アメリカで問題になっている警察官による有色人種への過剰な暴力行為を抑制するためにNFLダラス・カウボーイズのQB、ダック・プレスコットが警察学校に100万ドル(約1億1000万円)を寄付するとインスタグラムで発表した。
アフリカ系アメリカ人の父親とヨーロッパ系アメリカ陣の母親の間に生まれたプレスコットは、白人と黒人の血を引いている。今回の抗議活動も白人としての視点と黒人としての視点の両方から見ることができるだけでなく、当事者として捉えることもできている。
「僕はルイジアナ州で育ったけど、学校が終わると白人の祖母の家に行き、その後で線路の反対側にある黒人の祖母の家で遊んでいた。白人の祖母は学校の校長先生で、近所には英語の先生も住んでいた。黒人の祖母の家の近所の住民は刑務所に入る人も多かった」と少年時代を振り返るプレスコットは「小さい頃から色んな環境に接してきた。仲間の中で唯一の黒人だったこともある。白人と黒人の両コミュニティで育ったことで、僕の人格は形成されたし、誰とでもうまくやっていく術も身につけた。それぞれの生き様や生き方を身をもって知らないと、お互いを理解するのは難しい。僕は自然とそれができる環境で育てられた」とミックス(ハーフ)の利点を説明。
そんなプレスコットは今回の抗議活動には賛同しながらも、暴力は解決にならないと強い口調で主張した。
2013年には母親を癌で亡くしたプレスコットは、コロナウイルス・パンデミック中に兄も亡くした。
大切な人の死を通して、プレスコットは人生の意味を考えるようになったと言う。
家族や友人、隣人をどれだけ愛していても、彼らが近くにいる間にそれを伝えなければならない。彼らが亡くなってしまったら、伝えられないからだとプレスコットは力説する。
次にプレスコットは全米中の警察官にメッセージを送った。
警察官をリスペクトすると伝えた後に、警察官になることの責任を問いただす。警察の中に浸透している組織的な人種差別に立ち向かわなければ、ジョージ・フロイドを窒息死させたチョービン元警官と一緒にいながら止めなかった同僚と同じ罪を背負うと言い、自分自身を変えるように伝えている。チョービンは第3級からより重い第2級殺人罪に変更され、一緒にいた3人の同僚たちも第2級の殺人幇助罪で起訴されている。
プレスコットは、警官から組織的な人種差別をなくし、警察官を変えるために、警官の訓練改善、教育と啓蒙活動のために100万ドルを寄付すると発表した。