線でも車内販売が再開する。ただし、アルコール類は販売しない。

 在来線の特急も元通りになっていく。JR四国では「うずしお」「剣山」の一部列車の運行が6月13日に再開する。大幅に特急の本数を間引いていたJR九州は、6月19日に全定期列車の運行が再開。JR西日本も、6月13日に全特急列車の運行を再開した。JR東日本は定期「踊り子」の運行を6月25日から元通りにする。

 しかし、まだ運行が元通りになっていない特急列車がある。JR東日本の「成田エクスプレス」は、昼間時間帯の運行が再開する予定が発表されず、またJR西日本の「はるか」も同様だ。空港アクセス列車は、国際線の運航がもとに戻らない以上、運行させられる状況にはないのだ。

 私鉄では、6月1日に西武鉄道が、6日に東武鉄道が有料特急の運行を再開、13日には近鉄が「ひのとり」の増発を行った。

 まだコロナ禍から完全に脱しきれておらず、乗客も戻りきっていない状況の中で、普段どおりの運行に戻そうとする事業者の考えが伝わってくる。そうしないと、人と人との距離を保てないからだ。

帰ってきた観光列車に利用客は戻るのか?

 鉄道は観光資源でもある。乗ることを目的とした列車もあるのだ。

 一時は1日1往復とプラスアルファだけだった大井川鐵道は、6月13日に本線の普通列車の運行を再開した。しかし、大井川鐵道といえばSLである。SLは6月20日・21日に1往復運行し、6月26日より平常運行する。あわせて、雄大な自然の中を走るトロッコ列車・井川線の運行は6月20日に再開する。

 大井川鐵道はSL列車の収益が大きく、また井川線はほとんどの利用者が観光利用である。観光客がどこまで戻ってくるか、どれほど早く戻ってくるかが、大井川鐵道にとっては重要になってくる。

 JR九州のD&S列車は6月19日に再開し、「ななつ星in九州」は7月14日より運行を再開する。「ななつ星in九州」は利用客数を制限するという。JR北海道も7月18日には観光列車の運行を復活させる。夏休みを前に、利用者がふたたびやってくるのかが気になるところであり、コロナ禍の第二波がやってこないことを祈りたい。

 気になるのは「WEST EXPRESS 銀河」だ。期待の高いこの列車は、運行開始が延期され続けている。おそらく、初めての運行の際には満員になるだろう。しかし、夜行列車ということで「密」になりやすいことは確実である。この列車は、どうするのか?

 普段どおりに世の中が戻ろうとしている。しかし、いつ、どのように完全に戻るのかは見通しが立たない。そんな中でも鉄道は、人々の行動に合わせる形で、運行していることは確かである。