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優勝請負人とキックスケーターがブルージェイズにやってきた。

谷口輝世子スポーツライター
通算100勝目を挙げたブルージェイズのプライス。(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

ヤンキースとア・リーグ東地区優勝争い繰り広げているブルージェイズ。オールスター前には首位から4・5ゲーム差の4位だったが、8月に11連勝して猛烈に追い上げ、1993年以来の地区優勝を目指している。

強力打線の象徴的な存在となっているのが三塁手のドナルドソン。8日時点でア・リーグトップの打点をマークしており、MVPの有力候補。7月末には大型トレードでタイガースから左腕でサイ・ヤング賞投手のデービッド・プライス、ロッキーズから遊撃手のトロイ・トゥロウィツキーらを獲得し、勢いに乗っている。

最近、本拠地球場ロジャーズセンターのクラブハウス入口には、電動のキックスケーターがずらりと並ぶようになった。どれも同じもので持ち主が分かるように背番号プレートがつけられている。

本拠地球場近くに住む選手たちが、続々と電動キックスケーターに乗って通勤してきているのだ。筆者が5日のオリオールズ戦で見かけた限りでは、ジョシュ・ドナルドソン内野手、ホセ・バティスタ外野手、ケビン・ピラー外野手、ライアン・ゴーインズ内野手、ディオナー・ナバロ捕手といったメンバー。ちなみに川崎内野手はナバロから「乗っていくか」とジョークで誘われていたが、電動キックスケーターは使っていない。

この日の先発投手だったデービッド・プライスもキックスケーター通勤してきたそうだ。プライスは「毎日、スクーターに乗ってきてるよ」と言う。先発登板日もキックスケーターに乗ってくるのかと確認したところ、プライス「そうだよ」と答えた。聞けば、ブルージェイズに電動キックスケーターブームをもたらしたのがプライスだという。タイガース時代に捕手のマキャンが使っていたのを見て気に入ったらしい。 

プライスは5日のオリオールズ戦で勝って、通算100勝目を記録。5日は4四球を与えたが要所で三振を奪い、7回3安打1失点、8奪三振と危なげないピッチングを披露。六回には先頭のマチャドが放った強烈なピッチャーライナーをグローブに収めると思わず笑顔を見せた。

プライスは「これは子どものころから楽しんできたのと同じゲーム。もしも、マウンドに上がって楽しめないのなら、なんにもならない」と負けられない試合を楽しんでいる。

プライスはレイズでも、タイガースでも地区優勝の経験がある。しかし、ポストシーズンでは2008年のレイズ時代に記録した1勝だけ。道路渋滞を吹き飛ばす心身ラクラクなキックスケーター通勤でポストシーズン進出とその後の勝利をつかみ取ることができるか。

ブルージェイズの選手たちが使用しているキックスケーターはこちら。スクーター

スポーツライター

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情をお伝えします。著書『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのかーー米国発スポーツペアレンティングのすすめ 』(生活書院)『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店) 連絡先kiyokotaniguchiアットマークhotmail.com

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