大谷”メジャー初4番”試合で樹立されたメジャー新記録~ベルトの21球~

自身初の”メジャー4番”が記されたメンバー表の前に立つ大谷翔平(三尾圭撮影)

 4月22日(日本時間23日)に行なわれたジャイアンツ戦で、メジャーリーグで初となる4番打者として先発起用されたエンゼルスの大谷翔平。

 初の4番として臨んだ試合では4打数1安打2三振。チームも2-4で敗れ、「もうちょっと早い段階で(ヒットが)1本出ていれば、ちょっと違う流れになったんじゃないかなと思います」と大谷は試合を振り返った。

メジャーで初めて4番に起用された試合で、3打席目に右前安打を放つ大谷翔平(三尾圭撮影)
メジャーで初めて4番に起用された試合で、3打席目に右前安打を放つ大谷翔平(三尾圭撮影)

 日本人選手がメジャーの公式戦で4番打者を務めたのは、松井秀喜(205試合)、新庄剛志(15試合)、福留孝介(3試合)、田口壮(1試合)に次いで5人目。1年目のチーム22試合目の4番起用は、松井の25試合目を抜いて日本人最速となった。

 そんな記念すべき試合で、メジャー新記録が樹立された。

 記録を達成したのは大谷ではなく、ジャイアンツの2番打者、ブランドン・ベルト。

 1回表無死走者1塁の場面で打席に立ったベルトは、フルカウントから11球連続ファールで粘り、エンゼルスの新人投手・ジェイミ・バリアが投じた21球目で右飛に打ち取られた。

メジャー新記録となる1打席で21球も粘ったブランドン・ベルト(三尾圭撮影)
メジャー新記録となる1打席で21球も粘ったブランドン・ベルト(三尾圭撮影)

 メジャーリーグが投球数に関する詳細なデータを記録し始めたのは1988年からなので古い時代の記録は定かではないが、1998年にアストロズのリッキー・グティエレスがインディアンズのバートロ・コロンと対戦した際の1打席に20球がこれまでのメジャー最高記録で、ベルトは20年振りにメジャー記録を更新。ちなみに、1打席での連続ファール記録は2004年にドジャースのアレックス・コラがカブスのマット・クレメントから放った14球連続が最高で、ベルトは3球足りなかった。

 ベルトがアウトに倒れると、ジャイアンツのベンチ前の席を陣取っていたジャイアンツ・ファンたちがスタンディング・オベーションで、凡退してベンチに戻るベルトを迎え入れた。

 ベルトの記録は地味だが、この試合の勝敗を分けたのは約13分近くもバッターボックスに立ち続けたベルトの1打席目。バリアは初回を無失点に抑えたが、この回だけで49球も投げ、エンゼルスは予想外に早い回からブルペンの準備を強いられた。バリアは3回に無死満塁として、77球で降板。早い回から準備を仕入れられたエンゼルスのブルペン陣は準備が整っていなかったようで、代わったノエ・ラミレスはこの回に3点を失った。

 ベルトの21球は結果的にアウトとなったが、ホームラン以上の価値があるアウトだった。

 日本では2013年夏の甲子園で、大谷の1学年後輩にあたる花巻東高校の千葉翔太が「カットマン千葉」として話題になったが、高校野球連盟は「高校野球規則に『バントの定義』という項目があります。ご理解ください」と警告して、故意のファール狙いはバントと見なす可能性もあると脅しをかけた。

 ファールを狙うのはバッティング技術の1つなのか、スポーツマンシップに反する汚いプレーなのか?意見の分かれるところだが、力と力の真っ向勝負が好まれるメジャーのファンも、ベルトの21球は批判する声よりも称賛する声の方が圧倒的に多かった。

 ベルトはとても選球眼に優れた選手で、2016年には104四球を記録。この試合の3打席目には4試合連続となるホームランも放った。

4試合連続となるホームランを放ち、ベンチでチームメートとハイタッチをするジャイアンツのブランドン・ベルト(中央)(三尾圭撮影)
4試合連続となるホームランを放ち、ベンチでチームメートとハイタッチをするジャイアンツのブランドン・ベルト(中央)(三尾圭撮影)

 「僕が守っているときに、他の打者がファールで粘っているのを見ると、『早く打てよ』とイライラするので、ベンチに戻ってからはチームメートに謝った」とベルトは語ったが、ベルトが打席に立っていた13分の間にベンチ裏のネットに向かってボールを投げながら肩を温めていたジョニー・クエイトは「とても素晴らしい打席だった」と褒め、ネクストバッターズ・サークルでベルトの21球を見守っていたアンドリュー・マッカッチェンは「相手投手は、ベルトに対して投げる球がないと気持ちになったはず」とバリアは精神的にも追い詰められたと指摘する。

 14球連続ファールのメジャー記録の持ち主で、現在はレッドソックスの監督を務めるコラも、「21球?良い打席だ!」とツイートした。