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再戦はKO必至 井上尚弥VSドネア2が完全決着するその理由とは

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

6月7日さいたまスーパーアリーナでボクシング3団体統一戦が行われ、WBA&IBF世界バンタム級王者の井上尚弥(大橋)が、WBC世界同級王者ノニト・ドネア(フィリピン)と戦う。

再戦の行方

2019年11月のWBSS決勝以来の再戦となる。

ドネアは2週間前に来日し、調整を続けている。試合に向けて並々ならぬ闘志を燃やしているようだ。

「減量もコンディションも今までにないほど良い。井上の変化は感じているが、自分の変化のほうが大きい」

ドネアは井上戦後に2試合を戦い、元WBC王者のノルディーヌ・ウバーリ、元WBC暫定王者のレイマート・ガバリョをKOで下している。

「あの試合からより強くなった。今の方が人間的にも良く、より強いボクサーになっている」

ボクシングの再戦は初戦と異なる結果になる場合が多い。一度対戦すると、パンチのタイミングやパワー、スピードなど相手のクセもわかるため、お互い戦い方を変えてくる。

前回の試合では、序盤にドネアが良いスタートを切った。井上はドネアの左フックが顔面にヒットし瞼をカット、過去最大のピンチを迎えた。

しかし、中盤から終盤にかけて井上がペースを取り返し、最後にはダウンを奪い判定で勝利した。

前回の反省を踏まえ、井上はドネアのフックを警戒して試合に臨むだろう。

ドネアのモチベーションか井上の総合力か

精神的に有利なのはドネアだ。同じ相手に2度負けることはボクサーのプライドが許さない。

「もっと強くなるためにすべてを変えてきた。1番変わったのは自分の内面。自信を持ってこの試合に向けて準備ができた。今は勝ちたいという欲望が大きい」とリベンジに燃えている。

対して井上は「第1戦でドラマにしてしまったという自分の誤算があります。けど今回はそういう試合にならないと思う。本当にここでスッキリとした内容で勝ちたいと思います」とコメントしている。

勝敗の鍵となるのは井上のコンディションだろう。

現在、ひとつ上のスーパーバンタム級を見据えてフィジカルトレーニングを続けている。

以前より減量はキツいだろうが、その分パワーや体格が増し、迫力のあるボクシングを見せてくれるだろう。

前回の試合は階級を上げてきた井上と、下げてきたドネアという構図で、ドネアの方がフジカル面で上回っている印象を受けた。

両者がベストな状態で戦えば、互いの手の内は知っているため、早い回でのKO決着も十分にありえる。

総合力と成長を続ける井上か、長いキャリアで培った経験を活かしたドネアか。

ともに軽量級とは思えないほどのパンチ力を持っているため、再戦ではKO必至の展開となるだろう。

勝者の行方

この試合の勝者が4団体統一への道に進む。井上、ドネアともに統一へのモチベーションは高い。

井上は「この試合に無事に勝てば、年内にでも4団体統一したい」と話し、ドネアは「まだ成し遂げていない4団体統一王者を目指す」とコメントしている。

全階級でも7名しか達成していない4団体統一王者は、ボクサーにとって最高の栄誉だ。

WBOのベルトを持つバトラーは、ドネアと同じプロモーター、プロベラム社と契約している。その社長リチャード・シーファー氏は「この試合の勝者を年内にバトラーと対戦させ、今年中に4団体統一王者を生み出したい」と話している。

4団体統一はボクシング界ではトレンドとなっているため、この試合の勝者がバトラーと戦うのは必然だろう。

間近に迫った試合が伝説となる一戦になることを期待したい。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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