東海道新幹線の700系引退、N700Sデビュー なぜ新幹線の世代交代は早いのか

東海道新幹線を去る700系(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

 新幹線車両の世代交代は早い。ついこの間700系がデビューしたと思ったが(デビューは1999年)、もう東海道新幹線で走ることがなくなるという。3月8日がラストランだ。

 すでにJR東海の多くの車両は廃車になり、残る編成も臨時列車のみで運行されるようになっている。東海道新幹線の主役はN700A(N700からの改造もふくむ)となり、7月1日にはN700Sがデビューすることになった。

なぜ700系は消えるのか

 まず大前提として、新幹線の車両は酷使されるということである。一般の在来線の車両なら、15年から20年で廃車というのはめずらしいが、新幹線だとあたり前である。理由としては、高速運転を毎日長時間、長距離で行うことにより、車両へのダメージが大きく、疲労が大きいからである。人間ならば長時間労働で、身体のあちこちが痛むのと同じである。

 とくに「のぞみ」運用は、東京から博多までを一日に1往復以上し、東京から新大阪までは一日に何回も往復しなければならないというものである。しかも、最高速度は東海道区間で270km/h、山陽新幹線区間で285km/hである。

 こういった運転を毎日繰り返すことにより、車両は疲弊していく。

 一方で技術開発は進んでいく。N700系が2007年に運用開始され、東海道新幹線での最高速度は285km/h、山陽新幹線での最高速度は300km/hとなった。このN700系で注目されたのは、起動加速度の高さである。2.70km/h/s(700系は2.0km/h/s)と向上し、それにともない発車時から高速走行に移行するまでの時間が短くなった。

 JR東海は、全車両をN700・N700Aに統一することにより、すべての列車を単一の性能のもとで運行できるようになった。すでにJR東海は、全車両が同じ座席配置の列車となっており、運用の自由度も高かった。一方、起動加速度が違う車両が混在することにより、その自由度の高さを発揮しきれるとは言い難かった。

 車両の性能を統一することにより、ダイヤをより詰め込むことができる。これまで「のぞみ」が一時間に最大10本だったのが、3月14日のダイヤ改正で最大12本となり、多くの利用者の需要に応えられるようになった。

 車両の疲弊と、新車両への統一によるダイヤの向上で、700系は消えるのだ。

東海道新幹線の今後は

 東海道新幹線ではN700Sを7月1日に導入することが決まっている。N700Sは、東海道・山陽新幹線での最高速度は向上しないものの、海外輸出を前提とした車両のユニット単位の小規模化や、360km/hでの運行にも耐えられるように試験をしてきた。ただし、東海道新幹線の線路状態は古い時代のものであり、そこまで営業運転でスピードを出すことは困難だ。

 今後はN700AとN700Sで高速・高頻度運転を中心に行い、「ひかり」「こだま」も高加減速性能を活かし、高密度のダイヤの中でそれぞれの役割を果たしていくということになるのではないか。

7月1日に登場するN700S(筆者撮影)
7月1日に登場するN700S(筆者撮影)

山陽新幹線での700系・500系は?

 山陽新幹線では700系は残るという。8両編成になって「こだま」運用に従事している500系も人気を集めている。JR西日本の700系は「ひかり」「こだま」中心の運用であり、多くが8両編成となっている。一部に16両編成の「ひかり」があるものの、JR西日本でもN700Aの導入は行われ、こちらでもN700Sがしだいに導入されるようになるだろう。

 また山陽新幹線区間での「ひかり」は少なく、多くが九州新幹線直通の「みずほ」「さくら」となっている。

 数少ないJR西日本の700系16両編成は500系のように8両編成に改造され、「こだま」中心の運用になるかといったことが考えられるものの、こちらでもすでに廃車になっている700系があり、今後は改造されず廃車になることも十分にある。700系は山陽新幹線では「のぞみ」での運用は行われておらず、列車ダイヤの密度も高くないため、何らかの形で残ることは考えられるものの、今後の動向が気がかりだ。

 一方で、九州新幹線直通の「みずほ」「さくら」は速達型の運転を必要とするため、N700Sの8両編成が将来は導入されることになるだろう。

 東海道新幹線で活躍した700系は、新しい時代のために引退し、次の車両へと交代していく。技術革新が絶え間なく続く新幹線車両は、それにともなう世代交代もまた頻繁である。