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 マー君がオープン戦最終登板したハモンド・スタジアムはこんなところ!

谷口輝世子スポーツライター
開放感のある外野席

ヤンキースの田中が3月31日のツインズとのオープン戦に登板した。ツインズのキャンプ地であるフロリダ州のハモンド・スタジアムは、メジャーでも屈指の素晴らしいキャンプ地球場とされている。

筆者が初めてこの球場を訪れたのは1996年のこと。当時から他球団のキャンプ地球場と比較しても、多人数を収容できる大きなスタンドを持つモダンな球場だった。

このハモンド・スタジアムは数回の改修、改装を経て、老若男女が野球観戦をより楽しめる構造になっている。さまざまな工夫が凝らされているのだ。

チケットの自動販売機
チケットの自動販売機

入場券はタッチスクリーンの自動販売機でも購入できる。フロリダのまぶしい太陽の下、スクリーンが少し見づらいのが難点ではあるが画面のカバーを日よけにすることで、なんとか問題クリア。クレジットカードで購入する仕組みになっている。

一塁線後方とレフトは芝生エリアになっている。レジャーシートを敷いて寝転んで見てもよい。じっと座っていられない子どもたちにとっては芝生の上を転がったり、走ったりすることもできる。ただし、いつファウルボールが飛んでくるか分からない。そのため、何か所にも常に子どもから目を離さないように警告するサインが掲げられている。

芝生席の警告サイン
芝生席の警告サイン

内野後方と外野席には巨大な客席はつけず、テラス席などを設けることで開放的な雰囲気になっている。その後ろは自由に行き来できる通路だ。 ライト側のデッキ席の下は小さな池。なんとこの池には野生のワニやカメが住んでいる。野球と同時にワニやカメなどの生き物を見ることもできる。

ワニも試合観戦
ワニも試合観戦

なぜ、このような作りになっているのか

この球場はツインズがキャンプ地として使用しているが、開幕後はツインズ傘下のマイナー1Aチームが使用する。

オープン戦にはスター選手が出場するけれども、勝敗にこだわるものはない。レギュラーシーズンやポストシーズンのように観客が手に汗を握って観戦するという雰囲気とはちがう。

マイナーチームの試合には、スター候補はいても、スター選手はいない。無名の選手たちの集まりである。

オープン戦やマイナーの試合でいかに観客を動員するか。そのためには野球の試合以外のところでもいかに楽しい雰囲気を醸し出すかが重要になってくる。

芝生の上でくつろぐことを目的に球場に足を運ぶ人たち。パラソルの下で冷たい飲み物を飲みながら、目の前でプレーされている野球をぼんやりと眺める人たちを増やしていくことも集客戦略に含まれている。

もし、野球観戦だけでなく、選手とのふれあいも楽しみたいなら、オープン戦の観戦をぜひおすすめしたい。各メジャーリーグ球団の本拠地球場に比べてスタンドが小規模なので、選手の姿を間近で見ることができる。

ブルージェイズのキャンプ地球場は選手たちが一塁側のダグアウトからライト奥のロッカールームへと引き上げていくとき、観客のすぐ目の前を歩いていく。マイナー契約でメジャーキャンプに参加していた川崎は、ロッカールームに引き上げる途中で何度も立ち止まりファンにサインをし、キャンプ地の人たちとの交流を楽しんでいた。

この外野通路下の池にワニやカメがいる
この外野通路下の池にワニやカメがいる

スポーツライター

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情をお伝えします。著書『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのかーー米国発スポーツペアレンティングのすすめ 』(生活書院)『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店) 連絡先kiyokotaniguchiアットマークhotmail.com

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