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メジャーリーグ裏話。ボールへの不正を防ぐため今シーズンから管理厳重化。

谷口輝世子スポーツライター
写真はイメージです。メジャーリーグ使用球ではありません。

NFLでは、今年1月のアメリカン・カンファレンス決勝で、ペイトリオッツが規定よりも空気圧の低いボールを使用していたとされる問題があった。NFLは不正を知っていた可能性の高いペイトリオッツのQBトム・ブレイディに開幕から4試合の出場停止処分を科すと発表。ペイトリオッツには100万ドルの罰金を科し、16年のドラフト1巡目指名権、17年の4巡目指名権をはく奪するという処分を科すことも明らかにした。

メジャーリーグでも不正や細工などをされることのないようにボールの管理を今季から厳重化している。野球のボールは他の球技で使われるボールに比べて硬いため、空気圧を変えることは難しいが、過去にはマツヤニや脂をつけていた投手がいて問題になったことがある。

筆者は4月末にタイガースの本拠地コメリカパークに試合球が運びこまれるのを見かけた。1試合に使用されるのは約8ダースとされていることから推測して、大量の段ボール箱には数十試合分のボールが入っていたと思われる。箱にはコスタリカにあるローリングス社で製造されたことを示す文字が入っていたが、段ボールそのものはびっちりとフィルム包装されていて、簡単にはボールに触れることができないようになっていた。

メジャーリーグ機構では、NFLのボール空気圧の問題が起こる以前の昨年12月、全球団の用具部長らと管理厳重化についての話し合いを済ませていたとしている。しかし、開幕までにペイトリオッツのボール問題があったことで、より管理を強化する方向でまとまったようだ。

AP通信では5月12日付の記事で管理強化の様子を次のように伝えている。球団スタッフが審判の控室からボールをグラウンドまで運び出すときには、メジャーリーグ機構からの代表者が監視するなかで行わなければいけない。

試合中にボールが少なくなった場合は、これまでは、バットボーイやバットガールがボールを自分たちだけで補給していたが、今シーズンは、メジャーリーグ機構からの代表者の指示と監視のもとに、警備人がボールを補給することになった。

ボールは、ホームチームが管理することになっている。開幕前にはメジャーリーグ機構から保管・管理方法に関する9つの手順が全球団に通達されたという。湿度50%、気温21度などと定められているそうだ。

スポーツライター

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情をお伝えします。著書『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのかーー米国発スポーツペアレンティングのすすめ 』(生活書院)『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店) 連絡先kiyokotaniguchiアットマークhotmail.com

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