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日本ボクシング史上最大のビッグマッチ 村田諒太がゴロフキンに勝つために必要なこと

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

4月9日、さいたまスーパーアリーナでボクシング世界ミドル級統一戦が開催され、WBA世界ミドル級スーパー王者の村田諒太(36=帝拳)が、元3団体統一ミドル級王者で現IBF世界同級王者のゲンナジー・ゴロフキン(39=カザフスタン)と対戦する。

この試合は日本ボクシング史上最大のビッグマッチと呼ばれている。

ゴロフキン来日

試合まであと僅か、ゴロフキンも日本に到着し、試合に向けて調整を続けている。

アメリカを主な活動拠点としているが、海外での試合経験も豊富なので調整は問題ないだろう。

ゴロフキンはこれまで村田が対戦したなかで、一番のビッグネームだ。

過去の実績として、ミドル級で3団体統一に成功し、19度の連続防衛。相手を一撃でノックアウトするスタイルで、23連続KO記録を打ち立てた。

年齢は試合前日の4月8日に40歳を迎えるが、まだまだ健在だ。ストイックな姿勢と普段からの節制の賜物だろう。

来日してからも調整の様子をSNSに投稿している。ミットに打ちを見る限り、コンディションは良さそうだ。

帝拳ジムの村田諒太

村田もゴロフキンとの対戦に向けて、帝拳ジムのHPで好調さをアピールしている。

最後に行ったスパーリングでも「良い形で最後まで出来ました。今はこの良い状態のまま行こうという気持ちです」とコメントしている。

村田にとって、8年のプロキャリア最大のビッグマッチになる。

私は現役時代に村田と一緒にジムでトレーニングしていたが、非常に負けず嫌いな一面を持っていた。

走り込みの合宿では常にトップを走り続け、トレーニングでも一才妥協はしない。読書家で、得た知識をボクシングに繋げる頭の良い選手だった。

過去には、日本人では難しいと言われたミドル級で金メダルを獲得し、世界タイトルも2度獲得している。

絶対に無理だと言われるような逆境を何度も乗り越えてきた。今回もベストな状態で臨めば十分勝機はあるだろう。

理想的な展開

村田の持ち味は、類い稀な身体能力を活かしたボクシングだ。

打たれ強いため、これまでダウン経験はない。加えてパンチ力も強いのでゴロフキン相手でもプレッシャーをかけられるだろう。

ゴロフキンも強打者ではあるが、近距離では村田に分がある。

長距離から中距離が得意なゴロフキンと、近距離が得意な村田では戦い方が違う。

村田がゴロフキンの懐に入り込み、ボディで動きを鈍らせることができれば、勝機が見えてくるだろう。

しかし、近距離戦に持ち込むのは容易はない。ゴロフキンのジャブはストレートのように伸び、威力もある。それを掻い潜って距離をつめて行かなければならない。

まずは序盤、村田がどれだけゴロフキンにプレッシャーをかけられるかが焦点となりそうだ。

村田は試合に向けて、「絶対に勝てるも、絶対に負けるも、やってみなければ分かりません。これまで積み重ねてきたことをあと1週間、しっかりとやっていくだけです」とコメントしている。

2年半ぶりのリングではあるが、ブランクを跳ね除けて勝利を掴んで欲しい。

試合は4月9日(土)午後6時からAmazonプライムビデオにて独占ライブ配信される。

写真提供FUKUDA NAOKI
写真提供FUKUDA NAOKI

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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