スポーツ選手と時差ボケ。米国入りしたWBC日本代表への影響はいかに。

(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

WBC日本代表は、2次ラウンドで3戦全勝し、米国ロサンゼルスのドジャースタジアムで行われる準決勝へと駒を進めた。

1次ラウンド、2次ラウンドは東京ドームでの開催。しかし、米国へ乗り込んだ日本代表とオランダ代表は、短い日数で時差ボケに適応しなければいけない。

日本が準決勝、決勝で戦う相手はまだ決まっていないが、対戦相手を決める2次ラウンドF組は米国サンディエゴで試合をしている。サンディゴとロサンゼルスは自動車で2時間の距離。この組から勝ち上がってくるチームはドジャースタジアムまで長時間の移動を強いられることもなく、時差ボケに悩まされることはない。

時差ボケは、アスリートのパフォーマンスにどのような影響を与えるのだろうか。

2012年5月の「スポーツ・ヘルス」で米イリノイ州の医師らが、時差ボケと選手のパフォーマンスとの関係を発表している。

この研究によると、体内時計が時差を調整できるのは1日につき1時間。また、東方向への移動のほうが、西方向への移動よりも時差ボケの影響があるという。日本から米国へは東行きフライトだ。しかし、時差の影響を受けやすい人と、受けにくい人の個人差があるようだ、と述べている。

この発表によると、選手の身体パフォーマンスに時差ボケがどの程度、影響しているかを証明することは難しいそうだ。

ただし、国際大会に出場する選手が時差のある場所へ移動をした直後は、認知能力が必要な複雑な作業課題に影響が出ることなどは分かっている。選手の概日リズム(1日を周期として起こる体内環境の変動)は筋力、無酸素運動、垂直跳びなどに関係があるという。東行きの移動の後、水泳選手がひじと肩の屈曲強度が弱くなり、短距離のタイムが落ちたという研究結果もある。この発表をした医師らは、選手のパフォーマンスに影響を与えやすいものは時差ボケによる睡眠不足だろうと、考えている。

(ちなみにアスリートの体内時計は夕方が最適だという。この時間帯が光と音への反応時間が最も速くなる。世界記録なども夕方に競技が行われたときに更新されることが多い)

たしかに、時差ボケの症状は、眠りにつく時間帯に眠れないこと、眠っても、しばらくすると目が覚めてしまうこと、睡眠不足に悩まされることなどだ。日中、眠気に襲われることもある。また、スポーツ選手だけに、薬を飲んで、時差ボケ解消を図る場合は、ドーピング規則に抵触しないよう注意しなければいけない事情もある。

メジャーリーグのレッドソックスでは本拠地のフェンウェイパークに仮眠ルームを設置している。2月25日のボストングローブ紙が伝えている。小さな部屋に2段ベッドが2組あるそうだ。メジャーリーグでは、3時間の時差がある西海岸から東海岸まで、東海岸から西海岸までと米国大陸を横断。ナイターの翌日にデーゲームが組まれていることも少なくない。睡眠と休養を取ることの重要性を強く意識して、仮眠室を設置している。

長旅の末、いわば敵地の米国に入り、時差にも適応しなければいけない日本チーム。選手自身も支えるスタッフもさまざまな対策を講じているはずだ。

この研究には、日本代表にとって明るい材料になるデータも取り上げられている。

米プロアメリカンフットボールのNFLについて調べた結果だ。それによると、「成功しているチーム、高いモチベーションのアスリートたちは、肉体的、心理的に、本拠地の有利さや時差ボケの影響を受けにくい」とある。

日本チームは、時差ボケなど不利な条件を吹き飛ばし、優勝を勝ち取ることができるか。