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今秋放送開始「うる星やつら」36年ぶりのテレビアニメ化がこれほどまでに注目される訳

小新井涼アニメウォッチャー
AnimeJapan2022展示(小新井撮影)

高橋留美子氏による人気漫画「うる星やつら」。

寅年である今年一番に、およそ36年ぶりともなるテレビアニメ化が発表され話題になりましたが、先週末にはその放送が今年秋からとなることが発表され、再び注目を集めています。

誰もが知る有名作品とはいえ、原作誕生からは既に40年以上も経つ本作。

それにもかかわらず、未だその人気が色あせず、今回もこれほどまでに注目を集めているのは一体なぜなのでしょうか。

■拡大し続けてきたファン層と認知度

個性的すぎるキャラクター達、ドタバタSFラブコメの金字塔ともいえる魅力的な物語。

時代を超えて愛され続ける本作は、テレビシリーズ放送終了後や原作完結後も、現在に至るまで、国内外問わずアニメ・漫画ファンを魅了し続けています。

そこに加えて、今回のアニメ化に対する反応が大きいことには、たとえ漫画やアニメをみたことが無くても、“ラムちゃん”や“ラムのラブソング”を通じて、本作を知る人が増え続けてきたことも関係していそうです。

ラムちゃんをモチーフにした大人向けコスメやアパレルの発売、様々なアーティストをはじめ、TikTokや音ゲー(音楽ゲーム)などでのカバーを通じて今の中高生にまで知られる主題歌の存在は、アニメ・漫画ファンやリアルタイムで作品を知るファンだけでなく、何で知ってるの?と思われそうな意外な年齢層の間でも本作の認知度を高めてきました。

■レトロポップな可愛さ

加えて、そんな現在の若い世代にも、本作がただ昔からの有名作品として知られているというよりは、一定の愛着を持って受け入れられているところも大きいと思います。

そこには、40年以上の時を超えてなお色あせないキャラクターや世界観の普遍的な魅力はもちろんのこと、作中で描写される服装や家電をはじめ、原作イラストの色合いやアニメの主題歌など、時代を感じる要素でさえも、古臭く感じるどころが、むしろ一周まわってレトロで可愛いと思えるところが関係しているのではないでしょうか。

実際に、先に紹介した大人向けグッズでも、当時の原作イラストをそのまま使用されているものが多いですが、古くてダサいではなく、むしろそこが可愛いと、本作を懐かしむ大人達だけでなく、中高生にも新鮮に受け入れられているようです。

そうして本作を知り、一定の愛着を持ってきた意外な世代の人々にとって、今回のアニメ化は、生まれる前の有名作品が再びアニメ化されるらしい、といったどこか遠い話ではなく、よくみ知った作品が初めてリアルタイムでアニメ化されるといった親近感さえあるものなのかもしれません。

現在まで増え続けてきた作品ファンに加え、こうして拡大してきた幅広いファン層からの注目もあり、今回のアニメ化にも、これほど多くの人々からの熱視線が集まっているのだと思います。

従来の作品ファンをはじめ、上記のような今回初めてアニメや原作エピソードに触れる人々が、ラムちゃんだけでなく、今回キャストが発表された錯乱坊やサクラ先生をはじめ、魅力的なキャラクターや物語を知ることで、どこまで盛り上がりが大きくなっていくのか。秋の放送開始に向けて、益々注目度は高まっていきそうです。

アニメウォッチャー

北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程在籍。 KDエンタテインメント所属。 毎週約100本以上(再放送、配信含む)の全アニメを視聴し、全番組の感想をブログに掲載する活動を約5年前から継続しつつ、学術的な観点からアニメについて考察、研究している。 まんたんウェブやアニメ誌などでコラム連載や番組コメンテーターとして出演する傍ら、アニメ情報の監修で番組制作にも参加し、アニメビジネスのプランナーとしても活動中。

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