「高校生からすでに世界クラスだった」 戦って感じた那須川天心のボクシングの実力とは

著者撮影

格闘家の那須川天心(22=TARGET/Cygames)がボクシングに転向することをTBS系列の番組内で発表した。

来年3月のRISE大会を最後にキックボクシングを引退するようだ。

格闘家の那須川天心

天心は2014年に15歳でプロデビューしてから39戦全勝(28KO)と圧倒的な強さを誇り、キックボクシングの神童とも呼ばれている。

ボクシングにも定評があり、2019年にはAbemaTVの特別番組で元3階級王者の亀田興毅と対戦し、序盤からペースを握り引退したとはいえ元世界王者を圧倒した。

対戦した亀田も「距離感がうまいです。しっかり自分のペースを崩さず戦えるのはすごい」と絶賛していた。

また、2018年にはボクシング界のレジェンドのフロイド・メイウェザーと対戦した。

階級差もあり結果はKO負けだったが、ディフェンス能力が優れるメイウェザーに一発入れる健闘をみせた。

高校生の天心はすでに世界クラス

筆者は現役時代に天心とスパーリングをした経験がある。

それは日本タイトルの防衛戦を控えていた頃だ。

対戦相手がサウスポーだったため、当時高校生だった天心がスパーリングパートナーとして呼ばれた。

私より一回り年下で最初は正直舐めていたが、すぐに考えが変わった。

ボクシングで一番大事な要素は「距離感」だ。

相手のパンチをもらわず、自分のパンチが当たる間合いというものがある。

実力差があれば、すぐにその間合いが掴めるのだが、天心と向かい合った時はそれが読めなかった。

それまでプロアマ合わせて100戦近く戦ってきたが、最後まで距離感が摘めずパンチを当てられなかった。

攻撃のバリーエーションも豊富で、パンチをもらわないディフェンス能力もすでに持ち合わせていた。

当時から高い能力を持っていたが、プロのリングでの経験を積み、体の成長もあって見違えるほど強くなっているだろう。

プロ入り後の展望

階級はスーパーバンタム級(55.34kg)からフェザー級(57.15)を主戦場としていくのではないだろうか。

この階級は世界でも選手層の厚い階級だ。

最近では日本人王者の岩佐亮佑が、海外でムロジョン・アフマダリエフと対戦した。

日本ではトップクラスの実力を持つ岩佐だったが、5RTKOで敗れ世界の壁を痛感した。

また、現在バンタム級で活躍する井上尚弥も近いうちに階級を上げる可能性がある。

そこに天心が加われば、国内にとどまらず世界に注目されるだろう。

今後、課題があるとすれば「試合時間」。キックボクシングの試合は3Rだが、プロボクシングの試合は最低でも4Rから、世界戦は12Rとなる。

長丁場の試合経験はないため、スタミナや耐久力、展開を変える戦略が必要になるだろう。

異業種のキックボクシングからとなると、世界のトップと戦えるようになるには最低でも1年から2年はかかるだろう。

世界ではプロデビューからわずか3戦目で世界タイトルを獲得したワシル・ロマチェンコ、国内ではわずか5戦で世界王者になった田中恒成がいる。

ポテンシャルは十分ある。経験さえ積めば、すぐに世界トップクラスと戦えるだろう。

キックボクシングで数々の伝説を作ってきた那須川天心。ボクシングでもさらなる高みを目指して欲しい。