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「日本のファンに勝利をプレゼントする」絶好調のリナレス王座奪還に期待

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
本人提供

5月29日(日本時間30日)、WBC世界ライト級タイトルマッチが行われ、ボクシング元3階級王者のホルヘ・リナレス(35=帝拳)が、WBC正規王者のデヴィン・ヘイニー(22=アメリカ)に挑む。

リナレスはこれまで4回の世界王者になっており、今回5回目の王座奪還を目指す。

決戦を控えたリナレスに話を聞いた。

好調のリナレス

「コンディションは最高。今までで一番調子がいい。スタイルも変わってタイミングもパワースタミナもついてきてる」

トレーニングは好調のようだ。

今回対戦するヘイニーとはスパーリングの経験もあるようで、「ボディがそんなに強くない、若いから耐久力がない。下がってアウトボクシングしてくるだろう」と分析している。

リナレスが初のタイトルを獲得したのは2007年で21歳の時だった。

当時はきゃしゃな体つきでボクシングスタイルも定まっていないようだったが、階級を上げて堅実な力強いスタイルに変化していった。

「いい右が入れば絶対倒せる。カネロのようなプレッシャーを掛けていきたい。プレッシャーがかかれば絶対勝てる。KOでも判定でも問題ない」

一発で相手を仕留めるパワーにも自信を見せる。

対戦相手のデヴィン・ヘイニー

対戦相手のデヴィン・ヘイニーは、アメリカ出身のボクサーで、これまでの戦績は25戦全勝(15KO)。

22歳と若く、昨年のWBC世界ライト級暫定王座決定戦でザウアー・アブドゥラエフを4RKOで下し初のタイトルを獲得した期待の新鋭だ。

ビッグネームとの対戦は少ないが、前回の試合では元3階級王者ユリオルキス・ガンボアを判定で破り、アマチュア時代には、現WBC世界ライト級暫定王者ライアン・ガルシアにも勝利している。

特徴は長いリーチを活かしたストレート主体のスタイルで、着実にポイントを積み重ねていく。

メイウェザー2世とも呼ばれており、前の手のガードを下げながら向かってくるファイトスタイルは近いところがある。

王座が乱立するライト級

全階級の中でも最も激戦なライト級。現在、以下の王者たちが君臨している。

WBA &WBC &IBF &WBO テオフィモ・ロペス(アメリカ)

WBAレギュラー ガーボンタ・デービス(アメリカ)

WBA暫定 ロランド・ロメロ(アメリカ)

WBC デヴィン・ヘイニー(アメリカ)

WBC暫定 ライアン・ガルシア(アメリカ)

本来であれば各階級に一人のチャンピオンが望ましいが、王者が複数いることで対立が生まれ盛り上がりを見せている。

リナレスも「ライト級はタレントがたくさんいる。誰とでも戦いたいが、その中でも一番やりたいのはロペス」と話していた。

17歳で日本に渡りプロ生活を始めこれまで、50戦以上戦っている。日本語も上手で、通訳なども必要ないレベルだ。

「日本は大好きな国。食べ物もファンも全部大好き。チャンピオンになって日本で試合をしたい。日本のファンに勝利をプレゼントする」と話してくれた。

私は現役時代、リナレスと一緒に練習する時期があったが、トレーニングはもちろん戦い方やスタイルなどボクサーのお手本となる選手だ。

キャリアも重ね挫折や苦労も味わった。今回の試合がキャリアの集大成となるだろう。

リナレスの王座返り咲きに期待したい。

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ホルヘ・リナレス

ベネズエラバリナス州バリナス出身、35歳、帝拳ジム所属、元WBC世界フェザー級、元WBA世界スーパーフェザー級、元WBC・WBA世界ライト級王者。日本食をこよなく愛し、日本語、英語、スペイン語の3カ国語を使いこなす。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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