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なぜ亀田興毅の3150FIGHTは他に類を見ない大会となったのか

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
提供すべて 3150FIGHT

14日、ボクシング元3階級王者の亀田興毅(35)がプロデュースする「3150FIGHTvol.3」が行われた。

この興行は興毅氏がプロモーターライセンス取得後、初めての大会となった。

個性豊かな選手が登場

他に類を見ない大会となった3150FIGHT vol.3。個性あふれる選手たちが出場し、熱戦が展開された。

話題を集めた柔道北京五輪金メダリストのサトシ・イシイ(クロアチア)は、ボクシングで初のデビュー戦を勝利で飾った。

期待の新星、日本ヘビー級1位の但馬ミツロ(27=KWORLD3)は、デビューからわずか2戦目で日本ヘビー級王座を獲得。

その他にも、現東洋太平洋スーパーフェザー級王者の力石政法(28=緑)や、元WBA世界ミニマム級王者の宮崎亮(33=KWORLD3)、世界挑戦経験もある大沢宏晋(37=オール)が出場した。

公式試合の後には、Abemaスペシャルマッチとして、人気格闘家の皇治が現役4回戦ボクサーのヒロキングと対戦し、一気に会場を盛り上げた。

これまでにない取り組み 

興行では観客を楽しませるために様々な工夫が施されていた。全ての試合がAbemaTVで生配信され、試合前には全選手の紹介VTRが流れた。

他の格闘技では当たり前かもしれないが、ボクシングの興行で、全ての試合を取り上げることはほとんどない。

ボクシングを観戦する観客は、多くはメインの試合、つまり最後の試合を目当てにくる。

一回の興行には、8試合から10試合ほどが組まれているため、当然目当ての以外の試合も観ることになる。

ボクシングに詳しい人や、出場している選手を知っている人であれば楽しめるが、そうではない場合、試合に興味を持つことは少ないだろう。

そんな時に、試合前の紹介VTRで選手について知れると試合にも興味がわく。

選手にとっても、自分の紹介がされることでモチベーションになるだろう。

今回の興行では入場時に派手な演出もされ、出場した選手一人一人にスポットが当てられていた。

ハーフタイムには、人気ヒップホップグループのBAD HOPがライブを行い、第8試合、第9試合にはスペシャルリングアナウンサーとして、アーティストのZeebraが更に会場を盛り上げた。

亀田興毅のボクシング改革

引退後もボクシングに携わり、プロモーターとして活動をしている興毅氏だが、今の業界に危機感を抱いている。

会場に配られたパンフレットで、以下のように語っていた。

今、日本ボクシング界にある種の“危機感”を抱いています。プロボクサーや興行数は年々減少傾向にあり、コロナ禍の試合中止等が拍車をかけ、選手の引退が相次ぎ、深刻な「選手不足」に陥っています。

ボクシングだけで生活できるプロボクサーは一握りであり、各ジムが個々に開催する興行は、物理的・金銭的負担が大きいのが現状です。

新型コロナウイルスの影響で、ボクシング界も大きなダメージを受けた。

ジムの閉鎖や、興行の減少で試合が決まらず引退した選手も数多くいる。

そんな現状を打破するため、そしてボクシングに恩返しをするため、この取り組みを始めたようだ。

全選手にスポットライトを当てる演出や生配信、破格ファイトマネーの提示は、選手にとって嬉しいことばかりだろう。

今回の興行でも、第4試合に行われた福永宇宙(黒潮)VS山下賢哉(JB SPORTS)の試合を全試合の中での特別賞として、両者に30万相当の賞金が贈呈された。

この様な取り組みが広がったことで、3150FIGHTに出場したいという選手も多いようだ。

興毅氏は、3150FIGHTをプラットフォームにすることを掲げ、選手たちがより輝けるステージを作りたいと話していた。

次回は、来年1月6日にエディオンアリーナ大阪で「3150FIGHT vol.4」の開催が決まっている。

「最高のボクシングを再興。ボクシングを、“稼げる”“子供たちが夢見る”、憧れのスポーツにします」

3150FIGHTの構想を語った興毅氏。今後の取り組みに期待したい。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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