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自己最速182キロを記録した大谷翔平の打球速度の凄さ

三尾圭スポーツフォトジャーナリスト
9月13日のマリナーズ戦で自己最速となる182キロの打球速度を記録した大谷翔平

 ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平が打球を放つ度に彼の打球速度の速さが話題となるが、実際に大谷の打球はどれほど鋭いのだろうか?

 9月13日のシアトル・マリナーズ戦の第2打席で、大谷はメジャー移籍後の自己最速となる113.9マイル(約182キロ)を計測。ただし、自己最速の打球を放ったこの打席は、ホームランでもヒットでもなくショートゴロに倒れた。

 打球を処理したマリナーズのディー・ゴードンは「あの打球は本当に速かった」と驚いた表情を見せたが、大谷の最速打球速度はメジャー全体で48位で、平均は上回っているが、特筆すべきレベルではない。1位のジャンカルロ・スタントン(ニューヨーク・ヤンキース)の今季最速は121.7マイル(約195キロ)で、大谷より12キロ以上も速い。エンゼルスで大谷と一緒にプレーするマイク・トラウトの今季最速打球速度はメジャー6位の118.0マイル(約189キロ)で、大谷はチーム内でトップでもない。

大谷の自己最速打球速度はメジャー全体だと48位で、特筆するほどのレベルではない(三尾圭撮影)
大谷の自己最速打球速度はメジャー全体だと48位で、特筆するほどのレベルではない(三尾圭撮影)

 では、なぜ、大谷の打球速度はこれほど話題に上るのだろうか?

 大谷が凄いのは、「たまに」鋭い打球を飛ばすからではなく、鋭い当たりの打球をコンスタントに飛ばすからだ。

 平均打球速度を見てみると、95.8マイル(約153キロ)のアーロン・ジャッジ(ヤンキース)が1位で、2位は93.9マイル(約150キロ)のスタントンと、昨季に50本塁打以上を放ったスラッガーが並ぶ。そして、大谷は93.2マイル(約149キロ)でメジャー6位まで急浮上するのだ。最高速度では大谷を大きく上回ったスタントンだが、平均打球速度はほとんど変わらない。エンゼルスでトップだったトラウトは、91.1マイル(約146キロ)でメジャー31位までランクを落とす。

 とくに打球がライナーかフライだったときに限定すると、大谷の平均打球速度は98.3マイル(約157キロ)となり、これはジャッジよりも速いメジャーで3番目となる。

大谷の打球の凄さの秘密は、コンスタントに鋭い当たりを飛ばせる点にある。ライナーと飛球の平均打球速度はメジャー3位の98.3マイルを計測する(三尾圭撮影)
大谷の打球の凄さの秘密は、コンスタントに鋭い当たりを飛ばせる点にある。ライナーと飛球の平均打球速度はメジャー3位の98.3マイルを計測する(三尾圭撮影)

 大谷の鋭いスウィングでボールを確実に捉える技術の高さは、『バレル』にも現れている。

 打率.500、長打率1.500を超える打球速度と打球角度の組み合わせを『バレル』と定義しているが、大谷のバレル率はメジャー5位の9.6%で、これはスタントン(8.7%)、ジャッジ(9.2%)、トラウト(9.1%)よりも優秀な数字である。

スポーツフォトジャーナリスト

東京都港区六本木出身。写真家と記者の二刀流として、オリンピック、NFLスーパーボウル、NFLプロボウル、NBAファイナル、NBAオールスター、MLBワールドシリーズ、MLBオールスター、NHLスタンリーカップ・ファイナル、NHLオールスター、WBC決勝戦、UFC、ストライクフォース、WWEレッスルマニア、全米オープンゴルフ、全米競泳などを取材。全米中を飛び回り、MLBは全30球団本拠地制覇、NBAは29球団、NFLも24球団の本拠地を訪れた。Sportsshooter、全米野球写真家協会、全米バスケットボール記者協会、全米スポーツメディア協会会員、米国大手写真通信社契約フォトグラファー。

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