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オリンピックで見かけた世界の選手・ファンによるアニメ関連シーン

小新井涼アニメウォッチャー
(写真:ロイター/アフロ)

昨日、8月8日に閉会を迎えた東京オリンピック。

開催期間中は、各選手の活躍はもちろん、日本での開催ということもあり、各国の参加者やそれを見守る人々からのアニメ関連のパフォーマンスも度々話題となっていました。

一体どんなものがあったのか、改めて振り返ってみましょう。

■選手達によるパフォーマンス

直近で話題になっていたのが、こちらの動画(リンク先YouTubeNHKチャンネル)からも確認できる新体操での演技です。

ウズベキスタンチームの選手達が”セーラームーン”を彷彿させるデザインの衣装をまとい、アニメ主題歌の「ムーンライト伝説」に合わせた演技を披露し、中継と共に関連ワードがトレンド入りするなど、大きな反響がありました。

また、演技中・競技中以外の場面でも、選手達のアニメ・マンガ関連のパフォーマンスが多数報告されています。

例えば、「ドラゴンボール」等のアニメやマンガが大好きで、ドーハ2019では悟空をリスペクトし、有名なスーパーサイヤ人の金髪ではなく”身勝手の極意”の銀髪をチョイスして髪を染め挑んだエピソードからも、筋金入りのファンであることが窺える陸上のノア・ライルズ選手(アメリカ)。

今回の東京オリンピックでも、銅メダルを獲得した後にカメハメ波を放つ等、「ドラゴンボール」関連のパフォーマンスをする姿が、話題となっていました。

また、走り幅跳びの金メダリストであるミルティアディス・テントグルー選手(ギリシャ)がルフィの”ギア・セカンド”を、砲丸投げのペイトン・オッターダール選手(アメリカ)がフランキーの“Suuuuupeeeeer”なキメポーズを披露するなど、「ワンピース」関連のパフォーマンスをする選手も登場。

こちらは選手自体へもそうですが、そのパフォーマンスに対してTwitterのONE PIECEスタッフ【公式】アカウントが反応し、それぞれギリシャ語・英語で選手へメッセージを送ったことも注目を集めました。

(Googleによるギリシャ語からの翻訳を筆者調整)

ギリシャのジャンパー、ミルティアディス・テントグルーさん:

私たちは本当に世界中の友達と祝います。私たちはあなたの努力と成果に限りない敬意を表します!

(筆者意訳)

USAの砲丸投げ選手、ペイトン・オッターダールさん

私たちの世界中の“NAKAMA”の活躍を心から祝うと共に、あなたの努力と功績に最大限の敬意を表します。

こうした、作品を知らなければチョイスできないようなパフォーマンス達からは、開催地を意識して、ということだけでなく『本人達も好きなんだろうな』ということが、よく伝わってきます。

■世界のアニメファンからのリアクション

一方で、そうした日本のアニメ文化の紹介に苦戦する海外メディアの様子がみられる出来事もありました。

各所でニュースにもなっていましたが、イギリスのBBC Sportのアカウントが、クライミング競技中に映り込んだお台場の”ユニコーンガンダム”を”トランスフォーマー”と呼んでしまい…

上記ツイートへのリプライをみても分かる通り、日本というよりも世界のアニメファン達から、多数のツッコミを受けることとなったのです。

そのあまりのリアクションの多さに、BBC Sportも以下のコメントを発信。

ただ結果的にはこの一連のやりとりが、ガンダムをBBC Sportの方々はじめ、より多くの人々に認知させる出来事にもなっていたように思います。

■世界にこうしたファンがいる

今回紹介した出来事に共通しているのは、いずれも開催地・日本の代表的な文化とされているアニメを、日本側からではなく、海外の参加者やファン側が自ら発信していた点です。

日本でも、世界で日本のアニメやマンガが人気であるというニュースは増えてきました。しかし、ではそれがどれくらいなのかと実感できる機会はなかなかありません。

そんな中、今回のオリンピック内での世界の選手やファンによるパフォーマンスやリアクションは、世界にこれだけのアニメ好きやマンガ好きがいることが改めて伝わる出来事にもなったのではないでしょうか。

アニメウォッチャー

北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程在籍。 KDエンタテインメント所属。 毎週約100本以上(再放送、配信含む)の全アニメを視聴し、全番組の感想をブログに掲載する活動を約5年前から継続しつつ、学術的な観点からアニメについて考察、研究している。 まんたんウェブやアニメ誌などでコラム連載や番組コメンテーターとして出演する傍ら、アニメ情報の監修で番組制作にも参加し、アニメビジネスのプランナーとしても活動中。

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