2年ぶりに公開される主演作『グッバイ、リチャード!』のジョニデが魅力的な理由

英高等法院に入廷するジョニー・テップ(写真:REX/アフロ)

 コロナ禍でもハリウッド・スターの動向が頻繁にウェブ上にアップされている。それらを見る度に、映画業界は何があろうと粛々と未来に向かって舵を取り続けるであろうことを実感する。最近、特に目立つのが、50代になっても躍動する”ビッグ4”(勝手に設定させて頂きました)に関するニュースだ。トム・クルーズ(58歳)、ブラッド・ピット(56歳)、キアヌ・リーヴス(55歳)、ジョニー・デップ(57歳)、以上の4人である。

トム、ブラピ、キアヌ、そして、ジョニデの今

 まずは、生身でアクションに挑戦し続ける4人の中では最年長のトム・クルーズだ。パンデミックの影響で映画製作にもストップがかかる中、先々週、イギリス政府のデジタル・カルチャー・メディア・スポーツ部門のオリバー・ダウデン長官が、トム・クルーズ等アメリカを代表する俳優とそのクルーに対し、イギリス入国後、14日間の自己隔離を義務付ける検疫措置を免除することを発表。発表のタイミングが、クルーズと長官が現在ロンドン郊外のリーブスデン・スタジオで撮影中の『ミッション・インポッシブル7』の撮影再開について話し合った直後だったので、クルーズがイギリス政府に直談判して許可を取り付けたという見方もある。事実そうなのだろう。こうして、今年2月からストップしていた撮影がどうやら再開できる見込みとなった。因みに、待望のシリーズ第7弾と続くシリーズ第8弾がバック・トゥ・バック=連続して撮影される予定だとか。また、クルーズは近々NASAの国際宇宙ステーションでの撮影にチャレンジする。これに関してもNASAの理事がツイッター上で認めているので間違いない。60歳を間近に控え、地上でのアクションを制覇したトム・クルーズが宇宙スペースでどんな不可能に挑戦するのか!?時の摂理に抗う活劇スターは映画製作の概念をも打ち破ろうとしている。

ブラピは伊坂幸太郎原作小説の映画化に主演

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(19)でアカデミー助演男優賞に輝き、スターダムをキープしつつ若い頃から培ってきた性格俳優としても頂点を極めたブラッド・ピット。彼に関しても嬉しいニュースが飛び込んできた。人気作家、伊坂幸太郎の小説「マリアビートル」を映画化する『Bullet Train』に主演することが決まったのだ。同じく映画化された『グラスホッパー』(15)の続編として書かれた原作は、東京から盛岡に向かう新幹線に乗り合わせた5人の殺し屋が、車中で互いの仕事に接点があることを知り、意外な結末が待つ終着駅に向けて突っ走る密室アクション群像劇だ。『デッドプール2』(18)のデヴィッド・リーチが監督し、伊坂幸太郎等が所属するエージェンシー、CTBが製作総指揮を受け持つ『Bullet~』は、IMDbによると現在のステイタスがプリ・プロダクション(準備中)となっている。同じくブラピの役名は”Ladybug”となっているが詳細は不明だ。いずれにせよ、『ワンハリ』での快挙以来出演オファーか殺到していると聞く彼が、伊坂幸太郎をチョイスしたことは日本人として嬉しい限り。

キアヌの『マトリックス4』も撮影再開か

 一方、キアヌ・リーヴスはどうか。やはり新型コロナウイルス感染症の拡大により中断していたヒットシリーズの最新作『マトリックス4』の撮影が再開された模様だ。撮影中断前、サンフランシスコで主演のキアヌやトリニティ役のキャリー=アン・モスが撮影に臨む姿が目撃されていたが、その後、6月には彼らが新たな撮影地であるドイツのベルリンに乗り込む様子がカメラにとらえられる。待望の第4弾では、ネオ役のキアヌとトリニティ役のキャリー=アン・モスが続投すること、他にニール・パトリック・ハリス、ジェイダ・ピンケット・スミス等が脇を固め、ラナ・ウォシャウスキーが監督と脚本を兼任すること以外、シリーズのキーパーソンであるローレンス・フィッシュバーンの出演も含めて、何も開示されていない。しかし、キアヌはウォシャウスキーの脚本をとても気に入っていて、「出演を決めた理由は脚本に興奮したから」と明言。映画の公開は現状、2022年1月となっている。キアヌはまた、漫画家デビューを果たす。彼がコミック作家のマット・キントとアレサンドロ・ヴィッティと共同で製作中の作品は『BRZRKR』。キアヌそっくりのキャラクターが自らの存在を秘密にする代わりに、アメリカ政府から危険なミッションを請け負うハイパー・バイオレントな内容とか。作品はアメコミの大手、”ブーム!スタジオ”から今年10月に発売される予定だ。

ジョニー・デップは久々の主演作で魅力爆発

『グッバイ、リチャード!』
『グッバイ、リチャード!』

 アクションに俳優としての後半生を賭けたり、性格俳優としての地位を確かなものにしたり、映画だけでなく別分野に活躍の場を広げたり、等々、ライバルたちが各々の道を極めようとする中、ジョニー・テップの主演作『グッバイ、リチャード!』が日本で公開される。彼の出演映画が日本で公開されるのは2年前の『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』(18)以来になる。そして、久しぶりの主演映画はジョニー・デップ以外に考えられない適役ぶりと、人格破綻した主人公が誘う決して誇れない人生の情景が楽しめるシニカルで少しだけファンタジックな異色コメディに仕上がっているのだ。

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 ジョニデ扮する英文学の教授、リチャード・ブラウンがある日突然、末期癌であることを宣告され、リチャードはしばらく放心状態で街を彷徨った後、家族に事実を告げるものの、妻と娘の反応は物凄く薄い。苛立つ彼は自分の講義を受講する学生たちを追い払い、以前にも増してアルコールと麻薬依存にのめり込んで行く。そんなリチャードを、ジョニデは絶妙なユーモアを交えながら、全面的に非常識なキャラクターに彼なりの魅力を注いでいく。言わば、ジャック・スパロウがキャンパスに現れたかの如く。特に映画の前半、絶望のあまり挫けるのではなく、逆に周囲への不満や怒り、自分の中に増幅していく不安を、型破りの行動をとることで爆発させ、いっそう自暴自棄になるリチャードの姿は、やがて訪れるであろう死の恐怖と悲しみを通り越して痛快ですらある。そこが本作に於ける最大の見どころでもあるのだ。

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 ジョニー・デップは現在、彼を"Wife Beater(妻虐待者)"と表現したイギリスの大衆紙"ザ・サン"を名誉毀損で訴えた裁判に出廷中だ。今月7日から英高等法院で始まった裁判で、彼は元妻で女優のアンバー・ハードへのドメスティック・バイオレンスを強く否定。裁判所に提出された原告陳述書の中で、「誤解を避けるために記すと、私はこれまでの人生で一度もハードさんや他の女性を虐待したことはない」と明言。その後の法廷での証言に関しては、日々多くのメディアがリポートしている。高等法院での審査は3週間続く予定で、どう結審するかに注目が集まっている。因みに、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズはマーゴット・ロビー主演でリブートされることが決まったが、ジョニデが水俣病の惨状をカメラに収め続けた世界的な写真家、ユージン・スミスを演じ、今年のベルリン国際映画祭で上映された話題作『MINAMATA』(20)の日本公開が待たれる一方、『ファンタスティック・ビースト3』は来年11月の全米公開に向けて準備が進んでいる状態だ。

『グッバイ、リチャード!』

8月21日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開

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