ドラフト目前。高卒プロ入りか、大学進学か。メジャーリーグの知られざる制度。

(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

 NPBのドラフト会議は22日に行われる。高卒プロ入りを狙って指名を待つ選手。大学進学も選択肢に入れながら指名を待つ高校生選手。選手たちの置かれた状況は様々だろう。

 過去には大学進学せずに、高卒でプロ入りしていたら……と思われた事例もあっただろうし、逆に高卒プロ入りではなく、大学進学して4年後にプロを狙ったほうがよかったのではと考えている選手や元選手もいるかもしれない。

メジャーリーグは他のプロスポーツに比べて高卒プロ入り選手が多い 

 メジャーリーグの新人ドラフト会議は6月に行われている。メジャーリーグのドラフト会議は、米国の他のプロスポーツに比べて高校生選手の指名が多いのが特徴だ。

 NBA(米プロバスケットボール協会)やNFL(米プロアメリカンフットボールリーグ)では、高校卒業直後の18歳の選手とは契約を結ぶことができない。そのため、プロ入り有力候補の選手は大学から競技優秀者に与えられる奨学金を得て大学に進学し、大学進学後にドラフトで指名を受けるのが一般的だ。

 これに対してメジャーリーグではこれから高校を卒業をするという選手を多く指名し、若い選手たちをメジャー傘下のマイナーリーグで育成している。

 メジャーリーグのドラフトでは高校生を多数指名するが、下位で指名を受けた高校生は、少ない金額で契約するよりは大学に進学し、上位で指名される機会を待つケースもある。下位指名の選手は、メジャーリーガーとして成功する確率は低いし、プロ選手として生活が成り立つだけの収入を得られるかどうかも分からない。ひとまず、大学に進学してからプロに挑戦すれば、たとえプロ選手として成功しなくてもセカンドキャリアとして現役引退後に仕事を探すときに有利になるのではないかという考えもあるようだ。

知られざるメジャーリーグの制度

 しかし、メジャーリーグには、高卒や大学中退でプロ契約をした選手たちが、大学進学や復学することを支援する制度がある。

 これは、「ザ・プラン」と称されている制度で、高卒や大学中退で、プロとして初めてマイナー契約を結ぶ選手が、大学に進学や復学するときには、球団側がその授業料を負担するよう契約条件に盛り込むことができるものだ。原則として引退後2年以内まで申請でき、現役選手としてオフ期間に通学する場合にも適用できる。 

 米大リーグ機構が1960年代初めに選手が大学教育を受けられるよう返済義務のない奨学金制度を設立した。メジャーリーグ公式ホームページにも詳しく記載されている。College Scholarship Program

 

アマチュアから初めてマイナー契約した全選手に適用されるわけではない。契約時に球団側が奨学金負担に合意した選手だけが申請できる。奨学金の金額も最初のマイナー契約時に決めおくという。

 

年間1000人以上が利用

 筆者がメジャーリーグ機構に直接取材したところ「ここ5年間では、年間平均で1060人がこの制度を利用している」という。

 

 今年のドラフト会議で指名された人数は1215人だった。

 ドラフト対象者は米国、カナダ、プエルトリコ在住者か通学者に限るが、新しくマイナーリーガーに入ってくる選手はベネズエラやドミニカ共和国などの中米からも多い。この制度は初めてマイナー契約を結んだ選手を対象にしているので、ドラフト対象外の国の出身でマイナー契約を結んだ選手にも適用される。それでも年間でおよそ1000人という数字は、高卒や大学中退の選手や元選手がかなり高い割合で利用していると言えるだろう。

 

 メジャーリーガーとして成功して年間十億円以上を稼ぐ選手はこの制度を必要としていないだろうが、十分な蓄えを得られないまま、戦力外となった選手にとって、大学で学ぶための奨学金を得ることはセカンドキャリアを掴むうえで重要なことだ。

 まず、高卒でプロ入りし、もしも、プロ野球選手として成功しなかった時には、契約条件に入れておいた球団からの授業料を得て、大学に進学するというキャリアプランも立てることができる。そして、その背景には米国の大学が幅広い年齢層の学生を受け入れているという事情もある。