MVPの最有力候補に挙げられる活躍をして、次の契約は総額400億円を超える超大型契約になると予想されるロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平。

 エンゼルスには球界最高の大型契約、12年総額4億2650万ドル(約469億円)のマイク・トラウトがいるだけでなく、平均年俸がメジャー3位タイのアンソニー・レンドンとも7年総額2億4500万ドル(約270億円)の長期大型契約を結んでいる。

 平均年俸がメジャーでもトップ3に入る選手を2人も抱えるエンゼルスに、大谷を引き留めるだけの財力はあるのだろうか?

40人枠の合計年俸はメジャー7位

 まずはエンゼルスの支出部分――選手の総年俸――から見てみたい。

 MLB選手の契約内容を専門的に扱う「Cot's Baseball Contract」によると、エンゼルスがメジャーリーグ40人枠に登録している選手の今季総年俸は1億9810万ドル(約218億円)で、MLB7位。メジャー1位は昨季王者のロサンゼルス・ドジャースの2億6210万ドル(約288億円)で、エンゼルスとの差は6400万ドル(約70億円)。エンゼルスの総年俸はドジャースの約75%でしかない。

 メジャーを代表する高額年俸選手のトラウトとレンドンを抱えるエンゼルスの総年俸が、そこまで高くないのは、いびつな年俸分配率にある。

 エンゼルスのトップ3、トラウト、レンドン、シーズン途中に解雇したアルバート・プホルス(現ドジャース)の年俸(現契約の年平均年俸)は、トラウトが3554万ドル(約39億円)、レンドンは3500万ドル(約38億5000万円)、プホルス2400万ドル(約26億4000万円)で、3人合わせて9454万ドル(約104億円)になる。

 トラウト、レンドン、プホルスの3選手で、チーム総年俸の48%を占めている。

 エンゼルスは3人の超高額年俸選手と、大勢の格安年俸選手で構成されたチームなので、チーム総年俸を贅沢税以下に抑えられている。

 ちなみに今季の贅沢税額は2億1000万ドル(約231億円)なので、エンゼルスは1190万ドル(約13億円)下回っている。

 シーズン途中で解雇したプホルスの年俸は、ほぼ全額分をエンゼルスが負担するが、プホルスは今季が10年契約の最終年なので、来季からはゼロとなる。

 また、年俸1650万ドルのデクスター・ファウラーと、1500万ドルのアレックス・コブも今季終了後にフリーエージェントとなる。

 来季、100万ドル以上の年俸が保証されているのは、トラウト(3554万ドル)、レンドン(3500万ドル)、ジャスティン・アップトン(2120万ドル)、デビッド・フレッチャー(520万ドル)、大谷(425万ドル)の5選手だけで、1億119万ドル。

 2023年以降まで契約が保証されている選手はトラウト、レンドン、フレッチャーの3選手しかいない。

 仮に大谷の平均年俸がトラウトを超える3600万ドル(ニューヨーク・ヤンキースのゲリット・コールと並ぶ平均年俸ではメジャー最高額)になったとしても、エンゼルスは40人枠選手の総年俸を贅沢税以下に抑えられる。

入場料収入は1億ドル以上

 エンゼルスは世界一に輝いた翌年の2003年からコロナ前の2019年まで17年連続で年間300万人以上のファンをホームゲームに動員している。

 入場料に駐車場代や球場内での飲食費などを加えれば、コロナなどの制限を受けない通常のシーズンで、1億5000万ドル(約165億円)を軽く超える。

地元テレビ局の放映権は年間1億5000万ドル

 MLBの試合のテレビ放映権料は2種類に分けられる。1つはMLBがまとめて販売している全国放送分。ESPNが全米中継する放映権は年間5億5000万ドル(約605億円)。ワールドシリーズの放映権を持つFOXはMLBに年間7億3000万ドル(約803億円)を払い、ターナー・スポーツは年間4億7000万ドル(約517億円)の放映権料を支払う。この3局を合わせた放映権料は17億5000万ドル(約1925億円)となり、MLB機構の取り分を差し引いた額がメジャー30球団に平等に分配される。

 もう1つは各球団が地元テレビ局に販売するローカル放送分。こちらは各球団の収益となるが、エンゼルスのローカル放映権料は年間1億5000万ドル(約165億円)。2012年から20年契約を結んでいるので、2031年シーズンまではこの額が保証されている。

エンゼルスの収入は3億5000万ドル

 入場料収入が1億5000万ドル、ローカル放映権料も1億5000万ドルのエンゼルスは、MLBからの分配金やスポンサー収入などを合わせると、年間約3億5000万ドル(約385億円)の収入があると言われている。

 これだけの巨額な収入があれば、トラウトとレンドンの2人合わせて年間7000万ドルを払っていても、大谷に3600万ドル以上を払う予算はある。

 経済誌「フォーブス」の試算によると、エンゼルスのオーナーのアート・モレノ氏の総資産は35億ドル(約3850億円)あり、モレノ氏が2003年に1億8400万ドル(約202億円)で購入したエンゼルスの資産価値はこの20年間で20億ドル(約2200億円)まで10倍以上も跳ね上がっている。