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警官の暴力撤廃を願うカウボーイズのスターQBが警察官の訓練改善、教育と擁護活動のために1億円を捧げる

三尾圭スポーツフォトジャーナリスト
警察官の教育費用に1億円を寄付すると発表したカウボーイズのダック・プレスコット(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 アメリカで問題になっている警察官による有色人種への過剰な暴力行為を抑制するためにNFLダラス・カウボーイズのQB、ダック・プレスコットが警察学校に100万ドル(約1億1000万円)を寄付するとインスタグラムで発表した。

 多民族の血を引いたアフリカ系アメリカ人として、私は気分が悪いし、不安でいっぱいです!私は楽観主義者で、すべての状況や人生の側面を理解し、ポジティブなことを見つけようとしています。

 私の母は、理由を持って生きていくために「信仰」という言葉を残してくれました。私は一人一人の中にある善を信じ、この国全体の善を信じています。謙虚になり、すべての人々を公平にみなすには、謙虚さと責任が必要です。

 ジョージ・フロイドの正義のために、そしてすべての黒人の命のために私たちのコミュニティが行動し、抗議し、戦っているように、私も一緒に戦います!

 私たちの街頭で行われている抗議や暴動は、私たち黒人にも他の人種と同じように権利があることを示す試みです。

 しかし、これらの暴動は、すでに危機に瀕した世界に狼狽と混乱をもたらしている。

出典:フェイス・ファイト・フィニッシュ財団(訳:三尾圭)

ダック・プレスコットのインスタグラムより
ダック・プレスコットのインスタグラムより

 アフリカ系アメリカ人の父親とヨーロッパ系アメリカ陣の母親の間に生まれたプレスコットは、白人と黒人の血を引いている。今回の抗議活動も白人としての視点と黒人としての視点の両方から見ることができるだけでなく、当事者として捉えることもできている。

 「僕はルイジアナ州で育ったけど、学校が終わると白人の祖母の家に行き、その後で線路の反対側にある黒人の祖母の家で遊んでいた。白人の祖母は学校の校長先生で、近所には英語の先生も住んでいた。黒人の祖母の家の近所の住民は刑務所に入る人も多かった」と少年時代を振り返るプレスコットは「小さい頃から色んな環境に接してきた。仲間の中で唯一の黒人だったこともある。白人と黒人の両コミュニティで育ったことで、僕の人格は形成されたし、誰とでもうまくやっていく術も身につけた。それぞれの生き様や生き方を身をもって知らないと、お互いを理解するのは難しい。僕は自然とそれができる環境で育てられた」とミックス(ハーフ)の利点を説明。

 そんなプレスコットは今回の抗議活動には賛同しながらも、暴力は解決にならないと強い口調で主張した。

  

 私は略奪や暴力が解決策だとは信じてはいません。

 コロナウイルスの大流行が始まって以来、この国の多くの人と同じように、私も苦労してきました。アメリカンフットボールができない環境の中で、私は人生の目的を探し、不安と向き合ってきました。私はパンデミックを乗り越える力の一部になりたいと思っていました。そんなとき、私は大好きな兄を失った。彼と私は同じ使命を共有していました。

 それは、人生の大きな目的を見つけることです。

 兄の死を受けて、どれほど大切な存在であるかを伝える声が与えられていないことに気がつきました。

 隣人がどれだけ大切な存在かを伝え、お互いのために行動を起こすのは、私たちの務めです。

出典:フェイス・ファイト・フィニッシュ財団(訳:三尾圭)

ダック・プレスコットのインスタグラムより
ダック・プレスコットのインスタグラムより

 2013年には母親を癌で亡くしたプレスコットは、コロナウイルス・パンデミック中に兄も亡くした。

 大切な人の死を通して、プレスコットは人生の意味を考えるようになったと言う。

 家族や友人、隣人をどれだけ愛していても、彼らが近くにいる間にそれを伝えなければならない。彼らが亡くなってしまったら、伝えられないからだとプレスコットは力説する。

 

 BLACK LIVES MATTER!(黒人の命は大切だ)

 私たちは、自分自身と地域社会に責任を持たないといけません。お互いの違いについて教え合うべきです。肌の色の違い、文化の違い、生き方の違いを尊重して受け入れなければなりません。多民族であることは美しいことであり、それがアメリカのあるべき姿なのです。

 私たちの街を守り、仕える警察官に最大限の敬意を表します。警察官のバッジを身につけることを選んだ時、あなたは法律と規則の施行を遵守して命と財産を守ることを誓いました。あなたの同僚、上司がそれを遵守していないときに、どのように法律を支持すると主張することができますか?自分自身に責任を持つことです。 全米中の警察に浸透している組織的な人種差別に立ち向かわなければ、デレク・チョービンの横に立っていた警官たちと同じ罪を負うことになる。行動を起こせ!

 警官が黒人を脅威として考える続ける限り、警官は信頼できないと認識され続ける。

 他の人に変わるように頼む前に、自分自身を変えなければなりません。

出典:フェイス・ファイト・フィニッシュ財団(訳:三尾圭)

ダック・プレスコットのインスタグラムより
ダック・プレスコットのインスタグラムより

 次にプレスコットは全米中の警察官にメッセージを送った。

 警察官をリスペクトすると伝えた後に、警察官になることの責任を問いただす。警察の中に浸透している組織的な人種差別に立ち向かわなければ、ジョージ・フロイドを窒息死させたチョービン元警官と一緒にいながら止めなかった同僚と同じ罪を背負うと言い、自分自身を変えるように伝えている。チョービンは第3級からより重い第2級殺人罪に変更され、一緒にいた3人の同僚たちも第2級の殺人幇助罪で起訴されている。

 

 私は変化を起こすために立ち上がります!

 私は国全体を見るために立ち上がります!

 私は国を平等にするために立ち上がります!

 私は、私たちの街と地域社会がお互いに信頼できるようにするために立ち上がります!

 私は黒人の命のために立ち上がります!

 私は愛のために立ち上がります!

 略奪や暴力で破壊された街を復興して綺麗にするだけでなく、これは最も重要なことですが、人種差別、人種による偏見、憎しみもコミュニティから一掃します!

 私はそのために行動を起こし、100万ドル(約1億1000万円)を警察官の訓練改善、教育と擁護活動のために捧げて、組織的な人種差別をこの国からなくします。

 神の祝福を

 すべての愛とともに

 ダック・プレスコット

 信仰

出典:フェイス・ファイト・フィニッシュ財団(訳:三尾圭)

ダック・プレスコットのインスタグラムより
ダック・プレスコットのインスタグラムより

 プレスコットは、警官から組織的な人種差別をなくし、警察官を変えるために、警官の訓練改善、教育と啓蒙活動のために100万ドルを寄付すると発表した。

スポーツフォトジャーナリスト

東京都港区六本木出身。写真家と記者の二刀流として、オリンピック、NFLスーパーボウル、NFLプロボウル、NBAファイナル、NBAオールスター、MLBワールドシリーズ、MLBオールスター、NHLスタンリーカップ・ファイナル、NHLオールスター、WBC決勝戦、UFC、ストライクフォース、WWEレッスルマニア、全米オープンゴルフ、全米競泳などを取材。全米中を飛び回り、MLBは全30球団本拠地制覇、NBAは29球団、NFLも24球団の本拠地を訪れた。Sportsshooter、全米野球写真家協会、全米バスケットボール記者協会、全米スポーツメディア協会会員、米国大手写真通信社契約フォトグラファー。

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