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週刊誌のゴシップに募るアニメファンの本音:公式発表前情報が全くありがたくない訳

小新井涼アニメウォッチャー
(提供:IngramPublishing/イメージマート)

数々の国民的ヒット作や話題作の登場に伴い、作品ファン以外にまで知られ、ますます一般的にも求心力を高めているアニメ。

その影響もあってか、一般の週刊誌などでも、作品関連のいわゆるゴシップ記事が登場する機会が増えてきました。

元々、声優関連のスキャンダルが登場し始めたあたりから、既にそうした記事に対するアニメファンの反応は冷ややかなものでしたが、最近はそれに加えてファンにとっては少々許しがたい情報が記載され、度々作品ファンの間で怒りや悲しみを生んでいます。

それは一体どんな内容で、ファンにとっては何が許せないのでしょうか。

■作品ファンが一番割を食う“ありがたくない”公式発表前情報

その情報とは、いわゆるリークともいえる公式発表前の情報です。

例えば今年2月に公開された、“アニメ「鬼滅の刃」遊郭編について放送局での調整が難航していると報じた記事”。

一見何の変哲もない記事に思えますが、実はこの時点ではまだ遊郭編の放送局について公式からの発表はなく(その後7月13日に公式より正式発表)、遊郭編の地上波放送局についての言及は、ファンにとっては完全に寝耳に水の情報でした。

そして極めつけは、今年大ヒットとなった“「東京リベンジャーズ」の出演声優に言及した記事”。

ここでさらりと記載されている“本作のアニメ2期の制作がはじまっている”という情報は、実はこの記事が公開された時点では公式発表されておらず、記事が公開された6日後に開催される作品イベントにて、初めて公式から正式発表されるはずの情報だったのです。

こうした公式発表前の情報の漏洩は、作品を追っていない一般の読者層にとってはそもそもそれが初出の情報かも気づかれないため、まず問題視されることはありません。

しかし、最新情報を追い、何が未だ発表前の情報なのかを把握しているファンにとっては、完全に不意打ちの全くありがたくないネタバレとして、怒りや悲しみさえ生むこともあるのです。

■何が悲しいのか:ファンが共有したかった公式発表時の喜び

公式発表前とはいえ、好きな作品の最新情報がいち早く手に入るなら嬉しいのでは?と思われるかもしれませんが、一概にそうともいえません。

特に情報解禁が厳しく統制され、発表に合わせて様々な宣伝や展開が準備されるアニメ作品では、最新情報の解禁は、楽しみにしているファンにいち早く届けて共に盛り上がっていくために、わざわざ特番やイベントで行われるほど特別なものです。

ファンもまた、それを期待してイベントに参加しているところもあるため、会場で“特報”の2文字や“制作決定”の4文字が拝めるかどうかは時に死活問題でもありますし、そこで発表を聞いて会場全体で盛り上がることは、何にも代えがたい喜びでもあります。

そのため上記のような漏洩は、ありがたい最新情報どころか、そんな公式からの情報解禁を楽しみにしているファンに水を差す、例えるなら“サプライズバースデーが準備されていることを全く無関係の第三者にばらされる”ような、“読んでいる推理小説の犯人を通りすがりにバラされる”ような、楽しみを台無しにされる余計なお節介でしかないのです。

本来ならイベントで、特番で、作品関係者や同じ作品ファンと共に喜ぶはずだった情報を、全く関係ない方面からネタバレされては『楽しみを返してほしい』とやるせない怒りや悲しみを抱えるのも無理はありません。

それでも多くのファンは、騒がず拡散せずに『公式発表があるまでは…』と、敢えて見て見ぬふりをし、記憶を消して、まるで公式発表時に初めて知ったかのように喜ぶよう努めている姿がみられます。

実際にこうした漏洩に関して、記事の公開前にどこまで作品側に確認がとられているのかは読者側には把握できませんので、誰も責めることはできません。

しかし少なくともアニメファンにとっては、現在こうした週刊誌の記事に対して、自分達の遊び場を踏み荒らすネガティブなイメージが着実に蓄積され、問題視されていることは間違いないと思われます。

アニメウォッチャー

北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程在籍。 KDエンタテインメント所属。 毎週約100本以上(再放送、配信含む)の全アニメを視聴し、全番組の感想をブログに掲載する活動を約5年前から継続しつつ、学術的な観点からアニメについて考察、研究している。 まんたんウェブやアニメ誌などでコラム連載や番組コメンテーターとして出演する傍ら、アニメ情報の監修で番組制作にも参加し、アニメビジネスのプランナーとしても活動中。

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