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女子プロレス挑戦で開かれる世界征服への道 ~SKE48・荒井優希の勇気ある挑戦~

三尾圭スポーツフォトジャーナリスト
踵落としを決める「バブリー荒井」こと荒井優希(撮影:三尾圭)

 4月14日には参戦する「東京女子プロレス」の記者会見が開かれ、荒井のプロレス参戦を正式に表明した。

5年かけて選抜まで駆け上がったSKE48の苦労人

 今年2月に発売されたSKE48の最新シングル『恋落ちフラグ』で4作連続となる選抜メンバー入りを果たし、カップリング曲の『あの頃のロッカー』ではセンターを務める荒井優希。青木詩織とのコンビ『おしゆき』のTikTokは70万人以上のフォロワーを誇る。

 順風満帆なアイドル人生を歩んでいるように見える荒井だが、実はSKE48に入ってから初選抜まで5年も要した苦労人アイドルである。

 京都出身の荒井は13歳だった2011年にNMB48の第3期生オーディションに挑戦したが不合格になっている。

 彼女がアイドルになる夢を叶えたのは、2013年に開催された第1回AKB48グループ・ドラフト会議。華々しい1巡目指名ではなく、荒井の名前が呼ばれたのは4巡目。ドラフト指名を受けた全20名の中で19番目という低い順番だった。

 SKEのチームKIIとチームE以外の8チームは2巡目までに指名を終えており、チームEも3巡目で指名を終了。高柳明音がキャプテンを務めるチームKIIだけが、4巡目以降も指名を続けて、4巡目で荒井を、5巡目で惣田紗莉渚を獲得。ドラフトに参加した10チームの中で、荒井にアイドルとしての可能性を見出したのはチームKIIだけだった。

腐ることなく、地道な努力を継続

 ギリギリのところで48グループの一員となった荒井だが、SKE48加入後は同期メンバーが次々と選抜に抜擢される中、荒井はいつまでも選抜メンバーにはなれずに悔しい思いをしてきた。

 ドラフトから1年後に発売された16枚目のシングル『12月のカンガルー』で惣田がSKEのドラフト生として初の選抜入りを果たすと、17枚目の『コケティッシュ渋滞中』では神門沙樹(チームKII、1巡目指名)が選抜入り。2016年3月に発売された19枚目シングル『チキンLINE』では第2回ドラフト生の菅原茉椰が選抜入りして、後輩にも抜かされてしまった。

 選抜総選挙でも初めての第6回(2014年)、7回と2年続けて圏外。15年の第7回総選挙では、惣田が55位でドラフト生として初めてランクインを果たした。

 「同期に置いてかれてるし、後輩も入ってきたし、周りの先輩方はすごいしで本当に焦りと不安しかない」と素直な気持ちを吐露しながらも、「頑張ると決めたので、何があっても腐らず頑張りたいと思います。私はあまり期待をされることがないと思うのですが、注目してもらえないなら自分から視線を集められるような存在になろうと思います」と前向きな気持ちを保ち続けた。

 ドラフトで加入前に「根性が唯一の取り柄」と言っていた荒井は、自分ができることを着実に行い、15年のモバイルメール送信数がSKE48全体で7位と定期的にモバメを送り、SKE48トップのモバメ登録者数伸び率を記録。公式ブログのアクセス数もトップ3入りするなど、地道な活動で着実にファンを増やしていった。

努力を続ける荒井の気持ちに応えたSKEファン

 2016年の元旦には、「2016年は選抜総選挙にランクインしたい!大きな目標です!!毎日全力で頑張ります!!」と総選挙でのランクインを宣言。

 2月にはSKE48のソーシャルゲームのCM選抜メンバー投票で5位に入り、CM出演を勝ち取ると、3月にもグラビア投票イベントで1位を獲得。その勢いで臨んだ6月の総選挙では速報で64位に入ったが、最終的には圏外に終わってしまった。

 「今回は一歩及ばずランクインすることができませんでした。私は腐らないよ!そんな簡単には腐らない。いろんな人に腐るな!と言われたけど大丈夫、そんな簡単に諦められるような性格じゃない」

 そして迎えた17年の第9回総選挙では、速報発表で前年よりも大きく順位を上げる38位に入ると、開票イベントでも58位で名前を呼ばれ、4度目の挑戦にして悲願のランクインを達成。

 「何をやっても下手でも上手でもなくて平均点。冴えなくて目立たなかったドラフト生時代。自分の面白みのなさに絶望してました。そこからSKEに入れたもののここでも冴えず後ろのポジションが似合ってしまう自分に悔しくなり、でも似合うものは似合うんだと自覚してしまっていました。でもそれって、ただ私が怯えていただけでした。ファンの方々がもっと前に行こう!知ってもらおう!そう言ってくださったから私もそういう気持ちを持っていいんだって口に出していいんだって思えたんです。ランクインしたい、選抜に入りたい。そういうことを言えるようになったのもファンの方の支えがあってこそです。ファンの方の力は本当に大きいです。いつも私のことを支えてくれます。自分の結果が出ないことよりもファンの方の頑張りが結果にならないときの方が悔しくて悲しいです。ファンの方が全力で応援してくださるから私も全力でいます。SKEに居るうちは全力です!じゃないといる意味ないと思うから!」とファンへの感謝の言葉を口にし、今後も全力で突き進むことを約束した。

飛躍の年となった2018年とプロレス参戦

 2017年に選抜総選挙で念願のランクインしながらも、もう一つの目標であったSKE48のシングル選抜メンバー入りは叶わなかった荒井にとって、18年は大きな飛躍の年となった。そのきっかけは2月に愛知県体育館で開催された『豆腐プロレス』への出場だった。

 48グループのメンバーが出演した女子プロレスを題材にしたドラマ『豆腐プロレス』には出演しなかった荒井だったが、SKE48のお膝元である愛知県体育館で開催されたプロレス興行にはバブリー荒井として6人タッグマッチに出場。

 ドラフト会議で自らの可能性を見出してくれて、チームKIIに指名をしてくれたキャプテン、バード高柳こと高柳明音とタッグマッチで対戦。感謝に思いを込めた張り手や踵落としを高柳に決めたが、最後は高柳の必殺技「PK」を喰らい3カウントを許した。

 試合には敗れた荒井だが、「なめてると思ってたが、骨のあるヤツらだった」と先輩の高柳に健闘を認められた。

コーナーポストの上でしゃちほこポーズを決める「しゃちほこ連合」のメンバー、バブリー荒井(写真:三尾圭)
コーナーポストの上でしゃちほこポーズを決める「しゃちほこ連合」のメンバー、バブリー荒井(写真:三尾圭)

 プロレスという新たな分野に挑戦したことで一皮むけた荒井は、世界最新総選挙の速報では12位と大躍進。SKE48の地元、名古屋ドームにて行われた開票イベントでは28位に入り、「次はSKE選抜に入る!という夢叶える。可哀想だから選抜に入れてあげて!みたいな入り方じゃ嫌で、しっかり実力で掴みに行きたい」と改めてSKE48の選抜メンバー入りをファンの前で誓った。

 10月にはプロレス団体DDTが管理する「アイアンマンヘビーメタル級」王者の松村香織に踵落としを叩き込み、ベルトを奪取。新王者としてDDTのプロレス大会での「アイアンマンヘビーメタル級選手権時間差入場女子バトルロイヤル」に王者として参戦。元アイドルグループ「LinQ」のメンバーだった伊藤麻希の逆エビ固めに敗れて、ベルトも失った。

 プロレスの試合では2連敗を喫したが、その1週間後に、SKE48の24枚目シングル『Stand by you』で荒井が選抜メンバー入りすることが発表された。

 「選抜に入るまで5年がかかってしまったけどでも、5年本気で頑張ったら入れるんだもんね!夢のあるグループでよかった!本気で目指せば叶う!そう信じて、これからもたくさんの夢叶えたいなぁ!」

DDT高木社長が「リング映えする」と惚れ込んだ逸材

 アイドルとしては、ゆっくりだがコツコツと前に進み、目標に挙げたことを一つ一つ着実にクリアしてきた荒井。選抜にも自分の居場所を作り出し、SKE48を担うメンバーの一人となってきた。

 アイドルとしての活動が順調なこの時期にプロレスに定期参戦するのは大きな賭けだが、「今回はあまり迷うことなく即決で決めた」と荒井は明かす。

 2018年にDDTのリングで戦った荒井の姿を見たDDTプロレスリングの高木三四郎社長は、「踵落としがものすごい華があった。凄くリング映えする方だなと思いました。この子が女子プロレスを本格的にやったら凄い逸材になるんじゃないかなと思って、2年近くSKE48さんの運営サイドと話を続けてきた」と2年以上もラブコールを送り続けてきた。

 身長165センチとサイズがあり、幼稚園の頃からSKEに入るまで続けたバレーで培った体幹と柔軟性はプロレスでも大いに活かされる。

 豆腐プロレスの興行でも、初めてプロレスのリングに上がったとは思えない迫力ある踵落としを繰り出した。

ダイナミックな踵落としを繰り出すバブリー荒井(写真:三尾圭)
ダイナミックな踵落としを繰り出すバブリー荒井(写真:三尾圭)

プロレス挑戦はファンのため

 SKE48の中核を担う荒井がこのタイミングでプロレスへの定期参戦を決めたのは、アイドル活動に行き悩んだからではない。

 「アイドルとして色んなステージに立たせてもらってるんですけど、もう8年、9年やってて、壁にぶち当たることがほとんど無くなってしまって……。覚えることに苦戦したりとか、それくらいはあるんですけど、今回プロレスの練習を始めてみて、出来ないことが本当に多くて、練習も全然足りないって思って家でたくさん練習したりとか、そういう感覚が本当に久しぶりだったので、今はそれを1個ずつクリアしていくことが本当に楽しい」

 アイドルとして打ち立ててきた目標を次々とクリアして、アイドル人生で初めて険しい道ではなく平坦な道を歩いている今だからこそ、新たな壁に挑んでみたいという意欲が湧いてきた。

 「SKE48に入って、中学生から入ったので、7、8年くらい経つんですけど、ライブとか握手会とか、色んなお仕事をさせていただく中で、またもう一つファンの方に楽しんでもらうようなことが出来たらなという強い気持ちで決めた」と荒井は説明する。

 ここでのキーワードは「ファンの方に楽しんでもらう」。

 ファンの後押しがなければ、荒井はアイドルとして今いる位置まで辿り着くことはできなかった。モバイルメールや公式ブログ、ツイッターやTikTokなどのソーシャルメディアを通して、荒井はどのメンバーよりも積極的かつ濃密にファンとの信頼関係を築き上げてきた。

 総選挙で毎年大きく順位を上げることができたのも、荒井とファンが強い絆で結ばれているからだ。そんな荒井にとって、ファンに楽しんでもらうために新たな挑戦に踏み出すことになんの躊躇もない。

 「前回、DDTさんの試合に出させていただいたときに、ファンの皆様、見に来てくださっている方の優しさをすごく感じたのも、今回すごく決め手となりました。普段からアイドルとしての私を応援してくださっているファンの皆様もすごい優しい方ばかりなので、私が決めたことなら付いてきてくれるんじゃないかなって、皆さんを信じる気持ちもすごくある」

 メジャーなアイドルグループの中心メンバーがプロレスに本格参戦するのは異例だが、荒井はプロレスに挑戦することでSKE48と女子プロレス界の両方を盛り上げたいという強い気持ちを持っている。これまで決して手を抜くことなく、全力でアイドル人生を駆け抜けてきたように、プロレスにも同じ姿勢で挑んでいく。

 「アイドルだったりSNSだったり、いろんな活動をさせてもらってるんですけど、まだ時間があるので、まだなにか出来るって気持ちはずっとあった。今見てくださっている方はもちろん、もっとたくさんの方に楽しんでもらえたらなって気持ちと、SKE48を盛り上げたいという気持ちもありますし、東京女子プロレスさんからもすごい熱い気持ちをいただいて。私が出ることによって色んなところが盛り上がればなっていう気持ちなので、すべての活動に全力でやることは約束します!」

ファンに楽しんでもらうためにプロレス挑戦を決断した荒井優希(写真:三尾圭)
ファンに楽しんでもらうためにプロレス挑戦を決断した荒井優希(写真:三尾圭)

初代女王も認めるポテンシャルの高さ

 プロレスはアイドルが中途半端に足を踏み入れられるような甘い世界ではない。

 荒井もそれは百も承知で、だからこそ「まだまだ未熟なんですけど、もっともっと技を磨いていきたい」と自分の未熟さを認め、「一番新しい後輩になるので、全然先輩方には敵わないと思うんですけど、ゆくゆくは皆さんを倒せるくらいの強いレスラーになることを目標にしています」と一番下から這い上がっていく覚悟を持ってリングに上がる。

 荒井にプロレスを教えているのは、「プリンセス・オブ・プリンセス」初代チャンピオンの山下実優。

 「荒井さんと練習させていただいてるんですけど、その中で身体能力であったり、ポテンシャルの高さを感じています。飲み込みの速さもすごい。あと、練習をして、その次の練習に来たときに、前に習った一つ一つの動作がすごく上達してて、そういう見えないところでやってる彼女の真面目さだったり、プロレスに対して真剣に考えてくれてるんだなというのは感じています」

 荒井がプロレスに本格的に取り組んだのは今年に入ってから。キャリア数ヶ月の新人選手なので、「まだまだ出来ることは多くはないので、5月4日、後楽園ホールでのデビュー戦では『強い気持ち』をファンの皆さんに見せてもらいたい」と山下は技術よりも気持ちを前に押し出して戦うことを期待する。

東京女子プロレスの初代女王、山下実優も認めるポテンシャルの高さを持つ荒井優希(写真:三尾圭)
東京女子プロレスの初代女王、山下実優も認めるポテンシャルの高さを持つ荒井優希(写真:三尾圭)

 SKE48のようなメジャーアイドルグループの中核メンバーの本格参戦は初めてだが、東京女子プロレスはアイドル・フレンドリーなプロレス団体である。

 団体が旗揚げされた当初はプロレスの試合だけでなく、アイドルグループとのコラボレーション・イベントが行われ、プロレス会場でアイドルのライブも開催されていた。

 2017年にはアイドルグループのアップアップガールズとの共同企画として、「アップアップガールズ(プロレス)」のオーディションも開催。「『歌って、踊って、闘える』最強のアイドルを目指すアイドルグループ」を目指す「アップアップガールズ(プロレス)」は、「アップアップガールズ(仮)」の妹分としてプロレスラーとアイドルの活動を両立させている。

 そのアップアップガールズ(プロレス)のメンバー「らく」は、早速ツイッターを通して荒井との対戦をアピールしている。

 また、福岡を拠点とするアイドルグループ「LinQ」のメンバーだった伊藤麻希も4年間ほどアイドルと東京女子プロレスのプロレスラーを両立していた。

SKE48ではまだ出来ていない世界進出の可能性も大

 4月17日の東京女子プロレス・後楽園ホール大会で、リング上からファンに挨拶をする荒井。デビュー戦は5月4日の後楽園ホール大会になる。

 その後はSKE48の活動を行いながら、月に1大会のペースで東京女子プロレスにも参戦する予定だという。

 5月4日のデビュー戦は、Abemaで生中継されるだけでなく、動画配信サービス『WRESTLE UNIVERSE』でも英語実況付きで海外・世界に向けて試合を配信する。

 「海外も目指してますと何回か言ってたことがあって、ファンの方にも頑張ってねってすごく言ってもらってたので、今回は英語での実況もあるということなので、ちょっと本格的に頑張っていきたい」と荒井も海外進出に関してコメントをしたが、プロレスに挑戦する最大のメリットは、SKE48ではまだ成し遂げられていない世界進出の道が開かれることだろう。

 『SKE48の世界征服女子』という冠番組を持っていたSKE48だが、アジアでの公演経験こそあるが、欧米には進出できていない。東京女子プロレスはアメリカのメジャー団体とパイプを持っており、所属レスラーがアメリカの大きな大会で戦った経験を持っている。

 「前回対戦させていただいた伊藤麻希さんなんですけど、前回は圧倒的な力の差でベルトを獲られてしまったので、『次こそは!』っていう気持ちで、いつの日か戦える日が来るまで技を磨いて力をつけていきたいと思います」と荒井は意識する選手に、同じくアイドル出身の伊藤の名前を出している。

 伊藤は東京女子プロレスで実績を積み、今年2月にはアメリカのメジャー団体「AEW」が主催したAEW女子世界王座次期挑戦者決定トーナメントに参戦。3月には渡米して、AEWのペイパービュー大会でも試合をした。

 世界最大のプロレス団体「WWE」に次ぐ、アメリカ2番目のプロレス団体であるAEWは、試合が毎週、全米に放映されている。

 アメリカ国内では日本の女子プロレスが非常に高く評価されており、男子プロレスに負けないほどの人気を誇っている。(日本とは異なり、WWEやAEWでは男子と女子で団体が分かれておらず、同じ大会で男子と女子の試合が一緒に行われる)

 AEWには女子王者の志田光、初代女王の里歩、水波綾、そして東京女子プロレス所属の坂崎ユカと伊藤が参戦。WWEにもASUKA、紫雷イオ、SARRAY(Sareee)、里村明衣子が参戦中。数多くの日本人女子プロレスラーがアメリカのメジャー団体で活躍している。

 アイドル出身の伊藤がAEWのリングで戦ったように、SKE48の荒井がアメリカ・メジャー団体のリングで戦うのも夢ではない。

異質のインディ団体DDTプロレス

 東京女子プロレスはDDTプロレスリングの女子部門。DDTプロレスはインディ団体だが、ただのインディ団体ではない。

 新日本プロレスの前IWGP世界ヘビー級王者の飯伏幸太はDDT出身だし、AEWのトップに立つケニー・オメガがブレイクしたのもDDTのリングだった。

 今年の春に大人気だったドラマ『俺の家の話』でプロレス部門で協力した『ガンバレ☆プロレス』もDDTグループの団体である。

 『俺の家の話』でプロレス監修を担当したレフリーの木曽大介は、東京女子プロレスでもレフリーを務めている。

 DDTプロレスリングの運営会社はCyberFight。CyberFightはAbemaTVを運営するサイバーエージェントの100%子会社だ。資金面でも強固なバックアップを持ち、海外だけでなく、日本国内にも様々なパイプを持つDDTグループのリングに戦うことで、SKE48だけでは立てなかった舞台にも道が広がっていく。

栄魂を継承する荒井

 荒井が所属するSKE48は、今、大きな転換期を迎えている。

 SKE48の二期生で、初代チームKIIのリーダー、総選挙では第2回から9年連続して35位以内にランクインした高柳明音が4月10日に卒業コンサートを開催。

 そして、SKE48の一期生として常にグループの先頭に立ってきた松井珠理奈も翌11日に卒業コンサートを行った。

 これまでSKE48を牽引してきた珠理奈と高柳は4月30日でSKEメンバーとしての活動を終了する。

 グループの顔的存在であった珠理奈が卒業することで、SKE48の一時代が終わり、新たな章へと移っていく。

 誰よりもSKE48を愛し、またプロレスも愛してきた珠理奈の魂を荒井には継承してもらいたい。

 「SKE48でプロレスと言ったら松井珠理奈さん。(プロレスデビューの)発表があってすぐに電話くださったりとか、この会見の本番前に、行ってくるねってLINEしたら、すぐに電話かけてくださって。私のデビュー戦も見に来てくださるということなので、もうすごくプレッシャーなんですけど、強くなった姿を見せたいので頑張りたい」

起こせアルパカ革命!

 松井珠理奈は卒業コンサートの最中に髪を10センチ以上切ってファンを驚かせたが、荒井も2016年のコンサート中にステージ上で髪の毛を20センチほど切ったことがある。

 プロレス界で髪を切るといえば、『飛龍革命』の藤波辰巳がすぐ思い浮かぶ。

 藤波も荒井同様に温厚な性格で、プロレス入りまでは格闘技の経験はゼロだったが、努力の積み重ねでトップレスラーに上り詰めた。

 プロレスは2試合行って、2連敗中の荒井。進む道は険しいが、アイドルとしても絶対に諦めない気持ちを持って、一歩一歩上に向かって歩んできたように、プロレスでも時間はかかっても、いつかはトップを取ってくれるだろう。

 荒井優希は一人じゃない。感謝の気持ちをいつも胸に。絶対、悔いを残さない。負けない、誰にも自分にも。プロレス界でも、ぶちかませ。

 アルパカが大好きな荒井には、女子プロレス界で『アルパカ革命』を起こして新しい風を吹かせてもらいたい。

スポーツフォトジャーナリスト

東京都港区六本木出身。写真家と記者の二刀流として、オリンピック、NFLスーパーボウル、NFLプロボウル、NBAファイナル、NBAオールスター、MLBワールドシリーズ、MLBオールスター、NHLスタンリーカップ・ファイナル、NHLオールスター、WBC決勝戦、UFC、ストライクフォース、WWEレッスルマニア、全米オープンゴルフ、全米競泳などを取材。全米中を飛び回り、MLBは全30球団本拠地制覇、NBAは29球団、NFLも24球団の本拠地を訪れた。Sportsshooter、全米野球写真家協会、全米バスケットボール記者協会、全米スポーツメディア協会会員、米国大手写真通信社契約フォトグラファー。

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