トム・クルーズが走りで魅せる「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」の興奮ポイント

興収、批評共に過去最高の「ミッション : インポッシブル/フォールアウト」

 トム・クルーズの「ミッション : インポッシブル/フォールアウト」が先週末全米で公開され、シリーズ最高のオープニング興収6150万ドルを記録した。興収面だけではない。レビューも高評価を獲得している。お馴染みの映画批評集積サイト"ロッテントマト"ではシリーズ最高の97%を獲得。因みに、第1作の「ミッション : インポッシブル」(96)が63%、「ミッション : インポッシブル2」(00)が57%、「ミッション: インポッシブル3」(06)が70%、「ミッション : インポッシブル/ゴースト・プロトコル」(11)が93%、前作「ミッション : インポッシブル/ローグ・ネイション」(15)が93%となっている。

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 人気TVシリーズをブライアン・デ・パルマ監督×トム・クルーズ主演で映画化した第1作の評価が意外に低いことに驚くが、「ゴースト・プロトコル」以降の高評価はクルーズが挑戦するスタントの危険度と比例しているように感じる。「ゴースト・プロトコル」では地上828メートルというドバイにある世界一の超高層ビル、ブルジュ・ハリファの壁面を、まるでシルク・ドゥ・ソレイユのように 走り抜け、続く「ローグ・ネイション」では地上1500メートルの高さを時速400キロでテイクオフする軍用機の扉に素手でへばり付き、息継ぎなしで6分以上も潜水する等、驚愕のシーンをすべてスタントなしで演じて観客を興奮させて来た彼。

最新作でも過去作越えの危険なスタントが連続するが。。。

 では、「フォールアウト」ではどうか?ロンドンのビルの屋上から対面するビルの屋上へとジャンプし、勢い余って壁に激突。既報の通り、その際、足首を骨折して救急搬送され、撮影が中断したのはご存知のはず。しかも、クルーズは骨折に気づきながら、カメラの側を走り抜けるという予定通りのテイクをこなしているのだ。それを知った上で見ると、このシーンのスリルは痛みすら伴う。

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 他にも、上空約7620メートルの成層圏からダイビングし、パリの凱旋門周辺をバイクで激走し、カークラッシュから生還し、飛行中のヘリコプターから垂れ下がったロープにぶら下がり、操縦桿を握ってきりもみ下降に耐え抜き、断崖絶壁にへばり付いて文字通り決死のボルダリングをこなすトム・クルーズ=イーサン・ハント。事故った壁激突シーン以外、すべてが計算された演出を忠実に具現化しているに過ぎないのだが、流れるような画面転換とクルーズの演技力によって、近頃のハリウッドアクションが捨て去った「人間の肉体が躍動する活劇」の興奮が画面全体からビリビリと伝わって来るのだ。

トム・クルーズが走るとどんなスーパーヒーローも霞んで見える!?

 そして、意外なことに最大の見せ場は、イーサンが敵を追いかけてテムズ北岸を"テイトモダン"辺りに向けて全力疾走する場面だ。この夏に56歳を迎えて多少の脂肪が乗りかけた体を、走力と筋力でぐいぐいと推進させ、スピードが増す毎に上半身が前後に揺れ始める様は、学生時代はレスリングで鍛えたトム・クルーズが本来持つ高い運動神経の賜物。他のどんなスタントシーンも霞む、人体そのものの躍動美を体感できる出色のアクションシーンだ。筆者は「バニラ・スカイ」(01)で誰もいないタイムズ・スクエアを全力疾走するクルーズを思い出した。

 今やハリウッドでCGIや合成、そして、スタントマンやスタントダブルに極力頼ることなく、生身の"人間アクション"に挑戦し続けるほぼ唯一無比の活劇スター、トム・クルーズ。そんな彼のスポーツマンスピリッツが最も顕著に現れた疾走シーンも含めて、「ミッション : インポッシブル/フォールアウト」は超能力が武器のスーパーヒーロー映画に少なからず食傷気味の映画ファンには、絶好のカンフル剤になるはずだ!!

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『ミッション : インポッシブル/フォールアウト』

8月3日(金) 全国ロードショー

公式ホームページ:http://missionimpossible.jp

配給: 東和ピクチャーズ

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