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令和にトレンド入りで再注目「東京ミュウミュウ」懐かしアニメ、放送直前の盛り上がりの重要性

小新井涼アニメウォッチャー
AnimeJapan 2022内展示(筆者撮影)

先週5日、懐かしの人気作品「東京ミュウミュウ」が朝から度々トレンドに現れ、作品直撃世代を中心に、『今「東京ミュウミュウ」!?』といった驚きと共に話題になりました。

それもそのはず、本作の漫画が連載されていたのも、テレビアニメが放送されていたのもおよそ20年前。

いくら懐かしい作品とはいえ、何故急にトレンドに?といった反応も少なからず起きたことで、連鎖的に話題が広がっていったようです。

■新作アニメ化作品の放送

懐かしの本作が急にトレンドに現れた原因としては、「東京ミュウミュウ」を新作アニメ化した作品「東京ミュウミュウ にゅ~※」が、先週5日の24時から放送開始されたことが挙げられます。

しかし、深夜放送開始の作品が朝から度々トレンドに現れるというのもかなり珍しい出来事です。

恐らくその直接のきっかけとなったのは、当日朝の番組「おはスタ」にて行われた、新作キャスト達による番組のPRでした。

  • ※タイトル表記はこの位置に白ハート

深夜アニメの特集が”遅い時間なので録画してもらってみてください”と「おはスタ」で紹介されたことも驚きですが、そこは20年程前の作品というのもあり、当時本作をリアルタイムで楽しんでいた親世代にも向けたものだったのでしょう。

そうして同じく番組をみていた大人達や、通勤通学時にそうした話題を目にした人々が反応していったことで、本作は深夜放送にもかかわらず、放送日当日、朝ごろから度々トレンドに現れるといった珍しい盛り上がりを見せたようです。

蓋を開ければ放送当日の番宣と共に盛り上がった、という普通の出来事にみえますが、本作のみならず様々な“懐かしアニメ”がリメイク等で新作アニメ化されている今、こうして放送日当日に改めて作品が話題になることは、極めて重要な意味を持つとも思います。

■『今日からなんだ/今やってるんだ』を増やすために

どんなに人気が高く有名で、ファンが多い往年の作品の新作アニメ化であっても、その作品ファンの全員が全員、今も当時と変わらぬ熱量で作品の情報を”自ら集めに行く”とは限りません。

たとえ作品が好きな気持ちは変わらずとも、長い年月の間に、今一番夢中で追っている作品が変わったり、そもそもの生活環境やアニメの視聴習慣が大きく変わったりすることで、新作の情報を積極的に追えなくなることもあるからです。

そうすると考えられるのが、新作アニメ化発表時に『懐かしい!』と一度は盛り上がるものの、放送開始時期といったその後の追加情報までは届かず(もしくは放送開始まで覚えていてもらえず)実際の放送開始時に、放送が始まっていることに気づかないファン層も少なからず生まれるのではないかということ。

昨今は懐かしアニメのリメイク等も数多く行われ、発表の度に盛り上がっていますが、中には気づいたら放送が終わっていた/放送されていたのも知らなかった、という作品がある人も少なくないのではないでしょうか。

実際に、今回「東京ミュウミュウ」が放送日当日朝から度々トレンドに現れたのを目にした人からは、『今日からなんだ/新作やるんだ』と、それによって新作アニメ化や放送開始に気づいたような反応も少なからず生じていました。

どんなに元々のファンが多い懐かしアニメであっても、そもそも放送されていることすら認知されなければ盛り上がりようもありません。

その意味で、今回のようなあらゆる作品ファンへの改めてのリマインドともなるような放送直前の盛り上がりというのは、懐かしアニメにとっては特に重要になってくるのかもしれません。

アニメウォッチャー

北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程在籍。 KDエンタテインメント所属。 毎週約100本以上(再放送、配信含む)の全アニメを視聴し、全番組の感想をブログに掲載する活動を約5年前から継続しつつ、学術的な観点からアニメについて考察、研究している。 まんたんウェブやアニメ誌などでコラム連載や番組コメンテーターとして出演する傍ら、アニメ情報の監修で番組制作にも参加し、アニメビジネスのプランナーとしても活動中。

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