建物内の見取り図をセンサーで自動生成――MITの研究者が開発

人間の手を煩わせることなく、センサーで見取り図を自動生成する技術が登場

今年の夏に公開された映画『プロメテウス』に、こんな場面が登場する。調査チームのひとりが、潜入した異星人の遺跡の中で「子犬」と呼ばれる小型ロボットを放つ。ロボットは浮遊しながら遺跡の中を飛び回り、内部の様子をスキャン。あっという間に3Dの見取り図を作成してしまう――というものだ。もちろんこれはSFの世界の話だが、どうもまったくの絵空事とは言えなくなってきた。米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームが、人間が胸部に装着して歩き回るだけで、自動的に見取り図を作成する装置を開発したのである。

百聞は一見にしかず。実際のデモ映像が公開されているので、ご覧いただこう:

装置は周囲の空間を捉えるセンサー部分(キネクトやレーザー式距離計などから成る)と、データを蓄積・送信するバックパック部分から構成されている。センサーが捉えた情報はリアルタイムに解析され、見取り図となって表示される。さらに気圧計と組み合わせ、建物の何階にいるのかを把握することも実験されているとのこと。面白いのは位置情報つきの注釈をつけるという機能で、現在は単に印をつけるだけだが、将来的にはテキストや音声の形で情報を残すことが想定されている。例えば建物内で危険な個所を発見した場合には、「この場所を通る際は注意するように」などといったコメントを見取り図に加えられるわけだ。

まだまだ実験中の技術だが、この装置が実用化されれば、様々な場面での活用が期待できるだろう。真っ先に思い浮かぶのは、災害現場への投入だ。救助に当たる消防士や救命士が装着し、現場を歩き回るだけで、いまの建物内の様子がリアルタイムで地図に変換される。また前述の注釈機能を使って、生存者の居場所や危険な個所などを記録できる。記録に手間取ることもないので、救助作業の迅速化も図れるだろう。

いっそのこと『プロメテウス』のように、ロボットに装置をつけて、人間が立ち入れない場所の見取り図を作成可能にするというのはどうだろうか。実は今回の技術、もともとMITの内部で自走式ロボット(周囲の状況をカメラで把握して、未知の空間でも自動で動き回ることが可能というもの)のために開発していた技術の延長線上にあるそうだ。であれば、今回の技術を逆輸入することも容易だろう。また米軍では悪路を走破可能なロボットの研究も進められており、こうした技術が組み合わせれれば、災害時などの現場において、最初にロボットが状況把握を行うというシナリオも現実味を帯びてくる。

ちなみに米空軍と海軍研究事務所も今回の研究を支援しているとのこと。「子犬」が登場するのも、そう遠くない未来に現実のものとなるかもしれない。